ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

ブランドに対する忠誠度と販売スキルを指標としたチャネル戦略

チャネル戦略について

 

 このブログは匿名で記載しているため、あまり筆者の素性は書きたくないのであるが、実は筆者は”文系”の人間で、どちらかというと社会科(経済学やマーケティング分野)に興味を持っていた。

 

 そのため、今回は、特別に筆者が考えるチャネル戦略について説明していきたい。

 

  ※なお、少々、乱暴な表現があることはあらかじめお詫びしておく。

  ※また、筆者の職場とは全く無関係であり、あくまでも筆者個人の考えであることを強調しておく。

 

 

忠誠度と販売スキルを指標にしたチャネル戦略とは?

 

 筆者が約10年ほど前から提唱していたのが『ブランドに対する忠誠度と販売スキルを指標としたチャネル戦略』である。

 

 仮のシチュエーションとして、筆者が、<監視カメラの新商品を市場に浸透させる>というミッションがあったとする。監視カメラの販売ルートは、メーカー直販ではなく、基本的に、販売店などのチャネルを通じてエンドユーザーに提供するものとする。この時のチャネル戦略について考えていきたい。

 

 まず、X軸に『自社ブランドに対する忠誠度』、Y軸に『販売スキル』を描く。

 そして、販売店(チャネル)を大きく4つのセグメントに分類する。

 

 

 

①自己完結チャネル

 

 *このセグメントは、新商品を売る営業力やIT知識などをすでに保有している販売店である。販売店のセールスマンに対する商談支援や勉強会はほとんど実施しなくても、すでに新商品を販売するスキルを保有している。また、ブランドに対する忠誠心も高く、競合他社の商材を販売するリスクも低いチャネルである。

 

 *このように、商談を自己完結できる販売店に対しては『モノ』『カネ』のリソースを投下することが非常に重要である。つまり“拡販キャンペーン”などを企画するのである。目標台数を達成すると、インセンティブ(達成報奨金)を支払うなど、『カネ』のリソースを重点的に使うのである。また、デモ機やサンプル品などの『モノ』を提供することで実績を飛躍的に拡大することができる。

 

 *自己完結チャネルは、最も実績を生み出す貴重な販売店である。ただし、新商材の展開時には、このような自己完結チャネルはほとんど存在しない。

 

 

②商談支援チャネル

 

 *このセグメントは、ブランドに対する忠誠度は高いものの、肝心の営業力やIT知識などが不足している販売店である。つまり、競合他社の商材を販売するリスクは低いものの、新商材を販売するスキルが不足しているケースである。

 

 *このように販売スキルの向上が必要なチャネルに対しては『ヒト』の支援が非常に重要である。新商材の学習会を開催したり、商談支援を積極的に行うことによって、OJTを行い、販売スキルを高めていく。最終的なゴールとしては、①の自己完結チャネルに成長させることである。

 

 *商談支援チャネルは、販売スキルが低いため、スタート時はなかなか実績が出ないという問題が起きる可能性がある。根気強く人的支援や教育活動を行うことで、新商材の販売スキルを高めていく必要がある。また、人的リソースが限られている場合、チャネルの優先順位を決めておくことも重要だ。モチベーションやポテンシャルの高いチャネルを優先的に対応する必要がある。これを怠ると人的支援を止めた途端に、実績も止まってしまうリスクがある。

 

 

③情報提供チャネル

 

 *情報提供チャネルは、いわゆる“競合他社商材の併売店”である。もともと、競合他社の商材を中心に販売しているが、時々、自社の商材も売ってくれるような販売店である。当然、ブランドに対する忠誠心は低い。しかしながら、営業力やIT知識は高いチャネルである。

 

 *このようなチャネルに対しては『モノ』『情報』の支援が重要だ。競合他社製品と比較した際のメリットやタイムリーな情報提供が必要となる。また、サンプル品などを貸出し、評価させることも重要だ。これを行うことで、少しずつブランドに対する忠誠心を高めることができる。つまり、信頼関係が生まれてくるのだ。

 逆に、『ヒト』の支援はあまり効果が期待できない。新商材の勉強会や商談支援を行おうとしても、すでに競合他社がいるため、なかなかスケジュールが組めないケースも多い。

 

 *情報提供チャネルは、競合他社の商材を主力として販売しているため、“情報漏洩”に気を付ける必要がある。自社の“強みや弱み”が競合他社にバレないように注意しなければならない。また、商談によっては、既存チャネルと競合になってしまうこともあるだろう。③情報提供チャネルと既存チャネルが1つの案件で競合してしまった場合に、どのように対応するのかルールを決めておく必要がある。

 

 

④後回しチャネル

 

 *ネーミングが悪いかもしれないが、④後回しチャネルは対応の優先順位を下げる販売店である。つまり、競合他社の商材を中心に販売しており、営業力や技術的なスキルも低いチャネルである。

 

 *このようなチャネルに対しては、リソースを投下しすぎないように注意しなければならない。ポテンシャルが低いチャネルにもかかわらず、なんとなく時間をかけてしまっているケースも少なくない。経営資源は限られていることから、メリハリをつけることが重要だ。

 

 *ただし、後回しチャネルについても、最低限の情報提供は継続しておくべきである。M&Aや経営者の交代などによって急激に販売力が伸びるケースもあるため、定期的に情報提供を行っていく必要がある。

 

 

まとめとして

 

 まとめると以下のような戦略である。

 

 

 ①の自己完結チャネルは『モノ』や『カネ』などの”キャンペーン”によって、実績を拡大する。

 ②の商談支援チャネルは『ヒト』による教育や商談支援によって、①の自己完結チャネルに成長させる。

 ③の情報提供チャネルは『モノ』や『情報』を提供することで、信頼関係を構築する。

 ④の後回しチャネルについては、最低限の情報提供は継続して実施する。

 

 

 これが筆者が以前から考えていた『ブランドに対する忠誠度と販売スキルを指標としたチャネル戦略』である。

 

 なお、この戦略を成功するためには『キラーソリューションがあること』が前提となる。キラーソリューションについては、別の記事で説明したい。