クリーニング店で高まるニーズとその理由
近年、クリーニング店でネットワークカメラのニーズが高まっている。
いったいどういうことか?
クリーニング店の業態は、言うまでもなく顧客より衣類を預かり、クリーニング後に返却をする…という流れである。
しかし、実は非常に顧客からのクレームが多いという傾向がある。実際に、あなたもこんな経験がないだろうか?
*セーターをクリーニング店に出したら、糸引きが発生していた。
*洋服に傷がついて返ってきた。
*なんとなく洋服にボリューム感がなくなったような気がする…。
当然、洋服を受け取った顧客はクリーニング店にクレームを言ったり、場合によってはトラブルや賠償問題に発展することもあるだろう…。
しかし、逆にクリーニング店側の立場になって考えて欲しい。
「洋服の糸引きや傷はもともと預かる前からあった」という可能性はないだろうか?
洋服を預かる前から<洋服に糸引きや傷>が入っていたが、顧客が気付かずに洋服をクリーニング店に出してしまい、返却時にクレームになるというケース多いようだ。
これらのクレームの対策として、ネットワークカメラの導入が検討されている。
洋服を預かる場合、ほとんどの店舗ではレジ横のカウンターで一度、洋服の枚数や形状、素材の確認作業を行う。このカウンターの真上にカメラを設置し、洋服の状態を撮影しておくのだ。
万が一、顧客からクレームが入り、賠償問題などに発展しかねない場合、預かり時の洋服の映像を見返し、店側の問題ではなかったことの証明するツールとして録画映像を活用するのである。
ネットワークカメラの限界
ここで過度の期待がないように説明しておくと、昨今、進化を遂げているネットワークカメラであっても「洋服の細かい傷やほつれまで撮影することは難しい」という点である。
もちろん、カウンターの台の真上にカメラを設置し、洋服を固定させた状態で、洋服の特定の箇所に対してズームアップを行えば、鮮明に傷やほつれを撮影できる可能性もある。
しかし、実際には洋服は台のうえで激しく動かしながら、枚数を数えたり、ポケットに異物が入っていないか確認しながら作業を行うため、高解像度のカメラで撮影しても、細かい傷やほつれまでは撮影が難しいというのが現状である。
カウンターの台の真上にカメラを設置する場合、洋服そのものを撮影するというよりは、「従業員がきちんと預かる前に洋服の状態をチェックする。または注意事項を説明する。」という行為を徹底させるために、置くケースが多いようだ。
染みが落ちるかどうかの判断
また、これは珍しい利用例であるが、染みが落ちるかどうかの判断を行うためにネットワークカメラを導入したという事例も聞いたことがある。
クリーニング店ではしばしば顧客から「この洋服のシミは落ちますか?」という質問を受けることがあるようであるが、店舗で担当しているスタッフは実際のところ、シミを落とせるかどうかは工場に出してみないとわからないケースもあるようだ。
このような状況下において、工場の技術者がネットワークカメラで店舗の洋服のシミの状態を確認し、染み抜きが可能かどうかを店舗のスタッフに連絡をしているようである。
導入後、どこまでこの運用方法が成功しているかどうか、私も気になるところであるが、今後は、拠点間の簡易的なコミュニケーションツールとしても、ネットワークカメラの活用が広がるであろう。