WDR(ワイドダイナミックレンジ)とは?
ネットワークカメラで低照度性能と同じように重要なのが、逆光対策の性能(または明暗の差が大きい場合の撮影能力)である。
一般的にはWDR(ワイドダイナミックレンジ)という技術が用いられる。
※下記は、説明用に作成したデータであるため、ネットワークカメラの画像ではないが、イメージとしては下記の通りである。
まず1枚目の画像として、シャータースピードの速い画像を取得する。この場合、背景はキレイに撮影ができるが、被写体は暗くなってしまう。そして、2枚目にシャッタースピードの遅い画像を取得する。この場合、背景は白飛びするが被写体はキレイに撮影することができる。この2枚の画像から良い部分を合成させて、背景も被写体も両方とも見える画像を作り出す技術である。
人間の目には両方とも見えるキレイな画像だけが見えるのだが、カメラ本体で高度な処理をしているのである。
基本的な原理はおおよそ共通だが、カメラメーカー別に様々な工夫を行っており、その性能も異なる。
ダイナミックレンジの値は、[dB](デシベル)という値でカタログに表記される。
これは<撮影可能な明るい場所(Lux) / 撮影可能な暗い場所(Lux) >で計算できる。
この値が大きければ大きいほど、大きな明暗差でも撮影ができるということである。
各メーカーの比較
これも最低照度性能と同様に、カタログのスペック値はあまり参考にならず、実機で比較することが望ましいのだが、あえてカタログ値を比較してみよう。
●エントリーNO1:パナソニック WV-S1131/WV-S1112/WV-S1111
ダイナミックレンジ 144 dB typ. (スーパーダイナミック: On時)
●エントリーNO2:ソニー SNC-VB600
ワイドダイナミックレンジ機能 View-DR(130dB相当)
●エンリーNO3:AXIS P1365 MkⅡ
WDR - フォレンジックキャプ チャー: 最⼤120 dB (撮影場所に応じて値は異なります)
●エントリーNO4:ハイクビジョン DS-2CD4A26FWD-IZ
ワイドダイナミックレンジ 120 dB
上記の4社で比較してみたが、カタログスペック上はパナソニックが最も、明暗の差が大きい場所で撮影できることが分かった。
しかし、何度も繰り返してしまうが、あくまでもカタログスペック値であるため、実際には実機での比較が必要である。「どの程度のノイズが発生しているのか?」「白飛びしたような映像になっていないか?」「逆光の処理に時間がかかって映像の遅延が起きていないか?」「ボヤけた映像になっていないか?」など、カタログでは見えない部分があるため、実際には実機でのテストが必要となる。
※なお、ワイドダイナミックレンジ機能を利用した場合、フレームレートなどに制限が発生するモデルもあるため、高フレーム録画を行う場合は注意が必要だ。