ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

Hikvision ColorVu(暗い場所でのカラー撮影について)

ネットワークカメラの進化は低照度環境との戦い

 

 この10年間のネットワークカメラの進化の過程を振り返ってみると、大幅に向上した性能の1つに『低照度環境での撮影』がある。つまり、“どの程度、暗い場所でもカラーで撮影できるのか?”ということだ。

 

 従来のネットワークカメラ(監視カメラ)システムでは、暗い場所で撮影することは非常に困難であった。夜間には、白黒の映像に切り替わるということが常識となっていた。

 しかしながら、CMOSセンサーやレンズ、映像処理エンジンの性能が大幅に向上したことにより、非常に暗い環境下においてもカラー撮影ができるようになってきた。

 

 各ネットワークカメラメーカーは、いかに暗い場所でも撮影ができるのか競い合うことで、性能を大きく向上させてきた。理論上は、解像度を上げるほど、暗い場所での撮影ではノイズが目立ってしまうというデメリット(トレードオフの関係性)がある。

 各ネットワークカメラメーカーは、高解像度化しながらも、暗い場所でも撮影ができるように、切磋琢磨し、開発やマーケティング活動を進めてきたのだ。

 

 筆者も例外ではなく、『当社のカメラは、他社のカメラと比較しても、暗い場所での撮影は強いですよ!』『仕様上は、ロウソク1本くらいの明るさがあれば、カラー撮影ができますよ!』などというセールストークを以前はよく使っていたものだ。

 

 とはいえ、近年のネットワークカメラにおいては、もうどのメーカーも、ある程度の性能は保有しており、低照度環境における撮影性能で差別化するのは困難であると思い込んでいた。低照度環境での撮影性能については、もうとっくに成熟化した市場だと思っていた。

 

 

 しかし、そんな時に、Hikvisionでは『ColorVu』という技術を保有したカメラを展開していることを知った。ColorVuの詳細については、後ほど、説明するが、これにより低照度環境での撮影性能は次のフェーズへとステップアップしつつあることを認識したのだ。

 

 

ColorVu(カラービュー)について

 

 ColorVuとは、非常にざっくりと説明すると『非常に暗い環境でも、カラー撮影ができるカメラ』のことである。基本的には、夜間に白黒モードに移行することはなく、暗い場所でもカラーで撮影し続けることができる。

 

 ColorVuの基本性能としては、大きく3点ある。1点目に、F1.0のレンズを採用しているということだ。理論上は、F値が低いほど、レンズ(絞り)を開くことができるので光を多く取り込むことができる。

 

 2点目に、超高感度のイメージセンサーを搭載しているということだ。高解像度化しながらも、ノイズの少ない映像を生み出すことができる。3点目に、ホワイトライトを搭載していることだ。通常の監視カメラであれば、夜間には赤外線投射を行う。しかし、ColorVuカメラの場合、必要に応じて、ホワイトライトを投射することで、カラー撮影を実現している。

 


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筆者が購入したカメラ DS-2CD2047G2-LU/SLの実力

 

 実際に筆者が購入したDS-2CD2047G2-LU/SLでの検証結果を紹介しよう。

 

 まずは、筆者が普段、利用しているスマートフォンで撮影した写真だ。

 

 

 スマートフォンで撮影した写真の場合、真っ暗で全く何も見えない状態となっている。

 

 

 

 それでは、ネットワークカメラで撮影した画像を紹介しよう。

  ↓  ↓  ↓    

 

 これが、ネットワークカメラで撮影した画像である。先ほどのスマートフォンで撮影した画像は真っ暗で何も見ることができなかった。しかし、ネットワークカメラで撮影した画像の場合、カラー映像となっている。

  ※なお、上の画像は、ホワイトライトを使用していない状態だ。このようにホワイトライトを使用しない状態でも、暗い場所でのカラー撮影が可能だ。

 

 

 ホワイトライトを使用した画像は以下である。

   ↓  ↓  ↓

 

 ホワイトライトを使用した場合、あまりにも私物がはっきりと映ってしまうため、一部、マスキングをしたことをご了承頂きたい。

 

 このように、ColorVuのカメラを利用すると、暗い場所でもカラー撮影ができるのだ。

 

 

カラー撮影ができるメリットとは?

 

 カラー撮影ができるメリットは、様々なことが考えられるが、筆者にとって最も重要なことは『画像解析に強い』ということだ。近年のネットワークカメラにおいては、単に防犯対策で利用されることだけではなく、様々な『画像解析』に利用されるようになっている。

 

 例えば、ヒトと車両を区別してモーション検知を行ったり、通行する人数をカウントしたり、ヒトが転倒した際に検知を行ったり、様々な映像ソリューションが開発されている。

 

 このような映像ソリューションを利用する際に、やはり『暗い場所での撮影に強いカメラの方が高い検知精度が期待できる』のだ。映像ソリューションを活用していく上でも、夜間に強いカメラは有効である。

 


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ColorVuはさらなる進化を遂げる

 

 筆者が、さらに驚いたことは、ColorVuは固定カメラだけではなく、可変焦点レンズのモデルも存在しているということだ。

 


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 まだ、固定レンズのモデルであれば、ColorVuの技術について筆者も理解はできる。しかし、可変焦点のレンズで、ズームができるにも関わらず、なぜこのようにF1.0を維持しながら、カラー撮影が実現できるのか、もはや筆者はうまく説明することができない。

 

 

 また、上位モデルでは、ColorVuの広角カメラとPTZカメラが一体化したタンデムビューというシリーズもあるようだ。

 


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 ColorVuを搭載した広角レンズで広範囲を撮影しながら、特定の場所に対して、スポット的にズームを行い撮影することができるようだ。雑な言い方かもしれないが、『すげー』としか言いようがない…。

 

 

 なんだかColorVuのカメラをベタ褒めするような記事になってしまったが、筆者としては、この技術は本当にすごいものだと考えている。これを機に、日本でも夜間のカラー撮影が標準化されることを期待したい。

 

まとめ

  •  ColorVu(カラービュー)カメラは夜間でもカラー撮影ができるカメラである。
  •  暗い場所の撮影に強いことで映像ソリューションへの活用も期待できる。
  •  上位モデルでは、Zoom機能を搭載したモデルやPTZカメラと一体化したモデルもあるようだ。