製造業で起こる人手不足
昨今、運送業界における人手不足に関するニュースや報道が目立つようになった。しかし、人手不足は運送業界だけに止まらない。
例えば、これまで「ものづくり大国日本」として日本の経済を支えてきた製造業においても人手不足(職人の不足)は深刻な問題となってる。
製造業における人手不足の対策として、外国人労働者の活用やオートメーション化による効率化などを図っている企業も多いが、ここでもネットワークカメラが活用されるようになった。
今回は、その一例を紹介しよう。
製造業におけるネットワークカメラの活用方法
①稼働状況の確認作業をネットワークカメラに置き換える
製造業におけるネットワークカメラの最も一般的な活用方法の1つが「巡回監視」をネットワークカメラで効率化するという方法である。現在の製造業においては、オートメーション化が進んでおり、あらゆるデータがコンピュータ上で確認できるようになった。
しかし「実際に正しく稼働しているか?」「異常が発生していないか?」「生産財が消耗していないか?」など、ヒトの目によるチェック項目は想定以上に多いものだ。
これらの従来はヒトの目による確認作業をネットワークカメラに置き換えるというケースが増えている。例えば、上記写真のようなメーターのチェックだ。
今日、ネットワークカメラの映像は、非常に映像鮮明になっている。また、機種によっては光学20倍~30倍などのモデルもあり、距離がある場所から撮影することも可能だ。そのため、機器のメーターのメモリさえ、カメラで見ることができるのである。
従来は「ラインが正常稼働しているかどうか」「異常が発生した場合に何が起きたのか」ヒトが現場を巡回してチェックする必要があった。しかし、今日ではズーム型のネットワークカメラを利用することで、現場にいかなくても、何が現場で起きているのかモニタリングすることが可能だ。
正直、筆者も製造業で利用されている機器について、深い知識があるわけではない。しかしながら、実際に製造現場に入り、上記写真のような機器の稼働状況をネットワークカメラで撮影し、どのように映るのか検証した経験が非常に多くある。
従業員の方は「昔はヒトが多かったけど、今はね…」と嘆いていたのが非常に印象的であった。少しでも導入したネットワークカメラが製造現場の効率化に役立てればと願っている。
②不良品の理由を探る
製造業におけるもう1つの課題が「不良品の発生頻度を下げる」ことである。不良品が発生した場合に製造ラインで何が起きていたのかレポートを作成しなければならないケースもあるだとう。このレポートを作成するツールとしてネットワークカメラが活用されている。
レポートには、コメントだけでなく写真データを添付する必要があるようなのだが、その写真データについては、ネットワークカメラの録画データから画像を取り出して作成していた。
また、非常に書きにくい事実ではあるが「不信な形状の不良品発生した」ためカメラを導入したというケースもある。うまく言いにくいのだが、平たくいうと「従業員が悪意を持って不良品を発生させた可能性」が疑われたのである。その原因の追及のツールとして、カメラが用いられた。
③従業員が働かない(または長時間働きすぎる)
理解しがたいかもしれないが「従業員が働かないためカメラを導入した」というケースも少なくない。これは外国人労働者に限ったことではないはずであるが、実際のオーナーの話として「外国人労働者がトイレ休憩に入ったまま全然戻ってこない…」ということであった。平たくいうと、長時間さぼっているのである。
また、喫煙禁止であるエリアで喫煙していたり、安全装備をした状態で入室しなければならない場所に普通の服装で入ってしまったり……従来ではなかったようなトラブルや問題が起きているとのことである。これらを抑止する目的としてカメラが導入された。
また、その逆で働きすぎるというケースもある。昨今、働き方改革の影響もあり、残業をきちんとつけなければならない企業も多い。しかし、必要以上に作業を継続する社員が多いのだという。残業や長時間作業による事故を抑止したいという目的でカメラが用いられるケースもある。
上記はあくまでも一例であるが、今後、労働力人口が減少する中で、いかにネットワークカメラを含めたIT機器を活用できるかどうかが、キーポイントになりつつあるのは事実だ。