特殊用途向けのカメラ
今回は、数あるネットワークカメラの中でも<珍しい機種>をいくつか紹介する。
決して、メジャー向けの製品ではないが、特定の用途では抜群の能力を発揮する機種である。
サーマルカメラ
最初に紹介したいのが、アクシスコミュニケーションズのサーマルカメラである。なかなかイメージしにくいかもしれないが、このカメラは熱感知による撮影を行うことができるモデルである。
現在の通常のネットワークカメラについては、暗闇での撮影に非常に強くなっているが、まっ暗な環境下ではさすがに撮影することができない。また、煙が立ち込めるような場所では撮影が困難だ。
このように通常のネットワークカメラでは撮影が困難な場所でも撮影ができるカメラがサーマルカメラである。私が文章で説明するよりも下記URLにデモの映像があるのでご覧いただきたい。
ただし、映像を見ていただくとわかる通り「個人の顔や洋服などを識別することはできない」ため注意が必要だ。外周監視などで侵入者の存在を確認するための目的としては最適である。
ソニー デュアルライトシステム
リンクで張り付けたURLがやや古い記事であることが申し訳ないが、発表当初から筆者が不思議に感じていたのが、ソニーのデュアルライトシステムである。
この機能は、赤外線だけでなく、白色LEDも搭載したシステムである。通常の赤外線投射ができるカメラの場合、どうしても撮影時はモノクロの映像になる。そのため、カラー撮影したい場合は、一般的には別途、防犯ライトを設置する必要があった。
しかし、このデュアルライトシステムでは、赤外線と白色LEDの両方が搭載されているのだ。被写体が30m付近にある場合は赤外線投射を行い、5m程度の近距離になった場合は、動体検知機能でカラーの白色LEDにに切り替わるという。従来のように別途、防犯ライトを設置する必要がないのだ。
ナイトモード(モノクロ)からデイモード(カラー)に瞬時に切り替える必要があるため、技術的にもなかなかすごいと筆者は考えている。
(※ただし、以前からが疑問に筆者が感じていたこととして、被写体が2体以上あり、5m付近と30m付近の両方に存在していた場合、おそらくカラーの白色LED(投射距離:5m)が反応・投射するものと推測される。そうすると、おそらく白色LEDでは30m付近の被写体には光が届かないため、遠くの被写体の撮影ができなくなるリスクがあるのではないかと想定される。私も実機でテストしたわけではないので、もし反論がある場合は、コメントを頂きたい。)
キヤノン VB-M50B
このモデルもなかなか尖った機種である。主な特徴としては、100m先など遠くて暗い場所でもカラーで撮影ができるカメラである。肉眼では見えないような暗い場所でも、カラー撮影が可能だ。
②のカメラを紹介した際に説明したが、赤外線投射を行う場合、どうしてもネットワークカメラはモノクロで撮影する必要がある。仮に、100m先の暗い場所を撮影する場合、高性能な赤外線投光器を利用すれば赤外線投射も可能であるが、映像はモノクロになってしまう。では逆に、高性能な白色LEDを利用して100m先を照らせばカラー撮影も可能なのだが、街中でそんなことをしたら眩しすぎて周囲からのクレームになるだろう。(※赤外線は人間の目では見えない。)
上記のように、暗くて離れた場所を撮影するのに最適なのが、VB-M50Bである。もし監視カメラの導入を検討するユーザーが、暗い場所をカラーで撮影したい場合は、この機種を思い出して欲しい。
ただし、このカメラの注意点としては水平画角が15度であるという点である。通常のズームカメラであれば、水平画角が50度~60度程度ある機種が多いため、水平画角15度はかなり狭いといえる。ほぼ正面をピンポイントでカラー撮影したい場合に最適なモデルだ。
まとめ
いかがだろうか。ネットワークカメラは市場の拡大に伴い、様々な用途に合わせて特殊なモデルがリリースされているのである。この他にも、超小型カメラなど珍しいモデルは多々あるが、それはまた次回にしておこう。