レコーダーには2種類ある
ネットワークカメラのレコーダーには大きく分けて2パターンの挙動を行うものが存在している。
1つ目が『レコーダーがカメラに対してコマンドを送信し、カメラの設定値を書き換えるもの』である。
2つ目が『レコーダーはカメラの設置値を書き換えず、カメラから映像(ストリーム)を取得するもの』である。
パターン①のメリットとデメリット
レコーダーがカメラの設置値を書き換えるパターン①は、レコーダーが強い権限を持つことでシステムを安定化できるメリットがある。納品時もカメラはIPアドレスとパスワードをしっかりと設定していれば、あとはレコーダーが解像度やフレームレートを設定するので、比較的、楽に設定を完了することができる。
もし、カメラの交換や誤操作など、何らかの要因でカメラの設定値が書き換わってしまった場合も、レコーダーがカメラの設置値を書き換えるので、レコーダー側さえしっかりと設定しておけばよい。録画が停止してしまうリスクが少ない。
一方で、デメリットは他のシステムとの併用である。仮に、レコーダーで解像度【1920×1080】で映像を取得していた場合に、他のシステムで異なる解像度で映像を取得しようとすると、うまく映像が取得できないリスクがある。
パターン②のメリットとデメリット
レコーダーがカメラの設置値を書き換えないパターン②は、他のシステムとの併用が比較的、得意である。レコーダーはカメラの設置値を優先して映像を取得するため、カメラ本体側の解像度やフレームレートを変更すれば、レコーダーや他システムの2つの設置値を変える必要はない。常にカメラの設置値や能力を活かすことができる。
一方で、デメリットはレコーダーの録画が停止するリスクがあることである。カメラとレコーダーの設定値に差異が発生してしまった場合、レコーダーからうまくカメラの映像を取得できないリスクがある。
どちらが良いということはない
レコーダーがネットワークカメラ側の設定値を書き換える場合も、書き換えない場合も、どちらが良いというわけではない。あくまでもユーザーの運用次第である。
レコーダーを中心としたシステムを構成したい場合には、パターン①のレコーダーがカメラの設置値を書き換える方が望ましいと言える。ビューワー(閲覧用端末)は、レコーダーのものだけを利用することが原則となる。
一方で、レコーダー以外のビューワーも利用する場合は、パターン②のレコーダーがカメラの設置値を書き換えない方が望ましいと言える。
上記はあくまでも理論上の話であるため、パターン①でもパターン②でも、動作検証をしっかりと行うことができていれば、他のシステムとの併用も可能である。
ただし、ネットワークカメラを販売するベンダー側も、利用するユーザー側も、レコーダーがカメラの設置値を書き換える可能性があるということは理解しておく必要がある。
何も分からずに、1台のカメラに対してレコーダーを複数台設置したり、いろいろなシステムを導入してしまうと、カメラが正常動作できなくなり、システムが不安定化してしまうリスクがある。
レコーダーがカメラの設置値を書き換える可能性があるということを理解したうえでシステムを拡張していくことが望ましい。