VIVOTEK NVR (ND9312)のデコードの能力
VIVOTEKのNVR(ND9312)は、非常にコストパフォーマンスが高いレコーダーの1つであるが、設定には一定の制限があるため注意が必要だ。その1つの制限がデコーディングの能力である。
デコーディングとはライブ映像や録画映像を同時に画面上に表示する場合の能力値である。
VIVOTEK NVR(ND9312)のデコーディング能力は以下の通りとなっている。
デコード性能
3840x2160 @ 30 fps (1CH)
1920x1080 @ 120 fps (4CH)
1280x720 @ 240 fps (8CH))
つまり、 仮にカメラ8台をフルハイビジョン(1920×1080)で30fpsで録画している場合に、8分割表示させようとすると、スペックが不足し正しく表示ができない可能性があるのだ。
この場合、解像度がレコーダーの処理能力をオーバーしてしまう。
表示の設定を行う場合は、上記の性能の範囲内で設計する必要がある。
VIVOTEK NVR(ND9312)は、2つのストリームを設定できる
この制約を解決する1つの機能が、NVRが2つのストリームを設定できるということである。つまり、録画映像は高解像度・高フレームで録画しながら、ライブ映像は解像度を落として表示させることが可能だ。
まず、現在の設定内容を確認する。
『カメラ』→『メディア』の順番で設定画面を開く。『ストリーム管理』を選択する。すると、現在のカメラの設定値の一覧を確認することができる。
例えば、カメラ02の設定値は、1920×1080 25fpsで録画していることがわかる。
『ビデオ』を選択すると、実際にストリームの設定の変更が可能である。『ストリーㇺ1』の設定値を【解像度 1920×1080 25fps 2Mbps】の設定値に変更した。
続いて、『ストーㇺ2』を選択して、2つ目のストリームの設定を行う。ストリーㇺ2については、【640×360】と低解像度の設定値とした。
これは、表示におけるレコーダーの負荷を軽減させるためである。
ライブ映像の右下に『ストリームの選択』ができるので、これでライブ映像表示の際に『ストリーム1を使うのか、それともストリーム2を使うのか』選択することができる。
もし、ライブ映像でそれほど高解像度の表示を必要としないのであれば、ライブ映像は低解像度の【ストリーム2】を選択することで、レコーダーの表示の負荷を軽減することが可能だ。
なお、『カメラ』→『録画』→『録画オプション』を選択すると、録画は『ストリーム1』で行っていることがわかる。つまり、録画は【1920×1080】の高解像度で行っているのだ。
繰り返しとなるが、録画は高解像度で録画しつつ、ライブ映像は低解像に設定することが可能だ。
ただし、1台のカメラに対してストリームを2種類設定した場合、当然ながら、カメラとレコーダー間の帯域はその分大きくなるので注意して欲しい。カメラ台数が少ない場合はそれほど気にすることはないが、数十台または数百台のカメラで設定を行う場合は、帯域がネットワーク機器の能力を超えてしまうリスクがあるので注意して欲しい。
NVR(ND9312)の場合、小規模向けのレコーダーとなっており、それほど帯域を気にする必要はないかもしれないが、いちおう覚えておくとよいだろう。
録画のスループットにも制限がある
また、レコーダーの設定を行う場合、処理速度として表示能力だけではなく、録画の能力についても制限があるため注意して欲しい。
NVR(ND9312)の録画における処理能力は以下の通りとなっている。
録画スループット
48Mbps
つまり、カメラが8台あった場合、1台のカメラで設定できる録画のスループットは、6Mbps以内に設計する必要があるということだ。あまりにも高いビットレートで設定してしまった場合、レコーダーの処理能力を超えてしまうため注意が必要だ。
例えば、上記の設定画面の場合、カメラ1台の設定値は2Mbpsとなっているため、問題ない。
2Mbps × カメラ8台 = 16Mbps となっており、まだまだ余裕がある。
しかし、仮にカメラ1台あたりの設定値を8Mbpsに設置すると、レコーダーの処理能力を超えてしまうリスクがある。
8Mbps × カメラ8台 = 64Mbps となってしまい、レコーダーの処理能力値である48Mbpsを超えてしまうのだ。
まとめ
- レコーダーには、ライブ映像の表示(デコード)の能力値と録画の能力値が存在している。
- レコーダーの能力値を超えるスループットで設定してしまった場合、何らかの不具合が発生する可能性がある。
- VIVOTEK NVR(ND9312)の場合、ストリームを複数設定することができるため、ストリーム1を高解像度、ストリーム2を低解像度で設定しておくことで、不具合を防ぐこともできる。