ルーターのポートフォワードとは?
近年、ネットワークカメラの映像を社内のネットワーク環境だけではなく、外出先や他拠点からも閲覧したいというニーズが増えている。テレワークの普及や働き方改革の影響により、ワークスタイルが変化してきていることが、その一要因であると推測される。
ネットワークカメラの映像を外出先から閲覧する場合、VPN環境の構築やP2Pの利用、ルーターのポートフォワードなどの方法がある。ルーターのポートフォワードとは、カメラを導入したネットワークのルーターのWAN側にアクセスがあった場合、そのアクセスを配下のカメラへ転送するという仕組みだ。
ポートフォワードや静的マスカレード、アドレス変換などとも呼ばれるが、要はルーターのファイアウォールに穴を開けて、ルーターからカメラへ通信を受け流す設定と考えればよい。
固定IPアドレスまたはダイナミックDNSが必要
まず、ポートフォワードを行う前に、各インターネットプロバイダーと固定IPアドレスという契約を行う必要がある。
固定IPアドレスとは、その名前のとおり、ルーターのWAN側のIPアドレスを固定させてしまうことである。固定IPアドレスの契約をしていない場合、ルーターのWAN側のIPアドレスは常に動的に変化する。
もし、ルーターのWAN側のIPアドレスが動的に変化してしまうと、一度、ポートフォワードの設定を入れていても、いずれ外部からカメラに接続することができなくなる。外出先からカメラの映像を閲覧する場合、固定IPアドレスが必要となるのだ。
なお、プロバイダーとの固定IPアドレスの代わりとして、ダイナミックDNSという仕組みを利用してもよい。
ポートフォワーディングの設定方法
それでは実際の設定方法のイメージを説明しよう。今回は、IOデータ製の廉価版のルーターであるWN-G300R3で設定を行う。
まず、『詳細設定』で『ポート開放』のタブを選択する。『□ポート開放を有効にする』にチェックを入れる。
以下のように入力し、『設定』ボタン押下する。
設定名:任意の英文字
公開する機器のIPアドレス:ネットワークカメラのIPアドレス
プロトコル:両方(TCPとUDP)を選択
LAN側ポート番号:80
インターネット側ポート番号:8081(任意の数字)
これで設定は完了である。仮にルーターのWAN側のポートが『111.111.111.111』であった場合、『 http://111.111.111.111:8081 』と入力すると、外部からカメラの映像を閲覧することが可能だ。
2台目以降のカメラがあった場合
もし、カメラが2台以上あった場合は、以下のように、WAN側のポート番号を『8081』『8082』『8083…』のようにポート番号を変えればよい。
もちろん、ネットワークカメラだけではなく、PoE HUBやレコーダーに転送することも可能だ。
WANの固定IPアドレス:8080 → レコーダー 192.168.0.100へ転送
WANの固定IPアドレス:8081 → カメラ 192.168.0.101へ転送
WANの固定IPアドレス:8082 → カメラ 192.168.0.102へ転送
ポートフォワーディングと聞くと、何か難しい設定をしているように感じるかもしれないが、決してそんなことはない。ルーターのWAN側に接続依頼があった場合に、どこに転送するのかを決めるだけの作業である。
最初は戸惑うかもしれないが、慣れてしまえば非常に簡単な設定作業だ。
まとめ
*外出先からカメラの映像を閲覧する場合、ポートフォワーディングの設定が必要
*ルーターには固定IP(またはダイナミックDNS)の契約が必要
*カメラが複数台あった場合は、ポート番号で転送先を振り分けることができる