純正レコーダー(ソフト)のメリット・デメリット
ネットワークカメラシステムを導入するユーザーは、カメラ本体だけではなく、録画装置(レコーダーまたは録画ソフトウェア)を選定する必要があるが、録画装置には大きく2つの選択肢が存在する。
1つ目の選択肢は、カメラメーカー純正のレコーダー(またはソフトウェア)を利用する方法である。
2つ目の選択肢は、サードパーティー製のレコーダー(またはソフトウェア)を利用する方法である。
カメラメーカー純正のレコーダー(またはソフトウェア)のメリットとしては、カメラの機能を最大限引き出すことができることである。デメリットは、他メーカーのカメラの登録や録画は動作保証外であるという点である。
一方で、サードパーティー製のレコーダー(またはソフトウェア)のメリットは、様々なカメラメーカーの登録や録画が可能であるという点である。デメリットとしては、カメラの一部の機能を活用できないという点である。
今回の記事では、具体的にサードパーティー製のレコーダーで、実際にどのような機能が活用できないのか、その一例として検証結果をご紹介しよう。
※なお、以下の記事の内容はあくまでも筆者の個人的な検証結果である。設定方法によっては、サードパーティー製のレコーダーでも対応ができる可能性があるため、必ず、正式な見解や最新情報については各メーカーへ確認して欲しい。
アクシスのZIPストリーム活用できるか?
検証作業①ダイナミックFPSの下限を0にした場合
今回の検証内容は、AXISカメラの特徴の1つであるZIPストリームをどこまで活用できるかどうか?という検証である。
AXISのZIPストリームには「ダイナミックGOP」および「ダイナミックFPS」という機能があり、動きの有無により、フレームレートを自動的に高くしたり、低くする機能がある。この機能をどこまで活用できるのか検証を行った。
なお、検証に際しては、レコーダーがカメラの設定値を書き換えないようにするために、以下の手順で設定を行うこととする。
①カメラをレコーダーに通常通り登録・設定し、常時録画を行う。
※登録の際、ZIPストリームの機能はOFF状態にしておく。
②カメラ本体の設定で、ZIPストリームの機能をOFFからONに切り替える。
※ダイナミックGOPの上限は300とする
※ダイナミックFPSの下限は0とする
※設定完了後はカメラを再起動する
③レコーダーで正常通り、録画できるかどうかテストする。
検証作業①の結果として
今回の検証結果では、ZIPストリームをONに変更すると、<全く動きがない映像>においてはレコーダー側で「カメラとの接続エラー」が発生することがあった。(映像が適切に表示されないことがあった。)
しかし、多少映像に動きや変化を与えると、すぐに録画を再開することができた。
※ZIPストリームのダイナミックFPSは安定的には活用できていない可能性が高いと想定される。
検証作業②ダイナミックFPSの下限を5にした場合
ここで、ダイナミックFPSの下限値を「0」ではなく「5」に変更することにした。さらにダイナミックGOPの上限を「10」まで下げた。
④カメラ本体の設定で、ZIPストリームの設定内容を変更する
※ダイナミックGOPの上限は10とする
※ダイナミックFPSの下限は0→5へ変更する
※設定完了後はカメラを再起動する
検証作業②の結果として
(偶然かもしれないが)上記の設定変更を行うと、カメラとの接続エラーが起きることはなくなった。映像に動きがない場合でも6FPS~7FPSで録画するようになった。また、動きが多い映像では15FPSで録画するようになった。
あくまでも筆者が短い時間で行った検証作業であり、正式な結果ではないが、一応、サードパーティー製のレコーダーでも、検証作業②では、ZIPストリームの機能を活かすような挙動を確認することができた。
(※筆者の勝手な予想として、H.264の映像はIフレームとPフレームがセットになってようやく映像として成立することができるが、GOPが長すぎると映像として成立できずに、レコーダーで受信がうまくできなかった可能性があると思われる。
検証作業②では、フレームレートの下限を上げて、GOP長を短くしたことで、きちんとIフレームとPフレームがセットでレコーダーで受信できたため、映像として成立したのではないか?と考えている。)
まとめとして
繰り返しになるが、あくまでも上記の検証結果は、筆者が短時間で行ったものであるため、正確なものではない。
とはいえ、サードパーティー製のレコーダーを利用した場合、設定内容によっては、映像や録画が途切れるなどのエラーが起きるリスクがあることをご理解いただけたのではないかと思う。
また、上記のようなエラーが発生した場合も、設定を微調整することで解決できるケースもある。
今後、ユーザーが録画媒体を検討される場合は、純正レコーダーのメリット・デメリット および サードパーティー製のレコーダーのメリット・デメリットをご理解いただいた上で、選定いただきたいと願っている。