ネットワークカメラを販売する業者(ベンダー)は、ある程度、いくつかの種類に分けることができる。例えば、下記のような分類の分け方だ。それぞれの特徴について説明する。なお、最後に筆者よりユーザーとベンダーに対して、意見を述べている。
警備系
防犯対策に関する機器を中心に販売しているベンダーである。ネットワークカメラだけでなく、防犯センサーなどにも強い。警備員の派遣を主力の事業としており、その付帯商品としてネットワークカメラの販売も行っている。
ネットワークカメラを防犯対策として導入したいユーザーにとってはメリットが高いが、マーケティングやマネジメントなど、防犯対策以外での用途で利用したいユーザーにとっては、うまくマッチしない可能性がある。
通信機系
もともとは、電話機などを中心に販売しており、その付帯商材としてネットワークカメラの販売も行うベンダーである。ネットワークに関するノウハウもあり、また、配線工事も得意としている。業者によっては、施工や設定部分のみ受託を受けているケースも見られる。
AV機器系
通信機系と類似するが、AV系の場合は、放送機器や音響機器を中心に販売しており、その付帯商材としてネットワークカメラの販売も行うベンダーである。筆者のイメージでは、SOHOなどの小規模システムというよりは、より高画質・高性能な映像を求める専門性の高い学術機関や公共施設に強い印象がある。音響システムと一緒に導入したい場合、ユーザーメリットが高い。
(電気)設備系
通信機系、AV系と類似するが、電気設備などを中心に販売しており、その付帯商材としてネットワークカメラの販売も行うベンダーである。例えば、ビルが建つ場合に、内部の電気設備やネットワーク設備を丸ごと受託する。非常にダイナミックなシステムを得意としており、SOHO向けの市場では弱い(正確にはターゲットとしていない)印象だ。
事務機系
オフィスで用いられるコピー機やプリンタ、ファーニチャーなどを中心に販売しており、その付帯商材としてネットワークカメラの販売も行うベンダーである。筆者のイメージでは、SOHOに強く、きめ細かい対応ができる印象がある。また、内装やオフィスレイアウト全体を考えたシステム設計ができることが特徴である。一方で、比較的、高度なIT関連のシステムの構築は苦手とする業者もある。
SIer
事務機系と類似するが、よりシステムに強いベンダーである。通常はPCやサーバーなどのシステム構築案件を行っており、その付帯商材としてネットワークカメラの販売も行っている。比較的、高度なシステムやネットワークの構築を得意としている。一方で筆者のイメージでは、SOHOに対しては、あまり得意としない領域である印象を持っている。
ユーザーに向けてのメッセージ
いかがだろうか? 単に、ネットワークカメラを販売する業者といってもその種類は大きく異なるのである。誤解を招く恐れがあったため、あえて具体的なメーカーやベンダーの固有名詞は出さなかったが、おそらくネットワークカメラ業界の方であれば、おおよそ納得いただけるのではないかと思う。
ネットワークカメラの導入を検討するユーザーは、その導入目的に応じて「どの特徴を持ったベンダーに相談するのが望ましいのか」考えて欲しい。本記事が業者選定の参考になれば幸いだ。
ベンダーに向けてのメッセージ
筆者もまだまだ勉強中の身であるため、偉そうなことは何も言える立場にないのだが、ネットワークカメラを販売するベンダーは「自分がどのタイプの業者であるのかを理解したうえで、一生懸命、勉強をして販売をして欲しい」と願っている。
ネットワークカメラを販売するベンダーは、本当に様々な知識が必要だ。正直に言って、ネットワークカメラ本体の知識だけでは、何も通用しない。
「カメラ(光学)に関する知識」はもちろん、「防犯対策に関する基礎知識」「ネットワークに関する知識」「音響に関する知識」「電気に関する知識」「オフィス(内装)に関する知識」「サーバーに関する知識」、そして「施工に関する知識」など、勉強しなければならない領域はあまりにも広い。
そして、中途半端な知識のまま販売してしまうと、大きなトラブルを起こしてしまうことだってある。
だからこそ、関係者の知識を向上させるために、このサイトを立ち上げたのであるが、筆者自身もまだまだ全然、知識やスキルが不足していることを認識している。
近年、ネットワークカメラの市場の伸長に伴い、様々なベンダーが市場に参加するようになったが、十分な知識がないまま、販売しようとしている業者や担当者も少なからず存在している。
ユーザーに提案・納品する担当者は「自分自身がどのような製品やサービスを販売するのか」きちんと手に取って勉強/検証し、十分に納得したうえで商品を紹介するように努めて欲しい。
私は、カメラを導入するユーザーもベンダーも、誰かに丸投げするのではなく「商談を通じて商品を勉強しよう!」という気持ちを持って、提案・導入して欲しいと願っている。
そして私自身も、もっともっと勉強しなければならないと思う。