導入後に発生する障害
ネットワークカメラシステムを導入した後に、しばしばトラブルになってしまうのが障害発生である。例えば、カメラ本体やレコーダーが故障したり、ネットワークや電源が不安定になったり、操作上のミスをしてしまうなど、その原因は様々である。
せっかくコストをかけて導入した機器であるのに「いざという時に使えない」という事態は極力、避けたいことであることに違いない。
実際に導入後、ほとんどレコーダーなどの映像を確認せずに、いざ事件や事故が発生して、映像を再生しようとすると、「気づかないうちに故障が発生していて、何も録画できていなかった…」というケースも少なくないだろう。
やはり、どのようなシステムにおいても、できるだけ早く不具合に気づくということは重要である。今回は、システム障害をどのように管理者が知る方法があるのか、考えてみる。
SNMPトラップについて
ネットワークの不具合を監視するのに有効な手段の1つが、SNMPトラップである。これは、かなりざっくりと説明すると、各機器の障害を通知する仕組みである。カメラなどの端末にSNMPトラップ(エージェント)を仕掛けて起き、何か問題が発生した場合は管理者の端末(マネージャー)に対して通知を送信することが可能である。
ネットワークカメラだけでなく、様々なネットワーク機器で採用されているプロトコルであるため、管理者にとっては非常に利便性の高い仕組みである。
ただし、このSNMPトラップを仕掛ける監視方法は、設定が少々難しいところがある。かくいう筆者も、SNMPトラップの仕組みは理解しているが、実際に設定しようとすると、うまく通知を管理端末(マネージャー)に送ることができないのである。
おそらく、日ごろからルーターやスイッチなど、ネットワーク機器を管理しているベンダーまたは技術者であれば、全く問題なく設定ができると考えれるが、情報システムの専任部門がいないような企業では、なかなかハードルが高いのではないかと思われる。
レコーダー(または録画ソフト)の通知機能
もっと簡単に、死活監視(障害発生に気づく仕組み)を導入したいユーザーは、レコーダーの【障害通知機能】を利用することを推奨したい。
例えば、以下はAXIS Camera Stationの設定画面であるが、「システムイベントとエラー」という設定項目がある。例えば、ストレージ容量が満杯になった場合やカメラとの接続が切れた場合に、メールなどで通知することが出来る。
メールの他にも接点出力ができる装置もあるため、パトライトなど、別の装置で通知をすることも可能である。
また、レコーダーだけでなく、ネットワークカメラ自体にも、イベント設定で障害時などにメールなどの通知を行う機能もあるため、合わせて設定を入れておくと良いだろう。
ルーターのネットワーク監視機能を利用する
安価にネットワーク状況を監視する方法として、ルーターに付属する機能を活用する方法もある。YAMAHA製のルーター(例えば、NVR510)には、以下のURLのように配下のスイッチおよびそのポートの状況をモニタリングできる『LANマップ機能』が存在いる。
さらに、ルーター配下のPoEスイッチもYAMAHA製にすることで、各端末の死活監視を行うことも可能だ。PINGでの疎通確認ができるほか、PoE給電による端末の再起動もできるため、カメラがフリーズして映像が映らなくなってしまった場合など、比較的、早く復旧することができる可能性がある。
まだ、PoEスイッチのラインアップはあまり多くない印象であるが、これからの製品の拡充に期待したい。
その他の装置として
ヤマハ製のPoEスイッチに付属する簡易機能を紹介したが、以下のような専用装置もある。スケジュールを組んで、定期的に機器をリブートすることも可能だ。
どのような機器でも、ずっと起動しっぱなしにしていると、どうしても不良なデータが貯まってしまい、不具合が起きてしまう原因となることがある。
以下のような装置を利用し、深夜帯など影響が出ない時間帯に、あえて各端末を再起動させることで製品がリフレッシュされ、安定的な運用ができる。
最終的にはヒトの意識
今回の記事では、効率的に死活監視を行うための方法や装置について紹介を行ったが、筆者は「最終的にはヒトの意識次第」だと考えている。どのようなマネジメント装置を導入したとしても、結局、それらの仕組みをユーザー自身が活用しなければ意味がない。
やはりユーザー自身で、システムの状況をチェックし、定期的にメンテナンスすることが重要だと考えている。例えば、せっかく導入した機器がホコリまみれになっていないだろうか?
定期的に録画映像やHDDの空き容量を確認したり、機器の清掃を行うだけでも、一定の効果は期待できるだろう。