IPアドレスが分からなくなる
ネットワークカメラのベンダーにはよくあることだと思うが、たまに『機器のIPアドレスがわからなくなってしまうこと』がある。
これは、ネットワークカメラだけではなく、IoTデバイスを取り扱うベンダーの“あるある”だと思われる。ユーザーに納品した際の設定情報を適切に管理していなかったり、デモ機など複数の人間が利用する機器の場合、IPアドレスが分からなくなってしまうことは往々にあるのだ。
筆者はこのことを『IPアドレスが迷子になる』と呼んでいる。
もちろん、機器を初期化してしまえば、デフォルトのIPアドレスに戻るため、特に問題はないのであるが、設定情報を消去してはいけない状態であったり、稼働中のままログデータを収集する必要がある場合など、簡単には工場出荷時に戻すことができないケースもある。
今回は、IPアドレスがよくわからなくなってしまった場合の対処法をいくつか紹介しよう。
メーカーがリリースしているツールを利用する
最も推奨する方法がメーカーがリリースしているサーチツールを利用することである。例えば、アクシス社の場合は、以下のツールをリリースしている。
AXIS IP Utility
このツールを利用すると、同一ネットワーク上のアクシス製ネットワークカメラのIPアドレスやシリアルナンバーを収集して表示することができるため、非常に便利である。
また、ネットワークカメラ本体以外にも、レコーダーのIPアドレスが不明になった場合に、サーチすることができるツールが存在している。
システムケイ NVRサーチ
ROD EZsearch
このようにメーカーがIPアドレスを検索するツールをリリースしている場合は、そのツール利用することが最も早い解決方法だ。
arp -aのコマンドのコマンドを試してみる
arp(アープ)とはWindowsのコマンドプロンプト上で実行するコマンドの1つである。実は筆者も、『ping』や『arp -a』くらいしかコマンドは覚えていない。
しかしながら、このコマンドを試してみるだけでも十分に価値がある。
arpの詳しい説明については、他のサイトで確認して欲しいと思うが、ざっくり説明するとコマンドプロンプト上で『arp -a』と入力すると、そのPCで記憶している【IPアドレス】と【MACアドレス】のリストを表示ができるものである。
実際に『arp -a』のコマンドを入力してみた。そうすると、いろいろなネットワーク機器の中に【AC:CC:・・・・・・】と記載された端末があることが分かる。
アクシス製のネットワークカメラは、原則としてMACアドレスがACCCから始まるため、これでアクシス製品のIPアドレスを逆引きすることができるのだ。
顧客先でネットワーク機器のIPアドレスが不明になった場合は『arp -a』のコマンドを試してみると良いだろう。
なお、アクシス製品以外にも、MACアドレスが分かればどのメーカーのネットワーク機器であるのか推測することができる。以下のサイト(ベンダーコード一覧)を参考にして欲しい。
Advanced IP Scannerを試してみる
筆者がプライベートでも度々、お世話になっているのが以下のIP Scannerというアプリケーションだ。
先ほど、arp -aのコマンドを試してみるという方法を説明したが、このツールを利用してしまえば、そのような手間は必要がない。
指定した範囲のIPアドレスをこのソフトが自動的にスキャンしてくれる。スキャンした結果は、分かりやすく一覧表示することができる。
同一セグメント上にどのような機器があるのか把握する際にも非常に便利なツールだ。
レコーダーをモニタに直結する
これは物理的にできる場合に限るが、レコーダーをモニタに直結できる場合は、レコーダーとモニタを直結させて起動してみるのも良いだろう。
PCレスでモニタに直結できるレコーダーの場合、操作画面からIPアドレスの確認を行うことができる。
また、本来は、レコーダーとモニタを直結できない場合でも、あえてレコーダー映像端子とモニタを接続してみると、起動中の画面上に一時的にIPアドレスが表示される場合もあるので、IPアドレスを予測できる場合もある。
まとめ
今回はネットワークカメラやレコーダーのIPアドレスが分からなくなってしまった場合に、探し出す方法について説明した。
他にももっと良い方法があるかもしれないが、筆者の場合、上記のような方法でIPアドレスを探している。
とはいえ、一番重要なことは、IPアドレスやパスワードなどをきちんと管理しておくことだ。顧客自身できちんと導入した機器の設定情報を保管しておくことが望ましい。