ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

24時間365日の稼働を目指す

その構成では無理ですよ!

 

 このような言い方はすごく乱暴かもしれないが、ネットワークカメラの分野においては「エンドユーザーが適切にシステム選定ができているとは言い難い」と筆者は考えている。

 

 よくエンドユーザーのコメントとして「防犯カメラだから、24時間365日止まらないシステムを構築する必要がある」「いざという時に、録画できていないと困る」「すぐに壊れてしまうような製品ではダメだ!」という言葉を聞く。

 

 しかしながら、実際には、<安物買いの銭失い状態>の構成となっている可能性がある。複数のベンダーに対して、見積依頼を行っても、どのシステム構成が望ましいのかどうか判断ができないのだ。

 

 結局、一番安い見積内容で導入してしまい、故障や障害が多発してしまうのである。常時録画をした場合、24時間、HDDに対して書き込みを行うのであるから、障害の確率が高いのは当然である。

 

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 あくまでも筆者の個人的な考えであるが、本当にダウンタイムをミニマムにしたいのであれば、それ相応のコストをかける必要がある。製品そのものを高品質なモデルにするほか、バックアップ体制を構築する必要がある。

 

 今回は、ダウンタイムを最小限にするためのポイントを説明したい。

 

 

 レコーダーのバックアップをどのように対応するのか?

 

RAID構成 

 

 ネットワークカメラシステムの中でも、重要な部分がレコーダーである。まず、システム構成として必要なことが、RAID構成である。RAIDに関する詳細な説明は割愛するが、簡単にいうとHDDを冗長化することである。 

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 例えば、上記はRAID1(ミラーリング)の構成であるが、2枚のHDDに録画しておくことで、1枚HDDが故障した場合も、2枚目のHDDにはデータを残すことができる。レコーダー内部に挿入するHDDで冗長性を保持するのだ。

 

 とはいえ、RAIDも完全に安心ができるものではない。例えば、RAID1やRAID5の場合、1枚までのHDD障害であれば復旧ができるが、2枚以上のHDD障害が同時に発生した場合、データの復旧が理論上できなくなってしまう。

 ネットワークカメラシステムの場合、常時録画だと24時間、HDDへ書き込みを行い消耗していくため、複数枚同時にHDDが故障することもあり得るのだ。本当にダウンタイムを最小にしたい場合、RAID構成だけでは十分ではない。

 

 なお、筆者の直感では、ネットワークカメラシステムにおいてはRAID0やRAID1、RAID5の録画装置が多い印象である。

  また、せっかくRAIDでHDDの冗長構成を組んでいた場合も、HDD故障時は送付修理となり、ユーザー自身でHDD交換ができないケースもあるので、導入前には十分にレコーダー修理に関するルールは確認して欲しい。

 

 

レコーダー本体のバックアップ体制を構築する

 

 上述の通り、HDDの冗長化だけでは、ダウンタイムの少ないシステムを構築するのは困難である。HDDだけではなく、レコーダー本体そのもののバックアップ機を用意しておく必要がある。

 

フェイルオーバー

 

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 レコーダーの1機目が障害を発生した場合、緊急避難的にレコーダーの2機目に録画を行う構成である。これをフェイルオーバーという。1台のメイン機がダウンしてしまった場合も、2機目が録画を開始するため、ダウンタイムを最小限にすることができる。

 

 正直にいうと、筆者の認識では、この機能を保有しているレコーダーは極めて少ない。上位ユーザー向けの高級なレコーダーやVMS(サーバー)で構築する必要がある。

 

 ところが、DIGISTORというレコーダーは、比較的安価な製品でフェイルオーバー録画に対応している。なかなか凄いので以下URLを参考にして欲しい。

 

www.rodweb.co.jp

  

 なお、フェイルオーバー録画を行うためには、当然ながらレコーダーは2台必要である。単純に、コストが2倍は必要なのだ。冒頭に筆者は、「それ相応のコストをかける必要がある」と記載したが、ダウンタイムを最小限にするためには、お金をかけなければならないのだ。

 

 また、フェイルオーバーの考え方については、録画装置だけでなく、ネットワーク機器も同様である。レコーダーによっては、HUBなどのネットワークの障害が発生した場合に、カメラのSDカードに録画を行うタイプの製品もある。

 

 

1台のカメラを2台のレコーダーで録画する

 

 上述の通り、安価なレコーダーでフェイルオーバーに対応している製品は非常にすくない。そのため、ユーザーの中には、1台のカメラに対して2台のレコーダーを構築するケースも存在する。

 このような構成であれば、1台のレコーダーが故障した場合も、2台目のレコーダーにはデータを残すことができる。

 

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 しかし、上記のように1台のカメラに対して、2台のレコーダーで録画する構成はリスクが高いということに留意して欲しい。一般的に『ネットワークカメラの管理者権限を利用できる接続は1つに限定しなければならない』という原則が存在する。

 2台のレコーダーが1台のカメラに対して様々な設定変更やコマンドを投げつけてしまうと、カメラの管理者権限の奪い合いが発生し、カメラ本体がハングアップしてしまうリスクがある。

 また、カメラのモデルによってはストリームの配信方法の制限により、そもそも2台のレコーダーに録画ができないケースもある。

 

 一般的には、2台のレコーダーを【全く同じ設定】にしておくことで、カメラ本体への負荷を軽減する方法がある。とはいえ、カメラやモデルにより制限があるので、導入前の動作検証は必須である。

 

品質の高いモデルを選定する

 

 ダウンタイムを最小限にするシステムを構築するためには、「故障の確率が低い製品を選択する」ことも重要である。

 

 残念ながら、ネットワークカメラのカタログには故障率などは記載がされていないが、あまりにも安価な製品を選択した場合、ある程度の故障が発生するリスクは覚悟しておかなければならない。

 

 障害の発生頻度を最小限にしたいのであれば、やはりカメラ本体およびレコーダー、ネットワーク機器のすべてにおいて、信頼性の高いモデルを選定しておきたい。単純に安い製品を選んでしまうと、どうしても障害は多くなってしまうリスクがある。

 

まとめ

 

 ネットワークカメラシステムは非常に製品の数が多く、なかなかユーザー自身でどのシステムがよいか判断することは難しいのではないかと思われる。しかしながら、24時間365日、システムがダウンしないようなシステムを希望する場合、相当なコストをかけなければならない。

 予算や映像の重要性によっては、多少の障害は発生することも覚悟したうえでシステムを導入することも、筆者は必要であると考えている。