ネットワークカメラ推進会

ご意見・ご相談はtwitter(@NetworkcameraPC )へお願いします。記載している機器の仕様および操作手順には誤りがある場合がございます。必ずメーカー公式サイトをご確認願います。

望ましい映像とは何か?

綺麗な映像よりも大切なこと

 筆者は、以前から感じていたことであるが「ネットワークカメラを利用する一般ユーザー側」と「ネットワークカメラを販売するベンダー側」では、映像に対する“見方”がやや異なっているように感じている。

 

 

 まずは、以下の写真をご覧いただきたい。

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 海岸沿いを走る車の写真であるように見える。パッと見では非常に芸術的でキレイな写真である。一般のユーザーがこの写真を見ると、おそらく「キレイな画像だ!」と感じるであろう。

 しかしながら、これは必ずしも正しいとは限らない。

 

 

 

 

 次に、以下の写真をご覧いただきたい。

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 いかがだろうか?

 これは先ほどの写真を加工したものである。パッと見では、全体的に明るく補正しすぎており、写真としてはキレイだとは言えないかもしれない。しかしながら、ネットワークカメラの画像としては、先ほどの写真よりも望ましい画が得られていると言える。

 

 

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 まず、気になるのがタクシーに乗っている「同乗者」の存在である。1枚目の写真では、後部座席にヒトが乗っていることにあまり気づきにくい。しかしながら、補正後の写真では、同乗者がいることに気づきやすい。

 

 また1枚目の写真では左側の歩道にヒトが歩いていることには、まず気づくことができないが、補正後の写真では複数のヒトがあるいていることが確認できる。

 さらにいうと、1枚目の写真ではタクシーのカラーを判別することは困難であるが、2枚目の写真では緑色に近い車両である可能性が高いことが分かる。

 

 つまり、ネットワークカメラの映像において重要であることは「パッと見での映像がキレイと感じるかどうか?」ではなく、「見たいものが適切に見ることができるかどうか?」ということである。

 

<注意点>

 ※筆者は勝手に同乗者っぽい被写体が見えたので上記のような記載をしているが、もしかするとヒトではなく、ただの車の部品の影かもしれない。

 

写真を比較する

 2つの写真を比較するとより分かりやすい。1枚目の写真では暗くてよく見えなかった部分が2枚目の写真では見えることが分かるであろう。極論を言ってしまえば、ネットワークカメラの映像については、必ずしも綺麗である必要はないのである。見たいモノが見えれば、その方が望ましいのだ。 

 

 

 

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【参考】ワイドダイナミックレンジ(逆光補正)

 このような映像の補正の例として挙げられるのが「ワイドダイナミックレンジ(逆光補正)」である。実は、強い逆光補正の設定を入れると映像全体が「人工的に作られた画」のように見えるケースがある。

 よりナチュラルな映像が欲しい場合は逆光補正は入れない方が望ましい場合もある。

 

 

 カラーである必要はない場合もある

 続いて、以下の画像をご覧いただきたい。

 

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 ナンバープレートを撮影した場合、カラーの画像とモノクロの画像ではどちらが数字を読み取りやすいだろうか?

 もちろん、カラーの画像も「P160 460」という文字を読み取ることも可能ではあるが、モノクロの画像の方が、はっきりと数字を見ることが可能である。ナンバープレートを認証するようなシステムの場合、(あくまでも撮影環境によって異なるが)モノクロの方が読み取りの精度が高まるというケースも少なくない。

 

 つまり、ネットワークカメラの世界においては、エンドユーザーの導入目的にマッチしているかどうかが非常に重要であり、極論をいうと、映像の美しさは関係がないのである。

 

 

サーマルカメラの映像とは?

 以下の動画をご覧いただきたい。左側の映像が「サーマルカメラ」の映像で右側が「カラーまたはモノクロ」の映像である。

 


AXIS Perimeter Defender PTZ Autotracking

 

 サーマルカメラは遠赤外線を利用して撮影を行うカメラであるが、その特性上、「被写体が何か?」を撮影し、識別することはできない。

 しかしながら、「何らかの物体が映像内(または敷地内)に入っているかどうか?」という存在を確認・検知するのには、絶好のカメラである。

 

まとめ

 これまで、キレイな映像を否定するかのようなことを書いてしまったが、筆者は必ずしもキレイな映像を否定するわけではない。やはり直感的に見て「キレイ」と感じる映像が求められる場合もある。

 例えば、観光地のPRである。近年では、ネットワークカメラの映像をホームページに埋め込み、映像を公開しているケースもあるが、このように観光地の映像を配信するようなケースでは「誰が見ても綺麗」だと感じる必要がある。

 

www.pref.shizuoka.jp

 

 

 つまりは「ユーザーが何のためにカメラを導入したいのか?」という視点が最も重要なのである。直感的にキレイだと思える映像が必要な場合には、カメラの映像品質がキレイなメーカーのモデルを導入する必要がある。

 一方で、特定の見たい被写体が決まっている場合においては、必ずしもキレイな映像は必要ではなく、「自動補正機能が優れたカメラ」を導入した方が望ましい場合もあるのだ。

 冒頭で、ネットワークカメラのベンダーは映像に対する見方が一般ユーザーと異なると記載したのは、この点である。ネットワークカメラのベンダーは単純に映像がキレイかどうかをチェックしているのではなく、「目的に応じて望ましい画を取得できるかどうか?」を重要視しているのだ。

 

 一般のユーザーも展示会などでネットワークカメラの映像を見る機会があるかもしれないが、その場合は、単純に直感的なキレイさを求めるのではなく、欲しい映像が得られるかどうかを考えながら見ていくと、新たな視野で製品を見極めることができるであろう。