ネットワークカメラの映像を外出先で見たい
近年、ネットワークカメラの映像を外出先からも閲覧したいというニーズが増えている。コンシューマーモデルのネットワークカメラではほとんどの場合、中継サーバーを利用して外出先から自宅に設置したカメラの映像を閲覧することが可能だ。
法人向けのネットワークカメラについても、固定IPアドレスやダイナミックDNS、クラウドサービスを利用することで、インターネットを通じて映像を確認することができる。
多店舗展開をしているマネージャーが各店舗の様子をモニタリングしたり、外出先から事務所の映像を確認することも可能だ。例えば、会社が長期連休中などにも盗難や災害の被害に遭っていないか確認したり、機器の異常が発生していないかチェックすることも可能だ。
場所にとらわれることがなく、仕事をすることができるようになった。
また、今後、5Gが普及することにより、ネットワークカメラのさらなる普及と利活用が進むかもしれない。
ネットワークカメラの映像は重たい
LANケーブルの配線ができないような場所においては、『携帯電話の回線を利用して、ネットワークカメラを設置したい』というニーズも多い。例えば、駐車場などだ。
駐車場では電源はあるものの、光回線は敷設されていないケースも多い。
このような場所において、携帯電話の回線を利用してカメラの映像をクラウド上にアップロードして録画したいと考えるユーザーも多いようだ。
しかし、ネットワークカメラの映像を携帯電話の回線を利用して録画したり、閲覧したりする場合、通信容量には十分に注意しなければならない。
仮に、カメラで利用する帯域が【1Mbps】であったと仮定する。1か月間の間データをクラウド上にアップロードし続けると、理論上は1か月で【約100GB】を超える容量を必要とする。
最近では、10GBや50GBなど大容量のデータ通信に対応したSIMカードの契約プランも増えているものの、現実的には<上りが無制限>の契約が必要だ。
一般的なSIMカードでネットワークカメラの映像を録画しようとすると、最初は適切に録画できていても、数日経過すると、通信制限の対象となってしまい、まともに映像が閲覧できなくなるので注意したい。
可能な限り、正式な導入前に一定期間の動作確認テストを実施しておくことが望ましい。
上りと下りの違いを理解する
ネットワークカメラの映像を録画する場合、通信の『上り』と『下り』と違いを理解しておく必要がある。例えば、ネットワークカメラの映像をクラウド上のデータセンタ―にアップロードする場合、『上り』の回線量が重要となる。
常に、カメラからデータセンタ―に映像をアップロードするような仕組みの場合、事実上、アップロードの通信量が『無制限』であるSIMカードの契約を締結する必要がある。
一方で、クラウド上に保存された録画映像をPCやスマートフォンで閲覧する場合、『下り』の通信量が多い契約を締結する必要がある。ユーザーの利用シーンに応じた回線契約の締結が必要となるのだ。
なお、カメラからクラウド上にデータを常にアップロードする場合、上りの通信量が非常に大きくなってしまうため、クラウドサービスの種類によっては、カメラのSDカードへ保存できる機能を活用するタイプのサービスも存在する。
常時、クラウド上にデータをアップロードするのではなく、カメラは基本的にSDカードに録画を行う。ユーザーは必要な部分だけをクラウド上のサーバーを利用してダウンロードすることができるのだ。
この方法であれば、理論上は『上り』の回線が無制限の契約プランは必要とならない。
基本的にはライブ映像の確認ではなく、録画映像の再生を目的として導入される。
容量が大きい契約プラン
特に筆者も通信については明るいわけではないので、推奨というわけではないが、上りの通信量が大きい回線契約をいくつか紹介しよう。
mineo社の法人向けサービス
カメラからアップロードを行う上りの通信が無制限であるプランのほか、閉域網を利用したサービスや固定IPアドレスの割り当てのサービスも存在しているようだ。詳細は以下のURLを確認して欲しい。
IIJ社の法人向けサービス
まさに、ネットワークカメラやIoTの利用を想定したサービスである。太陽光パネルのモニタリングや建設現場の進捗状況の確認などにも適合したサービスだ。
その他のクラウドサービス
また、通信回線ではないが、セーフィー社のサービスも面白い。カメラや回線必要がセットになったレンタルサービスである。建設現場の様子を本部事務所でモニタリングする場合に便利だ。
今後の期待として
現在は4G回線(LTE)がベースとなっているが、5G回線の普及により、ありとあらゆるデバイスがインターネットに接続されることが想定される。ネットワークカメラも例外ではなく、無線モデルが普及していく可能性がある。
現状ではPoE給電を行うため、LANケーブルを用いた有線での利用が一般的であるが、5Gが普及していくと、無線化が進むかもしれない。また、VMS上でも、カメラだけではなく、ありとあらゆるデバイスを管理していくことになるだろう。
今後、どのような製品やサービスがリリースされていくのか楽しみだ。