理想的なレコーダーとは?
以前の記事ではネットワークカメラのメーカーが非常に多いことを説明したが、実はカ
ネットワークカメラのメーカーがリリースしている純正品のレコーダーだけでなく、サードパーティー製のレコーダーも多種多様なモデルが存在している。
筆者も様々なレコーダーを拝見してきたが、残念ながらSMB市場向けのレコーダーにおいては、本当の意味で納得できるレコーダーを見つけることができていないのが本音である。
今回は、筆者が考える<理想的なレコーダー>について記載したいと思う。
もし、レコーダーを開発されるメーカーの方がご覧頂いているのであれば、参考にして頂けると嬉しい。
なお、レコーダーに必要なすべての機能を記載することはできないため、5つに絞って説明したい。
1、フェイルオーバーに対応できること
フェイルオーバーとは、ざっくりと説明するとシステムの冗長性である。二台のレコーダーを用意しておき、万が一、一台目のレコーダーが障害を起こした場合でも、二台目のレコーダーが自動的に録画を再開するシステムである。防犯カメラシステム
2、マルチモニタに対応していること
最近のレコーダーでは、レコーダー本体にモニタやマウス、キーボードを接続し、PCレスで運用できる機種も増えているが、マルチモニタに対応している機種は極めて少ないのが現状である。
例えば、左のモニタにはカメラのライブ映像を表示させておき、右のモニタでは録画映像を表示したり、あるいは建物内のカメラ配置図などを別モニタで表示できると理想的であるが、これが実現できるモデルはほとんど存在しないのではないかと思われる。
どうしてもマルチモニタに対応すると、レコーダーへの負荷が高くなるので、なかなか機能として実装しにくいのではないかと想定される。
3、ユーザー自身でHDDの交換ができること
レコーダーの故障で最も多い原因の1つが、HDDの消耗である。耐久性の高いHDDを挿入していたとしても、やはり2年程度経過してくると、HDDの障害のリスクは高くなる。ネットワークカメラシステムでは24時間、HDDに書き込みを行っているケースも多いため、消耗してしまうのはある意味では当然のことであると考えられる。
しかしながら、レコーダーの種類によってはユーザー自身によるHDD交換を認めておらず、メーカーへのセンドバック(送付修理)によりHDD交換となるケースも少なくない。やはりユーザー自身でHDD交換をさせてしまうと、作業の失敗により重大なトラブルを引き起こすことリスクがあるのであろう。しかし、センドバックによるHDDの場合、当然ながら、ダウンタイムが長くなり、その間は録画が停止してしまう。
もし、ユーザー自身で簡単にHDD交換ができるレコ―ダーであれば、HDDの消耗しそうなタイミングでHDDを事前に更新しておけば障害のリスクが軽減できるほか、HDD故障時のダウンタイムも最小限にすることが出来る。できれば、レコーダーメーカーにはユーザー自身でもHDDを交換できるようなルールにして欲しいと願っている。
4、データを汎用的なNASにバックアップできること
レコーダー故障時のリスクを軽減するため、保存した録画データを丸ごと別の媒体にバックアップしたいというユーザーも多いかと思わるが、実はほとんどのレコーダーではこの機能を実装することができていない。理想としては、レコーダーに汎用的で安価なNASや外付けHDDを接続して、夜間にバックアップできるとよいが、レコーダーだけではこのような仕組みを行うことが非常に困難なのである。
レコーダーに対して24時間録画を行っていた場合、当然ながら、常にHDDに書き込みを行っている状態となる。このように処理が忙しい状況下で、さらに別のNASなどに対して書き込みを行うと、システムへの負荷が異常に高くなってしまうのであろう。
また、NASに対して書き込むスピードは低速となってしまうリスクもあるため、スムーズにデータを書き出すことができない可能性も想定される。そのため、多くのメーカーのレコーダーでは、時間を指定して一部の録画データのみ書き出すことができるようになっており、レコーダーのデータを丸ごとバックアップできる仕組みを保有する機種は少ない。
今後、バックアップソフトなどを利用しなくても、レコーダー単体で汎用的なNASなどにバックアップができるレコーダーがリリースされることを筆者は願っている。
5、動体検知時に音声やボップアップで知らせることができること
筆者が考えるレコーダーに欲しい機能の1つが、動体検知時に画面上で音声やポッププでアラートを出すことができる機能である。例えば、事務所の入口に設置したカメラが動体検知を行った場合、事務所に設置したレコーダーとモニタで音声やポップアップで知らせることができると、音声が鳴った時だけ映像を閲覧すればよいので運用上、便利であると考えられるが、これができないレコーダーも多い。特に、レコーダーに直接、モニタを接続し、PCレスで運用するケースの場合、ほとんどこの機能を保有していないと認識している。
なお、上記のような機能は、大規模システムで用いられるようなVMSと呼ばれるソフトウェアベースのシステムにおいてはほとんど実装されているが、SMB市場向けのレコーダーではあまり見られない機能である。
比較的安価なレコーダーでも上記のような機能が実装できると、おそらく他の製品よりも優位性があると考えられるため、是非、参考にして頂ければ幸いだ。