フレームレートとは何か?
以前、別の記事でも紹介をしたが、ネットワークカメラの映像はパラパラ漫画のようなものである。例えば、1fpsの場合、1秒間に1コマの映像を配信する。5fpsの場合は1秒5コマとなり、10fpsの場合は1秒10コマとなる。
最近のビデオカメラや一眼レフカメラでは、60fpsで撮影ができるモデルも存在しており、非常に滑らかな映像を得ることができる。
フレームレートに関する比較動画にはYouTubeに様々な動画がすでにアップデートされているので参考にして欲しい。
以前は、1fpsや2fpsなど低フレームでの録画が一般的であったが、近年では画像圧縮技術の進化により、5fpsや10fps、15fpsなど高いフレームレートでの録画も可能となった。
しかしながら、前回の記事の高解像度でもメリットとデメリットがあるように、高いフレームレートにも、メリットとデメリットが存在している。
高いフレームレートのメリットは、言わずもがな「滑らかでヌルヌルの動画」が閲覧できるという点である。以前のようなカクカクした映像ではなく、滑らかな映像を得られるため違和感なく、モニタリングが可能である。
一方、デメリットとしては「録画容量が肥大化する」という点である。
フレームレートを上げると、録画容量が大きくなる
【5fps 1Mbpsの場合】
例えば、仮に、【5fps】で録画する際にカメラ1台あたりの録画ビットレートを1Mbpsで設計していたと仮定する。
●カメラ1台で24時間 30日録画した場合、理論上の録画容量は約316GB(約0.32TB)である。カメラ50台では、約15,820GB(約16TB)となる。
【10fps 2Mbpsの場合】
【5fps】を【10fps】まで上げて録画を行い、カメラ1台あたりの録画ビットレートを2Mbpsで再設計したとする。
●カメラ1台で24時間 30日録画した場合、理論上の録画容量は約633GB(約0.63TB)である。カメラ50台では、約31,640GB(約32TB)となる。
上記はあくまでも イメージとして計算したものであるが、ビットレートを上げて映像を滑らかにしようとすると、理論上は映像が重たくなり、録画容量は大きくなる。
そもそもフレームレートの違いを体感できるのか?
上記の通り、録画容量やネットワークへの負荷を考慮すると、必ずしも高フレームレートで録画することが適切ではない。そもそも、フレームレートの違いを体感するのは、なかなか難しいところがある。
まずは、以下の動画をご覧いただきたい。
動画のフレームレートサンプル 30/24/15/10fps比較
このように4つの映像を見比べると、確かに30フレームの方が非常に滑らかで、10フレームだとややカクカクしていることが分かる。
しかし、仮に「この動画にフレームレートの記載がなかった場合」あなたは、この映像が何フレームの動画か見分けることはできるだろうか?
実際のところ、一般的な防犯対策や定点監視の場合、10フレームを超えるような高フレームレートは必要がないと筆者は考えている。正直、3~5fpsで充分である。ヒトが歩く速度を考慮しても、5fps程度あれば、十分にヒトや物体の特徴や動きは撮影することが可能である。
高フレームレートが必要なシーンとして
高いフレームレートが必要なシーンとしては、例えば「パチンコ店」や「カジノ」など特殊な防犯対策が必要な場合である。何かサンプルとなる素材がないか探したところ、韓国のカジノの映像があったのでご覧いただきたい。
このように指先の一瞬一瞬を動きを撮影するためには、5fpsや10fpsではとても録画することができない。より高いフレームレートで撮影することが望ましいと考えられる。
シャッタースピードと混同しないように注意
なお、フレームレートと度々、混同されてしまうのが「シャッタースピード」である。先ほど説明した通り、フレームレートというのは、1秒あたりのコマの枚数である。
一方で、シャッタースピードというのは、カメラのシャッターが下りるスピードのことである。
例えば、素早い被写体(自動車など)を撮影する場合、フレームレートを上げることはもちろんであるが、より重要なのはシャッタースピードである。シャッタースピードを上げると、早い被写体を撮影しても、被写体のブレ(モーションブラー)が発生しない。一方で、シャッタースピードが遅いと、被写体のブレ(モーションブラー)が発生してしまう。
素早い動きがある被写体を撮影する場合、フレームレートを高めながら、さらにシャッタースピードも速くする必要がある。
(※ただし、シャッタースピードを速くしすぎると、今度は暗い映像になってしまうため、この設定のバランスは非常に難しいところがある。)