数年前、Axis Lightfinderテクノロジーに驚かされた!
いまからもう5年以上も前のことだと記憶しているが、ネットワークカメラに携わる多くの人間が1つのプロモーションビデオに非常に驚かされた。
それが、アクシスコミュニケーションズ社のAxis Lightfinderテクノロジーのサンプル動画である。肉眼ではほとんど見えないような真っ暗闇の中で撮影しているのに、まるで昼間に撮影しているかのような映像なのである。
一見すると、単に夜が明けるシーンを撮影しているように見えるが、実はそうではない。ずっと暗い場所で撮影をしており、徐々にゲインを上げていくことで、まるで昼間のような映像になるのである。
AXIS Q1602-E Network Camera - Field tests with Deutsche Bahn, Germany
Axis Lightfinderテクノロジーは、なにか1つの技術が優れているわけではない。レンズ、フィルター、センサー、映像処理エンジンのすべてのバランスによって、暗闇でも撮影ができるように設計されているのである。
他社の追随
しかしながら、その後の数年間で他社のネットワークカメラも大きく進化を遂げた。他社のネットワークカメラにおいても、ほとんど光のない場所(例えば、月あかり程度)でも撮影ができるモデルがリリースされている。
カタログスペックだけを見ると、アクシスコミュニケーションズのネットワークカメラよりも最低照度性能が優れている他社のカメラも多くリリースされるようになった。
もはや、Axis Lightfinderテクノロジーの優位性は相対的に失われてしまったのだろうか…。
(※なお、以前から筆者は述べているが、ネットワークカメラのカタログに記載されているカタログスペックは参考程度でしかない。最低照度の測定方法には明確な基準がないため、各メーカーは、それぞれ異なる測定方法を行っている。
極端に言ってしまえば、シャッター速度をかなり遅くしてしまえば、ある程度、スペックの低いカメラでも夜間での静止画の撮影は可能である。
よって、カタログの数字を見ただけでは、どちらのカメラが優れているのか判断するのは極めて困難である。)
Axis Lightfinderテクノロジー2への進化
このように低照度性能においては競合との差別化が困難になってきている中で、ついに革新されたのが、Axis Lightfinderテクノロジー2である。
まずは、以下の動画をご覧いただきたい。
AXIS LIGHTFINDER 2.0 Comparison
画面左の映像がAxis Lightfinderテクノロジー2をONにした状態で、画面右の映像がOFFにした状態である。0.05ルクスの極めて暗い場所においてもカラー撮影を行うことができている。
Axis Lightfinderテクノロジー2は新しいチップセット<ARTPEC-7>を搭載したカメラで実現する。進化した点について、アクシスコミュニケーションズ公式のホワイトペーパーには以下のように記載されている。
Lightfinder 2.0は、画像処理パイプラインの完全な再設計により、画像の乱れの少ない一層鮮明 な画像を提供します。カメラの全般的な光感度を高めるだけでなく、Lightfinder 2.0は、より正確 な色再現性、ホワイトバランスの向上、そして影や暗い被写体を浮き上がらせることのできる可 能性の向上を実現します。
また、Lightfinder 2.0には、時空間フィルタリングを制御するための新しい設定も搭載されていま す。これは、特定のインテリジェントアプリケーション向けに画像を最適化する必要がある、上 級ユーザーにとって特に役立ちます。
まとめ
ネットワークカメラは、この数年で、アクシスコミュニケーションズだけではなく、様々なメーカーのモデルも大きく進化を遂げた。
以前は、Axis Lightfinderテクノロジーなど低照度性能で優位性を持っていたアクシス社であるが、他社でも、ハイクビジョン社のダークファイター、VIVOTEK社のSupreme Night Visibility、パナソニック社のカラーナイトビジョンなど、様々な技術が展開されている。
このようにコモディティ化しつつある市場環境において、満を持してリリースされたのが新しいチップセット<ARTPEC-7>およびAxis Lightfinderテクノロジー2である。
繰り返しになるがネットワークカメラの低照度性能は、カタログスペックを見ただけではわからない。また、単に暗闇に強いと言っても、実際の設置環境でどれがけ効果を発揮できるのかが最も重要である。
これからネットワークカメラの市場が、Axis Lightfinderテクノロジー2をどのように評価し、浸透されていくのか注目される。