カメラの防水処理には主に2種類
ネットワークカメラには屋内向けのモデルと屋外向けのモデルが存在する。屋外向けのモデルは、一般的に雨などが降りかかっても故障することがない構造となっている。
なお、きちんと防水対策を行うためには各メーカーが推奨する施工方法で取り付けを行う必要がある。
また、カメラの防水対策の構造には大きく2つの種類が存在する。
一つ目が、LANケーブルの結線部分がカメラの外に伸びているピッグテール方式である。二つ目が、カメラ内部に結線するコネクタが存在する方式である。
筆者が考えるそれぞれメリットとデメリットについて説明したい。
ピッグテール方式とは?
ピッグテール方式は、その名前のとおり、LANケーブルの結線部分がブダのしっぽのように外に出ているタイプのカメラである。
例えば、以下のようなイメージだ。
この方式のメリットは、ケーブルの結線部分さえきちんと防水対策を行えばカメラ本体に浸水する可能性が低いことである。
例えば、軒下にカメラを取り付けする場合を想定してほしい。当然、カメラのドーム部分は雨などで水が降りかかる。
LANケーブルの結線部分は天井裏に格納することができれば、雨漏りでもしない限り、カメラに浸水することはない。
しかし、デメリットも存在している。それは、このピッグテールのコネクタを格納することができない場合である。
例えば、天井がコンクリート製であった場合、コネクタ部分を天井裏に隠すことはできない。
ケーブル部分は露出してしまうため、プルボックスなどを利用して、結線部分を雨から守る必要がある。
この場合、ケーブルの結線部分は、防水テープでしっかりと巻き付け水が入らないように施工しなければならない。
この処理がうまくできていない場合、コネクタ部分から浸水してしまうリスクがある。ポールにカメラを設置する場合なども注意が必要だ。
カメラ内部にコネクタがある場合
防水対策の二つ目がカメラ内部にコネクタがある場合である。ピッグテールのようにケーブルの結線部分は露出していない。
カメラの内部にゴム製のキャップがあり、これを通すことで防水処理を行うものである。
AXIS M2026-LE Network Camera installation tutorial
この対策のメリットは見映えがよいことである。仮に天井がコンクリートなどであった場合も結線部分を露出させる必要がないため、比較的、キレイにカメラを設置することができるのだ。
しかし、この方法も万能ではない。ゴム製のキャップを適切に通線出来ていない場合、ケーブルを伝わって水が内部に入り込むリスクがある。
ゴムキャップは、凸部分が最終的にカメラの外側に出っ張るように通線しなければならない。ゴムキャップが凹んだまま通線してしまうと、ケーブルを伝わってカメラ内部へ水が入り込んでしまう。
特に、ケーブルがカメラの上に伸びている場合は注意が必要だ。できれば、カメラの結線部分は下側になるように設置することが望ましい。
屋内であっても防水対策には気を付けなければならない
防水対策は、屋外設置だけでなく、屋内に設置する場合も注意が必要だ。例えば、結露の問題である。工場などで、部屋の内部と天井裏で温度差が発生した場合、結露によりカメラ内部に水が入り込んでしまうことがある。
結露によりカメラへ浸水がないようにLANケーブルやビスの穴をしっかりとふさいだり、結露が発生した場合も、カメラへの浸水がないように場所をずらして設置するなどの対策が必要である。
また、食品工場などでは湯気や蒸気によりカメラに対して水分が付着するリスクもあるため、屋内であっても防水・防塵対策のモデルが必須となる。
カメラの施工だけでは限界があるのも事実
これまでカメラの施工方法による防水対策を説明したが、さすがにカメラの設置対策だけでは、防水性能の限界がある場合も存在する。例えば、天井裏の雨漏りだ。
どんなにケーブルの結線部分を防水テープなどで巻いていても(あるいはシーリング剤などで防水対策を行っていたとしても)、さすがに天井裏に雨漏りなどで多くの水が溜まってしまった場合、カメラの防水対策では防ぐことができない場合もある。
現在、一般的にカメラの防水等級は、IP66となっているモデルが多い。これは散水に対する防水である。きちんと施工がされている状態であればホースで水をかけても故障することはない。
しかしながら、カメラ周辺がお風呂のように水が溜まってしまうような状態になってしまうと、内部への浸水を防ぐことは困難だ。
最後に
一般的に、ネットワークカメラに対して、浸水があり故障が発生した場合、メーカーでも修理を受付できないケースが多い。当然、保証期間中であっても修理や交換は不可能だ。
そのため、浸水が発生した場合は、設置した業者間で揉めてしまう要因となる。
『カメラ本体の防水機能が不十分なのか?』『カメラの設置方法に問題があるのか?』『配線方法に問題があるのか?』『そもそも建屋そのものに問題があるのか?』など、なかなか判断が難しい場合もある。
このようなトラブルを防ぐためにも、カメラの設置を行う施工業者はメーカーが指定している施工方法に準じて取り付けを行うように心がけて欲しい。