ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

ネットワークカメラ ライブ映像の流れを考える

カメラから流れるか?レコーダーから流れるか?

 

 ネットワークカメラのシステム設計を行う場合、ネットワークの負荷を考慮することは非常に重要な視点と言える。例えば、100Mbpsの処理能力しかない端末に対して、150Mbpsの通信量の負荷をかけてしまうとシステム全体が非常に不安定になる可能性がある。

 

 ネットワークカメラシステムでは、ストリーム(ライブ映像)の流れ方によってネットワークに対する負荷が大きく変わるため、注意が必要だ。

 

 例えば、以下の構成のようなシステムがあったと仮定する。ネットワークカメラシステムでは、ライブ映像のストリームが表示用のPCに対して、カメラから直接配信されるものと、レコーダーやサーバーを介して配信されるものと、2パターンが存在する。それぞれのメリットやデメリットを理解しておかなければならない。

 

f:id:networkcamera:20200607001305j:plain


 

①カメラから表示用PCにストリームが流れる場合

 

 まず最初に、ライブ映像のデータがカメラから表示用のPCに直接、流れる場合である。レコーダーを設置したシステム構成であっても、レコーダーの種類によっては、ライブ映像はカメラからPCへストリームが流れるタイプのシステムも存在する。

 

 この構成のメリットは、録画を行うレコーダーを負荷を抑えられることである。レコーダーから各PCにライブ映像を流した場合、当然ながら、レコーダーの負荷が高くなる。ライブ映像はカメラから直接、PCに映像を流すことでレコーダーのCPUやメモリの利用率を抑えて、安定的な稼働が実現できる。

 

 しかしながら、本構成の場合、デメリットも存在する。それは、表示のPCが2台に増えた場合、通信の負荷も2倍に増えるということである。もし、表示用のPCが3台に増えると、通信の負荷も3倍になる。

 

 通信の負荷が倍増すると、場合によってはPoE HUBなどの処理速度が追い付かず、通信不良が発生してしまうリスクが高くなる。また、HUBだけではなく、カメラ本体に対しても負荷が高くなるため、PCの台数が増えれば増えるほど、ネットワーク全体への負荷が高くなってしまうのだ。

 

 

f:id:networkcamera:20200606235526j:plain

 

②レコーダーを介して表示用PCにストリームが流れる場合

 

 続いて、レコーダーを介して表示用PCにストリームが流れる場合の構成である。この構成のメリットは、レコーダーが親機となり、各表示用端末(子機)に映像を配信するため、カメラとレコーダーの間の通信量の負荷を最小限にできるという点である。

 

 仮に、表示用のPCが2~3台など倍増した場合も、HUBやネットワークカメラ本体への負荷は最小限で済むのだ。

 

 一方で、デメリットも存在している。それは、親機となるレコーダーへ負荷が集中してしまうことだ。表示用のPCが増えれば増えるほど、レコーダーのCPUやメモリを消費してしまうこととなるため、レコーダーの負荷が高くなってしまうのだ。

 

 

f:id:networkcamera:20200607000354j:plain

 

まとめ:どちらが良いということはない

 

 ①ライブ映像がカメラから直接PCに流れる場合 も ②レコーダーを介してPCに配信される場合 もどちらが良いというわけではなく、それぞれのシステム環境に応じて最適なシステムを選択する必要がある。

 

 例えば、レコーダーとカメラの間のネットワークが何らかの事情で細い場合は、②のレコーダーを介してPCにライブ映像を配信したほうが、システム全体は安定的に稼働できる可能性が高い。

 一方で、レコーダーとカメラの間の通信量が十分に太い場合は、①のライブ映像をカメラからPCに直接、配信したほうがシステム全体が安定化するのだ。

 

 それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、システムの設計を行う必要がある。

 

 なお、レコーダーが①のタイプか、それとも②のタイプであるのかは、各レコーダーメーカーに問い合わせする必要がある。モデルによっては設定で切り替えができることもある。

 

 本記事がシステム設計の参考になれば幸いだ。