ネットワークカメラとサーバーラック
ネットワークカメラシステムがある程度、規模が大きくなると、19インチのサーバーラックなどに機器を収納するケースがある。収納する機器は主に、レコーダー(またはサーバー)とKVMコンソール(※)およびPoEスイッチ、UPS等である。
(※)キーボード、ディスプレイ、マウスが一体となった操作用端末
サーバーラックに対して各機器を収納していくわけであるが、単に機器を並べていけばよいというわけでではない。サーバーラックへのラッキングについて、コツやポイントが存在している。今回は、サーバーラックの選定に関する基本的な考え方について説明する。
なお、筆者もサーバーラックについての専門的な知識があるわけではない。今回は、ネットワークカメラシステムを導入するにあたって最低限、知っておきたいポイントのみ記載する。
JIS規格とEIA規格
サーバーラックの導入を考える上で、まず、基本的な知識となるのが『JIS規格』と『EIA規格』である。JIS規格とは、ざっくりと説明すると、日本の工業製品の規格である。一方で、EIA規格とは、米国基準の規格となる。
現在、一般的にサーバーを格納する際に用いられる19インチラックは、EIA規格のラックである。ほとんどのサーバーやネットワーク機器はEIA規格に準拠しているので、まず、サーバーラックを導入する場合はEIA規格のモデルを選定すると良い。
ただし、すでにJIS規格の防災ラックが等が導入されている場合は注意が必要だ。JIS規格とEIA規格には互換性がないため、うまく導入した機器をラッキングできない可能性がある。既存のラックにサーバー等を収納する場合は注意して欲しい。
収納する機器の位置をデザインする
サーバーラックを選定する上でまず必要なことは、どの機器をどの位置にラッキングするのかを考える必要がある。
機器によっては排熱性の問題で、機器と機器の間に1U以上の間隔を設けなければならないものも存在する。まずは、収納したい機器の大きさや寸法を確認しながら、ラック構成図を作成しなければならない。
できるだけ重量のあるUPSを下段に配置したり、KVMコンソールを操作しやすい位置にするなどの工夫が必要だ。あまりにも、操作用のディスプレイやキーボードなどを高い位置や低い位置にしてしまうと、操作しにくくなる。
また、機器をあまりにも詰めすぎるとメンテナンス性が低下し、配線がしにくくなり、機器の取り外しも困難になる。収納する機器に対してラックが小さい場合、排熱性が悪くなり、機器故障の原因となるケースもあるため、余裕のある設計が必要となる。
※なお、サーバーラックに格納する機器のデザインについては、以下のようなサイトでひな形をダウンロードできるので参考にして欲しい。
奥行きに注意する
19インチラックの選定で最もミスが発生しやすいのが『奥行き』である。サーバーラックは上述の通り、横幅は決まっているが、奥行きについては規定されていない。
そのため、サーバーを格納しようとした場合、ラックの奥行きが不足し、サーバーが適切に収納できないリスクがある。特に、日本国内の防災センターや警備室に設置されているサーバーラックは奥行きが浅いモデルも多く、サーバーやレコーダーを設置しようとした場合、奥行きが不足するトラブルが発生することがある。
既存のサーバーラックに収納ができる小型のレコーダーを選定するか、またはサーバーラック自体を交換する必要がある。サーバーラックがチャンネルベースなどでアンカー固定されている場合、サーバーラックの交換が困難なこともあるため、注意して欲しい。
電源容量に注意する
サーバーのサイズと同様に注意すべき点が電源容量である。サーバーラック内には、様々な機器を収納することとなるため、必然的に消費する電力は大きくなる。
適切な電源容量を確保できていない場合、システムが適切に動作しないため、ラックの構成を検討する際は、サイズや位置だけではなく、必要な電力も計算しておく必要がある。収納する機器が多い場合、電源工事なども必要となるだろう。
サーバールームなど、もともと十分な電源が確保された環境であれば問題ないが、一般的なオフィスの片隅にサーバーラックを追加で設置する場合など、電源容量が不足し、思わぬトラブルになるケースがあるため注意が必要だ。
まとめ
- 収納するサーバーや機器のサイズや排熱性を考慮し、ラッキングの構成を考える必要がある。
- 既存のラックにサーバーやレコーダーを収納する場合、奥行きが不足するケースがあるため注意が必要である。
- 多くの機器を収納すると、電源容量も大きくなる。
繰り返しになるが、サーバーラックは非常に奥が深く、筆者も専門的な知識があるわけではない。上記以外にも、耐震性やセキュリティ面(鍵)、意匠性なども考慮する必要がある。これらのポイントについても別の記事にて追記していきたい。