クラウドサービスを選択するユーザーが増えている
近年、ネットワークカメラの録画システムとしてクラウドサービスを選択するユーザーが増えている。
従来、ネットワークカメラについては、クラウドサービスが不向きだと考えれていた。動画データは非常にデータ容量が大きく、クラウドサービスのコストが大きくなってしまうからだ。
また、動画データをアップロードするために膨大な帯域を利用することからも、クラウドサービスでは低解像度および低フレームレートが常識であった。
しかしながら、せーフィ社が積極的にクラウドサービスを展開するなど、業界の常識は大きく変わろうとしている。従来よりもネットワークカメラの動画の圧縮性能が向上したことにより、ハイビジョン品質など、キレイで滑らかな映像をアップロードできるようになったのである。
クラウドサービスのメリット
クラウドサービスのメリットは、大きく3つだ。1つ目に、管理負荷が削減できることである。従来のオンプレミス型のレコーダーでは、故障や管理の負荷があった。アルバイトしかいかいような小売店などでは運用がなかなか大変だったのだ。
しかしながら、クラウドサービスの場合、レコーダーの管理負荷はない。わざわざ店内にレコーダーを設置する必要がないのである。
クラウドサービスのメリットの2つ目が、災害対策である。もし、事務所内や店内に設置しているレコーダーが災害にあった場合、当然ながら録画データも消失してしまうことになるだろう。
しかしながら、クラウドサービスの場合、クラウド上に録画データが残るため安心である。
クラウドサービスのメリットの3つ目が、どこからでも閲覧ができることである。インターネット環境さえあれば、PCだけでなくスマートフォンから映像を閲覧することも可能だ。
シチュエーションを問わずに映像を見ることができるのである。
クラウドサービスには大きく2種類
ネットワークカメラのクラウドサービスには、大きくプル型のタイプとプッシュ型のタイプが存在する。それぞれの特徴について説明していこう。
プル型のクラウドサービス
まずは、一般的なプル型のクラウドサービスである。ネットワークカメラ側に予めグローバルの固定IPアドレスまたはダイナミックDNSを割り当てしておき、データセンター側からカメラに接続して映像を取得する方法である。
データセンター側からカメラに対して「映像をください」というリクエストを送信し、それに対するレスポンスとして映像を返送する。
メリットとしては、カメラ側に固定IPアドレスがあることからメンテナンスしやすいことである。何かカメラ側で不具合が起きた場合に、データセンターからカメラにログインして設定の変更が可能である。
ただし、デメリットも存在している。それは、ルーターのファイアウォールのポートフォワーディングの設定が必要な点である。
ルーターのファイアウォールに穴を開けなければならず、設定作業も大変だ。また、固定IPアドレスで運用する場合、そのランニングコストも必要だ。
プッシュ型のクラウドサービス
一方で、カメラ側から映像をクラウドサービス上にアップロードするプッシュ型のクラウドサービスも存在している。
あらかじめカメラ側にクラウドサービスに接続するためのアプリケーションを埋め込んでおき、カメラからデータセンターに接続する方法だ。
メリットとしては、設定が非常に簡単であることである。カメラ側からプッシュで映像をアップロードするため、カメラ側のIPアドレスは固定である必要はない。動的なIPアドレスでの運用が可能である。
インターネット環境さえあれば、ほとんど何も設定しなくてもクラウドサービスが利用できる。固定IPアドレスなどのランニングコストも必要ない。
一方でデメリットも存在している。それは、障害対応時に、データセンター側からカメラにログインすることができないことだ。
場合によっては、カメラの設置現場に訪問し、障害のリペアをしなければならない。
どちらのクラウドサービスの方式が良いというわけではなく、顧客の運用に応じて最適なタイプの方式を選択するとよいだろう。
まとめとして
- 近年、レコーダーの管理負荷の軽減を目的としてクラウドサービスを選択するユーザーが増えている。
- クラウドサービスには、プル型の方式とプッシュ型のクラウドサービスが存在している。
- プッシュ型のクラウドサービスの場合、カメラ側に固定IPアドレスなどは不要なため、簡単にシステムを導入することができる。