ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

キラーソリューションの重要性

キラーソリューションの重要性

 

 前回の記事では、筆者が考えるチャネル戦略について説明をした。今回の記事では、『キラーソリューションの重要性』について説明をしたい。

 

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 ※なお、繰り返しとなるが、少々、乱暴な表現があることはあらかじめお詫びしておきたい。

 ※また、筆者の職場とは一切関係がなく、筆者の個人的な考えであることを強調しておく。

 

 

キラーソリューションとは何か?

 

 キラーソリューションとは、ざっくりと説明すると『画期的な商材』のことである。

 

 新規顧客(または新規チャネル)の開拓や新しい商材をマーケットに浸透させるためには、キラーソリューションを決めておくことが重要だ。

 

 

 まずは、キラーソリューションを決めていなかった場合を例にして説明する。

 

 例えば、新規顧客(または新規チャネル)の開拓の際に、このようなセールストークを行う営業マンはいないだろうか。

 

 『当社は様々な製品やソリューションを幅広く扱っています。当社にご相談いただければ、きっと御社の業務課題を解決することができますよ。何かお困りのことがあれば、是非、お声がけください。』

 

 筆者個人の意見であるが、私は、このようなセールストークはあまり有効的であるとは考えていない。

 まず、そもそも新規顧客(または新規チャネル)の開拓のような場面では、顧客との信頼関係がまだ構築できていない。その状態で、顧客がわざわざ自社の業務課題をセールスマンに伝えるとは思えない。

 また、このようなセールストークでは、顧客側も『結局、何を相談してよいのかわからない』という状況になってしまいがちだ。守備範囲が広すぎて、何が最も魅力的な商材なのかが分かりにくく、顧客へうまくPRできていないのである。

 

 

 筆者は、新規顧客開拓においては幅広い商材の紹介を行うのではなく、何か1つの有効な商品やソリューションを決めておくことが重要であると考えている。1つのキラーソリューションに注力してPR活動を行うことで、市場における認知度を高めることができる。また、営業やアフターサービスについても、効率的にノウハウを蓄積することができるのだ。

 

ESETに学ぶキラーソリューションの事例

 

 筆者が考えるキラーソリューションの成功事例が『ESET』というウィルス対策ソフトである。コンシューマー向け市場ではあまり有名ではないが、法人向けの市場では、シェアを急拡大したアプリケーションである。

 ESETのウィルス対策ソフトが日本でリリースされたのは、2007年頃である。当時のウィルス対策ソフトの市場では、トレンドマイクロやノートンが高いシェアを占めており、ESETの認知度は非常に低かった。当時は、無名と言ってもよいかもしれない。

 

 しかし、ESETは、キラーソリューションとして重要な3つの要素を持っていたことで、わずか数年間で市場シェアを急拡大させたのだ。

 

キラーソリューションに必要な3つの要素

 

 筆者はキラーソリューションに必要な要素として、以下の3つがあると考えている。

 

 1、画期的な商材であること

 2、競合他社と比較して何らかの優位性があること

 3、シンプルなメッセージでPRできること

 

 ESETのウィルス対策ソフトに当てはめてみよう。

 

 第一に、ESETのアンチウィルスソフトは、非常に画期的であった。それは、ヒューリスティックという新しい機能を保有していたことだ。一般的なウィルス対策ソフトでは、あらかじめ“定義ファイル”というウィルスの辞書を保有している。ウィルスを検知する際は、その辞書情報を参照し、不正なプログラムであるかどうかを判定するのだ。

 一方で、ESETの場合、通常の定義ファイルのほかに、“ヒューリスティック”という機能で不正なプログラムを検知することができた。これは、ウィルスの『特性』や『振る舞い』を見て、不正なプログラムかどうかを判定する機能である。これにより、新種(または亜種)の未知のウィルスに対しても、有効的に検知することができたのだ。

 

 第二に、競合他社と比較して“動作が非常に軽かった”のである。当時の一般的なウィルス対策ソフトは、動作がかなり重たかった。ウィルス対策ソフトのスキャン作業が開始されてしまうと、古いPCでは業務に支障がでてしまうほどであった。

 一方で、ESETのウィルス対策ソフトは、非常に動作が軽かった。もともと、ESETはスロバキアで開発されたアプリケーションである。当時のスロバキアでは、性能が低いPCが多かった。ESETのウィルス対策ソフトは、そのようなレガシーなPCやOSでも、快適に動作できるように開発されたのである。競合他社と比較して、動作が軽いという強みがあった。さらに、価格についても競合他社よりも安価な価格設定となっていた。

 

 第三に、シンプルなメッセージでPRすることができたことだ。今日では、あまりにも多くの商品やサービスが溢れている。このように、様々な商品やサービスが存在する中で顧客に自社のソリューションを認知されるためには、“わかりやすいメッセージ”でPRする必要がある。

 

 ESETのセールストークは、『検知率が高い!』『動作が軽い!』『しかも安い!』というたった3つのワードで説明することができる。まるで、牛丼の𠮷野家のコンセプトの『早い!安い!うまい!』のような感じだが、本当にそれくらい簡単に説明することができたのだ。

 

 このESETがキラーソリューションとなり、数多くの顧客を開拓することができたのである。アンチウィルスソフトを導入した後には、その次のステップとして、ファイアウォールや資産管理ソフト、WEBフィルタリング、バックアップソフトなど、関連する情報セキュリティ商材を次々に提案することが可能である。

 

 また、アンチウィルスソフトのライセンス数を把握すると、顧客が保有するPCの台数もわかるため、顧客規模に応じたITソリューションの提案ができるのである。

 

 たった1つのキラーソリューションがいかに重要であるのかお分かり頂けたのではないだろうか。

 

まとめとして

 

  •  新規顧客開拓には、キラーソリューションを決めることが非常に重要である。
  •  キラーソリューションは、競合他社と比較した際の優位点が必要である。
  •  また、できるだけ“わかりやすい言葉”でPRできることが望ましい。