各メーカーによる映像圧縮 技術の 競争
ネットワークカメラにおいて最も重要である性能の1つが「どれだけ映像を小さくできるか?」という点である。数年前までは、主にJPEG形式で録画されていたが、JEPGの場合、どうしても録画映像が重たくなってしまうため、防犯対策であれば、毎秒1枚~2枚程度のフレームレートが一般的であった。
一方、H.264の圧縮技術の向上により、現在ではH.264が録画形式の主流となっている。H.264による録画の場合、毎秒5コマや10コマで録画されることも多くなった。また、より滑らかな映像を希望するユーザーは、毎秒30コマで録画されるケースもある。
近年では、H.265という新しい規格も徐々に普及しつつあり、さらに映像を圧縮できることが期待される。
映像が圧縮できるほど、HDD容量を少なくすることができるため、システム全体として大きくコストを下げることが出来るのだ。
ダイナミックFPSの凄さ!
このように各メーカーで映像の圧縮技術を競っている中で、筆者が特に気になっているのが、アクシスコミュニケーションズ社のダイナミックFPSという技術である。これは、撮影している被写体がほとんど動きがない場合は、1秒1コマ程度までコマ数を下げて録画を行い、被写体の動きが大きくなるとコマ数を上げて録画をできるというものだ。
実際に、以下のサンプル動画をご覧いただきたい。画面右下のフレーム数(fps)に注目して欲しい。
画面右下の「fps(1秒間のコマ数)」にご注目頂きたい。オレンジ色の被写体が映像に入っていない場合(映像にほとんど変化がない場合)、1fps程度で録画していることが分かる。一方で、オレンジ色の被写体が映像に入ってくると、フレームレートを一気に上げて、20fps程度の滑らかな映像となっている。また、映像の変化量が少なくなるとフレームレートが下がってきている。
このように映像の変化量に合わせてフレームレートをコントロールするため、録画容量をかなり少なくすることができるのだ。
続いて、実際の映像の容量をご覧いただきたい。画面右下の容量に注目して欲しい。
これも撮影している被写体の変化量が少ない状態では、容量がわずか9KB/s程度となっている。オレンジ色の物体を激しく動かした場合、150KB/s程度まで容量が大きくなるが、変化量が少なくなると、また容量が小さくなるのだ。
例えば、小売店における防犯対策など常にヒトが動いているような環境下ではあまり効力を発揮しないが、たまにしかヒトが通らない廊下や会議室、屋外の場合、圧倒的に録画容量を下げることが可能だ。
なお、この機能に対応していない録画装置もあるため注意して欲しい。
このように各ネットワークカメラのメーカーが画像を圧縮するために切磋琢磨しているが、筆者は特にこのダイナミックFPSという機能はHDD容量を抑えるためにかなり有効な機能だと感じている。カメラの選定の際の参考になれば幸いだ。