ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

瞬断(瞬電)と雷による不具合への対策

電源が不安定なことによりトラブルが起きる

 

ネットワークカメラのレコーダーやPoE HUBを導入する場合、原則としてはUPSを導入することが望ましいとされているが、実際のユーザー環境ではUPSを導入しないまま利用していないケースも多い。

コストの問題や仕様上の問題、ユーザーの知識不足など、その理由は様々であるが、筆者の感覚は半分以上のユーザーがUPSを使っていないのではないかと思われる。

確かに、UPSがあった方が望ましいのではあるが、比較的小規模なカメラ台数の場合、わざわざUPSにコストをかけるまでもないと判断されるのであろう。デスクトップPC1台を導入するときに、UPSを付けないのと同じ感覚なのではないかと思われる。

しかしながら、このUPSがないことによってネットワークカメラシステムでは「原因が非常にわかりにくいシステムトラブル」が発生する。一例を紹介しよう。

 

ネットワークカメラシステムを納品後、しばらく経過したユーザーから電話が入った。

「朝にカメラ映像が映っていなかったが、今は自然と回復した。問題が起きていないか確認して欲しい。」とのことだ。

ログデータを確認したところ、毎日というわけではないが、時々、朝8時30分頃に一部のカメラの接続が切れているのである。カメラ本体の動作は問題がなく、またレコーダー本体にも目立ったエラーは残っていない。しかし、朝8時30分頃だけ一部のカメラの接続エラーが起きているのである。

後々、分かったことだが、このユーザーは朝の8時30分頃に、お店をオープンすることが分かった。その際、お店の中のコピー機やPC、照明、空調設備など様々な装置を一気に起動するようだ。そのため、瞬間的に電源が不安定になっていたのである。

明らかに電源が落ちてしまえば、レコーダーやPoE HUBも強制的にシャットダウンされてしまうことになると思うが、わずかに電源が不安定になった状態の場合、このように予期せぬエラーが起こるのだ。

古いアパートなどで電気設備が古い場合、電子レンジを使うと、部屋瞬間的に暗くなるような場合があるが、そのようなイメージだ。

類似するトラブルはタコ足配線を行っているユーザーでも起きることが多く、HDDの故障などの原因となる。レコーダーやPoE HUBはできるだけ電源が安定しているところに設置する必要がある。

とはいえ、小売店や飲食店などの場合、狭いレジ周りにPOSシステムやネットワーク機器など、さまざな装置が設置されるため、どうしてもタコ足配線にならざるをえない。

UPSを導入するなど、できるだけ電源の影響を受けないようなシステムの構築が望ましい。

 

UPS導入時の注意点

各レコーダーメーカーにより、動作検証を行っているUPSや自動シャットダウンに対応しているUPSもあるため、UPSを選定する際は、事前にレコーダーメーカーへの確認が必要である。

例えば、ROD社のバイオスターでは下記のUPSを推奨している。モデルのお尻に「ーR」と記載がされているが、これが、レコーダー(バイオスター)専用のUPSの型番となっている。

www.rodweb.co.jp

また、レコーダーが自動シャットダウンに対応していない場合も、UPSの種類には注意しなければならない。UPSには大きく3つの種類がある。①常時インバータ ②常時商用給電 ③ラインインタラクティブの3種類だ。

ここで重要なのが「UPSの入力元が不安定になった場合も、出力先(レコーダー)に対しては安定的に電源供給ができること」である。

 

①常時インバータ方式の場合、常にバッテリーに充電しながら、出力先に対しても電源供給を行うため、瞬断にも対応ができる。また、雷などに対するサージ機能も強い。ただし、コストはやや高いケースが多い。

 

②常時商用給電方式の場合、安価ではあるが「UPSの入力元が不安定になった場合、出力先(レコーダー)に対しても、不安定な電源供給となってしまうリスク」がある。

 

③ラインインタラクティブ方式の場合、基本構造は②常時商用給電と同じであるが、出力先への電圧を調整するトランスと呼ばれる装置が付加されているため、比較的、入力元の電源が不安定になった場合も出力先(レコーダー)への影響が少ない。

www.omron.co.jp

いずれにせよ、まずは、導入するレコーダーメーカーのホームページやマニュアルに推奨するUPSの機種や型番なども記載されているケースも多いため、確認が必要だ。

 

雷サージ式の電源タップの限界

レコーダー1台1台に対して、UPSまで導入しているとコストが膨れてしまうため、せめて雷による影響だけ防ぐケースもある。雷サージ対策がされている電源タップがあり、これらを用いるユーザーも多い。しかし、雷サージ式の電源タップには限界があることも理解しておかなければならない。

まず、雷サージ機能を持つ電源タップであっても、「直撃雷」には対応ができない。対応ができる可能性があるのは「誘導雷」や「侵入雷」と呼ばれるものだ。また、原則、アースを必要とするため、利用ができる場所も限られる。

www.sanwa.co.jp

 

<接地工事を必要としない製品>

ネットワークカメラシステムの場合、当然、LANケーブルから過剰な電気が侵入してしまうケースもあるのだが、ジョブル社では、コンパクトでありながら、アース(接地工事)がなくても、利用することができるサージプロテクターがある。筆者も注目している製品である。

www.joble.co.jp