ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

予算達成は絶対条件!!

前職はコンプライアンスに非常に厳しい企業

 

 もう時効だと思うので、当時の”思い出”として振り返っていきたい。

 また、現在においては、これから紹介するようなグレーな売上方法は行っていないので、十分に留意して欲しい。

 

  ※なお、この記事は削除する可能性がるのでご留意頂きたい。

 

 私が以前、勤めていた会社は、上場企業で非常にコンプライアンスにも厳しい環境だった。例えば、自動車の運転などで交通違反が発生した場合、非常に強いペナルティが課せられた。減給はもちろん、昇給も数年間は見送られることとなる。

 

 例えば、『携帯電話を持ったまま運転して捕まってしまった場合、飲酒運転と同等レベルの違反と扱う』との通達があった。悪質な場合、役員会で叱責を受けるほどだった。

 

 しかし、それ以上に厳しいことが『予算(つまりノルマ)を達成しないことは大罪である』ということだ。特に、月末最終日の緊張感は凄まじいものがあった。

 

 そのため、現場のセールスは、”あの手この手”を使って、ノルマを達成する方法を探すのだ。

 

 

粗利率:99%

 

 このように、非常に厳しい環境であったが、私は比較的、高い実績を維持していたと思う。正確には『高い実績を生み出すためのいくつかの手法』を持っていた。

 

 まず、粗利率:99%の売上計上である。この手法は非常に簡単だ。

 

 例えば、商談の見積書に『外部の協力会社に作業を委託する部分の明細が50万円分』あったと仮定する。当然、通常であれば、原価は少なくとも40万円くらいは必要だ。

 

 しかし、『この作業を外部に委託せずに、自分たちで作業してしまう』のである。結果的に、原価は0円になる。システム上、商品マスタで原価0円では登録ができない仕組みであったため、原価10円で登録し、粗利率は99%となった。

 実際には、人件費は販売管理費として計上されることとなるが、いわゆる”商品の原価”には反映されない。

 エンドユーザーにとっても、誰だかわからない外部の業者が作業するよりも、商談のことを隅々まで把握している人間が作業するのだから安心感があり、売り手にも買い手にも双方にメリットがあった。

 

 なお、この粗利99%計上はちゃんと内部監査に引っ掛かり、その後、会社の規定が変更されることとなった。しかし、私がこの手法を行っていた時点では、会社のルールに基づいて処理しており、お咎めなしだった。

 

粗利率:100%

 

 続いて、粗利率を100%で計上する方法だ。この手法はもっと簡単だ。先ほどと同じように、商談の見積書に『外部の協力会社に作業を委託する明細が50万円分』あったと仮定する。当然、通常であれば、原価は少なくとも40万円くらいは必要だ。

 

 外部の会社に作業を委託する場合、『原価』として委託するのか、それとも『経費』として委託するのか上長の決裁を取り、決めることができる。

 結論から言うと、『経費』として外部の会社に作業を委託することで、粗利率:100%を作り上げた。

 

 『原価』として計上する場合、当然ながら、粗利は大きく減少する。しかし、『経費』として計上する場合、販管費の方に計上されるため、原価0円となり、100%の粗利率で計上することができた。

 

 よくWEB通販会社などが商品を直接的に値引きするのではなく、”クーポン”を発行することで事実上の値引きを行いながら、販管費として計上するケースが見られるが、ほぼ同じ手法である。

 

 なお、この手法も内部監査に引っ掛かり、その後、会社の規定が変更されることとなった。しかし、これも、私がこの手法を行っていた時点では、会社のルールに基づいて処理しており、お咎めなしだった。

 

 

商品セグメントの変更

 

 私が以前、働いていた会社では、様々な製品の販売を行っていた。そして、私が商談で販売したものであったとしても、すべての売上が自分自身の実績に反映されるわけではなかった。大きい会社になると、商品毎に売上を担当する部署が変わってしまうのだ。

 

 例えば、監視カメラを例にするとカメラ本体は私の実績となるが、より単価が高いサーバーやPCは別の部署の売上として計上されていたのである。せっかく、私が受注した商談なのに、サーバーやPCの売上が自分の実績にならないのはどうしても納得がいかない。

 

 これを解決する方法が『全部を施工費にしてしまう方法』である。単に”施工”といっても、実際にはLANケーブルや電源ケーブル、取り付け金具、収納ボックス、金属製のポールなど様々な工事部材やハードウェア必要となる。そして、『どこまでが工事部材で、どこまでが商品なのか?』という基準は、非常に不明確である。

 

 これを利用して、『サーバーやPC、ネットワークスイッチなど、通常はほかの部署に売上を奪われてしまう機器』はすべて工事会社に、工事部材として仕入れてもらうことにした。

 

 ”工事費”として売上処理してしまえば、他の部署に売上を奪われることなく、自部署の売上として計上することができたのだ。

 

 なお、この手法は、エンドユーザーにとってもメリットがあった。例えば、サーバーに故障が発生した場合、通常の売上計上方法では『アフターサービスについては別部署に引き続ぐ』ことになってしまうのだ。エンドユーザーにとっては、これまで全く面識がない人がいきなり対応するのだから困ってしまう。”工事費”にまぶすことで、営業窓口を一本化することができるのだ。

 

 ただし、この手法を多用すると、どのユーザーにどのサーバーやPCを販売したのかわからなくなってしまうリスクがある。その後、ある種の”自浄作用”のようなものが働き、このような不規則な売上計上方法は自然としなくなった。

 

 

数字をショートさせるわけいはいかない!!

 

 当時の私の心境を振り返ると、『数字は必ず達成する必要がある』という強いマインドになっていたように思われる。というよりも、会社組織全体として、『達成率:100%』と『達成率:99%』では、天地の差があった。

 

 だからと言って、このようなグレー(または限りなくクロ)の売上計上方法は許されるわけではないが、当時のルールで実行できる正式なオペレーションに基づいて行われており、内部監査においても”正当な理由付け”ができていたことは付け加えておく。

 

余談(費用対効果の検証)

 

 当時の組織の雰囲気として、『経費の使い方が適切であったのか?』『費用対効果が検証されているのか?』については、私個人としては非常に疑問に関している。

 

 具体的には『出張費用』だ。前職の私の会社では、カメラがたった1台の案件であっても、新幹線の往復料金を支払って、商談支援を行っていた。正常な判断で考えれば、どこからどうみても”赤字の商談”である。

 

 しかし、”ネットワークカメラの商談をできる人間が限られていること”や”パートナーとの政治的な理由”により、出張対応を行っていた。また、パートナー側も、『出張対応してくれるのが当たり前』のような雰囲気があった。

 

 さらにいうと、春(4月~6月)や秋(9月~10月)の時期には、ほぼ毎日、どこかの地域の展示会に出展していた。これも、”費用対効果”というよりも、パートナーとの関係性や政治的な理由で、展示会へ出まくっていたのだ。

 

 ”出張対応が本当に適切かどうか?” ”商談同行すべき案件なのか?” などの検証をする雰囲気が全くなかったのだ。

 

 一方で、社員が利用しているノートPCのスペックが低かったり、貸出用のデモ機が不足していたり、LANケーブルが不足していたり、必要なものの購入のハードルは非常に高かった。

 

 

 あくまでも私は、末端の歩兵部隊の一人に過ぎず、上長の命令に従うだけの小さな存在であったため、幹部とは”見えている風景”は違っていたと考えられるが、前職の会社にはいろいろと指摘すべき事項があったことは残しておきたい。