ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

録画データをすべてバックアップする難しさ

データを丸ごとバックカップできない!?

ネットワークカメラシステムを導入したユーザーから、ときどき「レコーダーの映像をすべて自動的にバックアップしたい」という相談を受けることがある。例えば、深夜(終業後)にタイムスケジュールを組んで置き、その時間になるとレコーダーの映像を別の汎用的なNASやHDDなどへデータをコピーする運用だ。

しかし、実はこのレコーダーに録画されたデータをすべて定期的にバックアップするということは、レコーダー単体では難しいということをご理解いただきたい。

ネットワークカメラシステムで用いられるレコーダーではなく、一般的なファイル共有で利用されるNASではほとんどの機種で定期バックアップの仕組みを持っている。このため、カメラ用のレコーダーも同様の機能を標準で持っていると思われがちだが、実はできないモデルの方が圧倒的に多い。

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ネットワークカメラシステム導入後に「バックアップの仕組みを構築して欲しい」との要望を受けることもしばしばあり、これができないため、トラブルになることがある。

なぜ、このようなことが起きてしまうのかというと、レコーダーのカタログや仕様書に「USBバックアップ」や「録画映像のバックアップ機能」、「録画データの出力機能」などの表現が書いてあるためだ。これを読むと、すべての録画データをバックアップできるように感じてしまうが、実際には、多くのレコーダーが録画した映像の一部分を手動でUSBメモリへダウンロードしたりコピーしたりするだけで、すべてのデータをバックアップできるわけではないことに注意したい。

例えば、仮に1週間録画をする運用になってた場合、そのうち保存しておきたい「10分~15分くらいのデータを別媒体(USBメモリなど)に手動でコピーする」イメージだ。

ユーザーは「18年2月6日10時00分~10時10分までダウンロードする」という操作を行うことで、レコーダーから別媒体へ録画データをコピーすることができる。

なお、ダウンロードできる映像の長さ(データ容量)は、各レコーダーで仕様が異なるので注意が必要だ。また、ダウンロードしたデータを汎用的な動画再生ソフトで再生できるものもあれば、メーカー専用の再生ソフトではないと閲覧ができないものもあるので導入前に確認して欲しい。

また、仮にタイムスケジュールを組んでフルバックアップができるレコーダーがあったとしても、常時録画をしていた場合、レコーダーは録画とバックアップの2つの処理を同時に行うため、本体への負荷が大きくかかるリスクが高いのでシステム設計時は注意して欲しい。

バックアップしたい場合は?

なお、これまではレコーダーの映像をフルバックアップすることは困難であることを言い続けてきたが、フルバックアップができるソリューションも存在する。その一部を紹介しておこう。

 

バックアップソフトウェアを利用してバックアップするタイプ

レコーダー単体でフルバックアップを行うことは困難であるが、バックアップ用のPCを別途利用することでスケジュールによるフルバックアップができるものがある。下記のようなイメージだ。

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※なお、このように別途PCを手配してバックアップを行う場合、PCが不具合を起こすと(ハングアップなど)バックアップも停止してしまうため、日々の運用に注意したい。ある程度、情報システムに詳しいユーザー向けのソリューションである。

例えば、ROD社ではVS-Keepというソフトウェアを用意している。参考にして欲しい。

http://www.rodweb.co.jp/products/other/vskeep/index.html

 

 

まとめ

ここまで長々と説明してきたが、フルバックアップが難しいことをご理解いただけただろうか。

なお、補足ではあるが、実は<レプリケーション※1>や<フェイルオーバー※2>に対応しているレコーダーも一部の上位モデルに限られ、一般的なレコーダーでは対応していないケースが多い。

※1 レプリケーション・・・メインとなるレコーダーと全く同じもの(レプリカ)をもう1台用意しておき、耐障害性を高める方法のこと。ネットワークカメラシステムでは、常時、大容量のデータを処理するため、仕様や帯域の問題などで構築が難しいケースもある。

※2 フェイルオーバー・・・メインとなるレコーダーが故障した際に、自動で他のレコーダーが録画を引き継ぐこと。これも18年2月現在では、非対応のレコーダーが多い。仮にフェイルオーバー機能を持っていたとしても、メインのレコーダーが中途半端な故障の場合、うまく他のレコーダーに自動で引き継げないリスクもあるため、その場合は、手動で代替機を起動させる必要がある。