ネットワークカメラ推進会

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セールスマンの憂鬱

ネットワークカメラのセールスマンは辛い!?

 

 このサイトはネットワークカメラの普及の一助になればと考え開設したものである。そのため、ネットワークカメラに対する悪い情報や特定の企業や製品に対する批判的なレビューは極力、避けるようにしてきた。

 しかしながら、あえて今回は、ネットワークカメラを販売するに当たって『辛い』と考えられる事項について説明したい。

 

 どのような製品やサービスを取り扱う場合でも、メリットとデメリットは存在している。メリットを伸ばしながらも、デメリットをどのように補うのか考えるキッカケになれば幸いだ。

 

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①システム選定は非常に難しい

 

 まず、最初に説明したいことが『ネットワークカメラのシステム設計は非常に難しい』という点である。もちろん、カメラ台数が少なく、シンプルな構成であれば特に問題となることはない。

 

 しかしながら、実際には顧客のニーズや要望、予算は様々である。顧客の難しい要望をきちんと満たそうとすればするほど、複雑なシステムを構成する必要があり、非常に幅広い商品知識が求められる。

 また、それぞれの製品には大抵の場合、『何らかの制約や制限事項』が存在している。それらを正しく理解していなければ、重大なシステム障害に発展してしまうリスクがある。

 

 例えば、レコーダーのスペックである。レコーダーにはそれぞれの機種によって処理能力が異なる。レコーダーの処理能力を超えるような設定値を入れてしまった場合、障害が発生するリスクが高くなる。

 

 一例として、『レコーダーへ登録できるカメラは16台まで、閲覧用PCは2台までを推奨、ビットレートは150Mbps以内、動体検知利用時は5fps以下を推奨、画面分割数はH264利用時は9分割以下を推奨』など…である。

 おそらく、一般の方には何を言っているのかさえ、分からないかと思うが、ネットワークカメラのベンダーは理解しておく必要がある。

 

 また、上記のレコーダーに対して顧客から『PCは2台ではなく、3台から閲覧したい』という要望があった場合、上位モデルへ切り替えるのか、または既存機で定格を超えて提案を行うのか、考えなければならない。

 

 顧客の予算が無限であればよいのだが、実際には、購入する予算は限られており、また競合他社も存在している。総合的なバランスを見てシステム設計を行う必要がある。

 

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②正しいシステム設計でも、正しく動作するとは限らない

 

 続いて、納品時のトラブルである。正しくシステム設計ができていたとしても、それらが適切に動作するとは限らないのだ。

 これも一般のユーザーにはなかなか理解し辛いかもしれないが、どのようなシステムにも『相性問題』や『バグ』は存在している。理論上は正しくても、実際には適切な動作が得れないこともあるのだ。

 

 例えば、映像分配器や延長器である。分配した映像がなぜか3枚のモニタのうち、1枚だけ表示されない…というトラブルが実際に発生するのだ。モニタが問題なのか、ケーブルが問題なのか、それともレコーダーに問題があるのか、切り分けは非常に困難だ。

 

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③導入後のハードウェアの障害

 

 そして、最も辛いのが導入後のハードウェアの故障である。筆者の偏見かもしれないが『日本人は、製品は壊れないもの』と思われている傾向がある。

 『ネットワークカメラシステムは24時間365日稼働していなければ意味がない』とさえ言うユーザーも存在している。

 

 しかしながら、実際には、24時間稼働させているシステムであるため、障害のリスクはむしろ高い。しかも、一度、HDDなどに障害が発生すると録画映像を閲覧できなくなることも少なくない。システムが復旧したとしても、過去の映像は戻ってこないのだ。

 

 また、システムの導入段階でコストをかけて、レコーダーのバックアップ体制を構築していたり、保守契約に加入していれば良いが、残念なことに、多くのユーザーでは予算等の問題により、保守には加入していないことも多い。

 レコーダーのバックアップ構成(冗長性)についても、ほとんどのユーザーで構築できていないのが実情ではないだろうか。

 

 しかし、実際に何かシステム障害が発生すると、『ふざけるな!今すぐ修理しろ!』とクレームを受けるのである。

 

 障害の解決のためには、まずサービスマンを手配して、障害切り分けを行い、その上でハードウェア(またはソフトウェア)の修理・交換・工事を行う必要がある。場合によっては、長期間のダウンタイムが発生してしまうこともあるのだ。

 複数の重たい障害が重なってしまうと、セールスマンはとても辛い状況になるだろう。

 

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どのように解決するのか?

 

 では、上記のようなトラブルに対して、ネットワークカメラのベンダーはどのように対処すればよいのだろうか?

 

 第一に『正しい商品知識』を身に着けることである。近年、ネットワークカメラ業界では、様々なソリューションが次から次へと市場に投下されている。これらの新製品をより素早く、正確に覚えていく必要がある。

 

 この数年のネットワークカメラ市場の拡大により、多くの新規参入ベンダーが発生した。もちろん、高い商品知識や技術力を保有していれば問題ないが、そうではないベンダーも少なくない。システムのことをよく理解せずに販売しているセールスマンも存在するのだ。

 ネットワークカメラシステムを販売する以上、一定の商品知識は必須である。

 

 

 第二に、会社として『商材の取捨選択』を行うことである。顧客の多様な要望に応えようとすると、必然的に商品群は広くしなければならない。

 

 しかしながら、より多くの製品を扱うということは『相性問題』や『品質問題』を引き起こすリスクが高くなる。顧客のニーズをどこまで拾うのか、また、どの程度、商品群を拡張するのかは、セールスマンの個々の判断に任せるのではなく、組織として方針を定めておく必要がある。

 

 第三に、アフターサービスの体制である。これはネットワークカメラシステムに限ったことではないが、アフターサービスをどこまで充実できるのかが非常に重要な課題である。

 アフターフォローの体制が充実していれば、リピーターの数も必然的に増やすことができるだろう。一方で、アフターフォローの体制が脆弱であれば、セールスマンは常にクレーム対応に追われてしまい、まともな営業活動ができなくなる。

 

最後に

 

 今回は、ユーザーの目線ではなく、ベンダー側の視点からネットワークカメラシステムの販売上の課題について説明した。

 ネットワークカメラシステムを販売する上でのデメリットばかりを強調したため、怖じ気づいてしまうかもしれないが、何事にも光と影は存在する。どのような製品を販売したとしても、メリットとデメリットがあり、時にはクレームを受けることだってあるのだ。

 

 重要なことは、メリットばかりを見るのではなく、そのデメリットを会社として、どのようにケアしていくか…ということである。

 

 これからもネットワークカメラシステムの市場は中長期的に見て、伸長していくと筆者は考えているが、一方でベンダーの淘汰が進むことは間違いない。商品のメリットだけを注目するのではなく、デメリットとどのように向き合うのか経営者は考えていく必要がある。