ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

ネットワークカメラにおけるタイムサーバーの必要性

ネットワークカメラシステムは時刻がずれる

 

 ネットワークカメラのレコーダーを導入してしばらく経過すると、実際の時刻とレコーダーの時刻がズレてくることがある。

 例えば、実際の時刻は15時00分であったと仮定すると、レコーダーが15時05分など少しずつズレるのだ。

 

 これは、ネットワークカメラのレコーダーに限ったことではなく、オフライン環境の端末の共通の課題である。

 

 PCも、インターネットに接続ができる環境下であれば時刻の修正を自動的に行うが、オフライン環境下では設定したはずの時刻が少しずつズレる。

 

 レコーダーには電波時計のような機能はないため、時刻がズレることはある意味、必然的なのだ。

 

 

 しかし、一般的には、このような数分程度の時刻のズレはそれほど大きな問題ではない。

 

 

 例えば、防犯カメラとしてネットワークカメラを導入している場合、警察関係者が映像の確認を求めてくることがある。

 

 その時に最初に行う作業が『実際の時刻とレコーダーの時刻の差のチェック』だ。例えば、5分ズレていた場合、5分ズレていることを前提に映像をチェックすればよいだけなので、運用でカバーできるのである。(※実際には秒単位でズレを確認する。)

 

 また、オフライン環境下でどうしても時刻を補正したい場合は、定期的に時刻の修正を行えば良い。

 

 時刻のズレなど、それほど大きな問題ではないのだ。

 

時刻のズレがシステム上のリスクとなる場合

 

 上述したように一般的な運用としては、時刻のズレは大きな問題ではない。

 

 しかしながら、以下のようなトラブルの原因となるケースもあるので注意が必要だ。具体例を紹介しよう。

 

時刻の補正でレコーダーのデータが消える

 

 レコーダーに大幅な時刻のズレがあった場合、時刻を補正することで、映像の一部を消失してしまうケースがある。例えば、15時00分を14時30分に、30分ほど変更したとしよう。

 

 過去の録画データも時刻のデータを持っているが、この値も変更していかなければならない。録画データが多い場合、非常に大量のデータの補正が必要となるため、レコーダーの負荷が大きくなったり、最悪の場合、過去の録画データが閲覧できなくなるリスクがある。

 

 30分の時刻を変更することで、30分のデータが失われてしまうケースもある。

 

 一般的な防犯対策として導入しているユーザーであれば、30分程度の録画の消失はそれほど問題ではないが、金融機関やサーバールームなどクリティカルな環境下で撮影行っている顧客にとっては、重要なデータが失われてしまうリスクがあるのだ。

 

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レコーダーからカメラの映像が見えなくなる

 

 レコーダーの時刻が狂うことで、最悪の場合、カメラの映像が見えなくなるリスクもある。 

 

 レコーダーとカメラは一般的には、カメラの【ユーザー名】と【パスワード】によって認証される。つまり、レコーダー側からカメラに接続し、<もともとカメラに設定していたパスワード情報>と<レコーダーに設定したパスワード情報>の整合性が取れた場合に、ようやく映像を取得することができるのだ。

 

 しかし、ONVIF接続をしているレコーダーやVMSの一部では、ユーザー名とパスワードだけでなく、時刻のチェックも行っている場合がある。つまり、レコーダーとカメラのパスワード情報が合致していたとしても、時刻のズレがあった場合、うまく認証できず映像が取得できなくなるのだ。

 

 ※例えば、上記の回避策として、システムケイ社のNVR-204 Mk2の場合、キヤノン製の一部のネットワークカメラを登録する場合、『認証時の時刻チェックを行わない設定』を推奨している。

 

nvr.bz

 

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時刻を補正する方法

 

 ネットワークカメラシステムにおいて、各機器の時刻を正しく設定したい場合、タイムサーバーを導入すると良い。

 

 インターネット環境がある状況であれば、公共のタイムサーバーに接続することで時刻の補正が可能だ。ダイムサーバーのURLは以下などがある。

 

立行政法人情報通信研究機構(NICT)
 NTPサーバーアドレス:ntp.nict.jp
 
インターネットマルチフィード(MFEED)
 NTPサーバーアドレス:ntp1.jst.mfeed.ad.jp
 NTPサーバーアドレス:ntp2.jst.mfeed.ad.jp
 NTPサーバーアドレス:ntp3.jst.mfeed.ad.jp

 

 インターネット環境がないオフライン環境下の場合は、GPSやFM電波などから時刻情報を取得するタイムサーバーという装置を購入し、各機器と同期を行う必要がある。

 

tic.citizen.co.jp

 

www.grasphere.com

 

 また、ROD社のDIGISTORの場合、GPSなどで正しい時刻を得る機能はないが、自身の保有する時刻を各端末に返答するNTPサーバーの親機として活用することも可能である。

 

 レコーダーさえ時刻を適切に補正しておけば、各端末もレコーダーの時刻と同期させればよい。

 

www.rodweb.co.jp

 

PC(Windows10Pro)でNTPサーバーに時刻を合わせる方法

 

 明日の記事では、インターネット環境がないオフライン状態において、PC(Windows10Pro)で同一ネットワーク上にあるNTPサーバーへ同期させる方法について説明する。

 

 何も設定をしないとインターネット上の【time.windows.com】と同期しようとしてしまうため、同期ができず、時刻が狂ってしまうのだ。

 

 GPSなどで適切な時刻を取得できるタイムサーバーを導入した場合でも、レコーダーだけではなく、PCもタイムサーバーと同期をさせなければならない。

 

 意外と設定が漏れるケースも多いため、次回の記事で説明したい。