アクシスとハイクビジョン どちらが白飛びしないか?
今回、AXIS M1065-LとハイクビジョンのDS-2CD2145FWD-I 2.8mm でどちらが近距離で赤外線投射を行った場合に、白飛びを防ぐことができるのか検証してみたので、1つの結果として残しておく。なお、上記の2機種であるが、そもそもスペックや製品のラインアップの立ち位置が大きく異なる。同等品ではないため、そもそも比較対象として適切ではないことをご理解いただきたい。以下の結果については、ほんの参考程度としてご覧いただきたい。
赤外線投射は強ければよいというわけではない!
そもそもなぜこのような検証を行うかというと、赤外線投射は強ければ強いほど良いというわけではないためである。ネットワークカメラのカタログを見ると、赤外線投射XXmという記載がある。一般的には、赤外線投射の距離が長い方が遠くまで撮影ができるため、スペックが高いと考えられる。この考え方は、間違っているとは言えないが、必ずしも適切ではない。
そもそも、この各メーカーが記載している赤外線投射距離のカタログスペックであるが、筆者はあまり信用していない。どこまで赤外線が届いたかの判定基準は各社でバラバラであるため、参考値でしかない。
また、赤外線がどのように放射するのかにも非常に影響する。つまり、赤外線投射のレンズを絞り狭い範囲で赤外線を投射すれば理論上は遠くまで赤外線投光することが可能であるし、より広く投射しようとすると必然的に投光距離は短くなる。
重要であることは、「見たい被写体に適切に赤外線があたっているかどうか?」である。仮に協力な赤外線投射であっても、光が強すぎると<白飛び>と呼ばれる現象が発生する。これは、投射した赤外線が強すぎたりして、反射することで余計に被写体が見えなくなることだ。よく車を運転していて、ハイビームで反射板などを照らすと反射板に何が書いてあるのか見えなくなることがあるが、イメージとしてはそれと似たような原理である。
繰り返しになるが、赤外線は強ければ強いほど良いというわけではなく、被写体に対して、ある面では優しく投射する能力が必要なのだ。
検証環境
今回の検証環境はかなり適当でるが、このようなイメージである。被写体との距離を50センチ以内として、ここから実際にカメラで撮影を行う。
検証結果
<アクシス>
まずは、アクシスのカメラの<赤外線投光前>の画像である。
まずは、アクシスのカメラの<赤外線投光後>の画像である。
<ハイクビジョン>
次に、ハイクビジョンの<赤外線投光前>の画像である。
最後にハイクビジョンの<赤外線投光後>の画像である。
筆者の感想として
今回、どの画像が良いか悪いか、それぞれ考え方は異なるため、あくまでも筆者の個人的な感想として記載しておく。
まず、最初に驚いたのは、ハイクビジョンの赤外線投射前の映像である。どちらもシャッタースピードは1/25にしているのだが、まさかこの暗さでカラー撮影できるとは思わなかった。このあたりはホワイトバランスなどの設定値次第かもしれないが、赤外線投射前のノイズが少ない印象だ。
また、赤外線投射についても「非常に優しい」印象を受けた。実は以前、別の中国製メーカーのカメラで赤外線投射を行った際に、あまりにも白飛びがひどかったので、今回のハイクビジョンのカメラもそのような結果になるのかと思っていたのだが、想像以上に優しい投光ができた。小さいアルファベットも読み取ることができる。
一方で、壁の中心にのみ投射されているため、光が当たっていない範囲が広く、暗い印象を受けた。
アクシスのカメラにつては、赤外線投射前はノイズが激しいが、それでも文字は読み取ることができる。また、赤外線投射後は、ちょっと光が強すぎるのか、小さいアルファベットについては若干、白飛び気味になっているが、一方で投射の範囲が広いため、壁のエンボス加工の素材も見ることができる。
まとめとして
いかがだろうか? 今回、筆者が適当にカメラを並べて、ほとんど無設定のまま投射しただけでも、2つのカメラで大きく異なる画像を得ることができた。(設定をいろいろと変更するとまた結果が違ったかもしれない。)
実際に、撮影をしてみてどのような映像を得られるのかは現場で撮影をするほか方法がないのであるが、何が何でも赤外線投射が強ければよいというわけではないことをご理解いただければ幸いだ。
繰り返しになるが、重要なことは「見たい場所に適切に光が当たっているか?また、必要以上に強くないか?」という点である。
なお、今回の検証では、アクシスは屋内用の据え置きカメラで、ハイクビジョンは屋外用のドームカメラであるため、その時点で公平な検証ではないことをご理解いただきたい。おそらく、また違う場所で撮影した場合は、異なる結果が得られる可能性も高いことを付け加えておく。