ネットワークカメラ推進会

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高解像度のカメラはなぜ広く普及しないのか?

実は100万画素が主流!?

近年、ネットワークカメラ市場は急速に拡大をしており、各社のラインアップも拡充を続けている。高解像度のモデルも多くリリースされており、4Kモデルなども発売されている。

しかしながら、実際の導入シーンにおいては、4Kどころか1メガピクセル程度で設定されているケースも多い。筆者も様々な案件に関わっているが、18年2月現在において、最も一般的な設定値は<映像サイズ:1280×720(約92万画素)>となっている。それどころか、つい最近まで<映像サイズ:640×480(約30万画素)>で設定していた案件もあった。

なぜ、高解像度カメラのラインアップが充実している中でまだまだ解像度が低いモデルが売れているのか?その原因について考えてみる。

解像度を高くすると、暗い場所に弱くなる

映像素子(CMOSセンサー)の大きさが同じで<メガピクセル対応(約130万画素)>のモデルと<フルハイビジョン対応(約210万画素)>のモデルがあったとして、どちらの方が暗い場所に強いかわかるだろうか?

例えば、AXIS P1364 と P1365 の2機種で比較してみよう。※なお、P1365は現在、MkⅡモデルがリリースされているが、ここでは分かりやすいように旧モデルのP1365で比較する。

 <AXIS P1364> ※720Pの場合

  カラー:0.1ルクス

<AXIS P1365> ※1080Pの場合

  カラー:0.18ルクス

 

ご覧の通り、わずかな差ながら実は解像度が低いP1364の方が暗闇に強いのである。

なぜ、このようなことが起きるかというと、映像素子に取り込む光の量が少なくなるからだ。あくまでも下記の画はイメージであるが、解像度を高くするということは、映像素子のドットを小さくしていくということである。解像度が低い場合は、1つ1つのドットを大きくすることができるため、光をより多く取り込むことができる。一方、解像度が高い場合、1つ1つのドットを小さくしなければならないため、光を取り込む量が制限される。

そのため、暗い場所ではむしろノイズが目立つリスクが高くなる。「解像度が高い方がキレイとは必ずしも言えない」のである。

 

f:id:networkcamera:20181212235350j:plain

 

解像度が低いモデルの方が安い

コストの問題も否定できない。メーカーのラインアップを見てみると、18年2月時点では、やはり4MP(メガピクセル)などの高解像度モデルが高く、2MP→1MPと下がるにつれて、金額も安くなる。導入コストの問題で、解像度が低いモデルが選択されるケースも多い。

例えば、キヤノンVB-S800D MkⅡ(フルハイビジョン対応)というモデルの場合、標準価格は74,800円だ。一方、VB-S805D MkⅡ(メガピクセル対応)は59,800円と安価な価格設定となっている。

 

録画データが重たくなる

解像度が高いデータを送信する場合、当然ながら録画する場合のデータ容量は大きくなる。仮に、メガピクセル対応カメラで1.5Mbpsで設定していたとすると、フルハイビジョン対応のカメラの場合、3Mbpsで設定する必要がある。(4Kだとレコーダーによっては対応していないことさえある。) カメラ1台だけであればそれほど大きな問題ではないが、カメラ台数が増えてくると、HDD容量やネットワークの設計の問題が発生するため、できるだけカメラ1台の通信量は下げたいものだ。

そのため、あえて解像度が低いモデルでシステム設計を行う場合がある。

 

そもそも高い解像度は必要ない!?

現在のテレビで放送されている解像度はどのくらいかご存知だろうか? 実は民放の場合、解像度:1440×1080と言われている。

ネットワークカメラでは、4分割や8分割など複数台のカメラの映像を同時にモニタに分割表示するが、仮にフルハイビジョン(1920×1080)のカメラを8台同時表示させた場合、テレビより高い解像度の映像を8つも同時に表示させているということだ。当然、表示装置への負荷が大きくなり、必要なHDD容量も増えてしまう。

1280×720(1メガピクセル)程度の映像でもほぼテレビ放送に近い品質の動画が得られるため、表示装置やHDD容量を考慮すると、1280×720の映像サイズで十分であると判断される。

※なお、テレビ放送の場合は約30fpsで放送しているが、ネットワークカメラシステムの場合、5fpsなどフレーム数を落としているため、分割表示が可能となる。

 

高解像度カメラのメリット

いかがだろうか? ここまで解像度の高いカメラのデメリットばかりを説明してきたため、高いカメラを導入するメリットがないように感じられたかもしれないが、解像度の高いカメラにも当然、メリットがある。

今後は、フルハイビジョンや4メガピクセルカメラ、4Kカメラなど、さらに高画質化するものと想定される。高い解像度のメリットは以下の通りだ。

①画角を広くすることができる

仮に、映像素子(CMOSセンサー)が十分に大きいサイズで、ドットのサイズを維持したまま解像度を上げることができれば、理論上は見える範囲を広く撮影することができる。

②デジタル処理で拡大した場合も映像が鮮明に見える

ネットワークカメラには光学ズームのほか、デジタルズームというズームの方法がある。デジタルズームとは、ざっくりいうと映像を引き伸ばして拡大させる(トリミングして拡大する)イメージである。光学ズームとは異なり、デジタルズームを利用すると画像が劣化する。

しかしながら、解像度の高いカメラで撮影していた場合、デジタルズームをした場合でも劣化せずに撮影することが可能だ。

 

※下記の動画の1分30秒以降をご覧いただくと、4Kカメラの凄さを実感できるであろう。

  <光学ズームの方がメリットがある場合も…> *このように、4Kカメラであれば、デジタル処理で引き伸ばした際にもほとんど劣化せずに撮影することが可能であるが、実際の導入シーンでは、4Kカメラよりも光学ズームカメラが採用されるケースが多いことも補足しておこう。 実際に筆者も何度か<4Kカメラ>と<光学30倍ズームカメラ>の2台を並べて撮影し、実際にユーザーにどちらの映像が望ましいか確認してもらったところ「光学30倍ズームカメラの方が良い」との回答が多かった。 ある程度、見るポイントが限られるようなモニタリングを目的としたカメラの導入の場合、光学ズームに優れたカメラで撮影した方がデータ容量も抑えられ、鮮明な映像が得られることも多い。  
このように高解像度のカメラは普及までにまだまだ乗り越えるべきハードルはあるものの、圧縮技術の進化や新たなCMOSセンサーの誕生により、普及していく可能性もある。ルネサス社は、監視カメラ向けの新たな4K対応CMOSセンサーを発表している。 今後、各カメラメーカーのラインアップがどのように拡充されていくのか注目したい