ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

商品ラインアップを増やすか?絞るか?

商品群を増やすメリットとデメリット

 

 ネットワークカメラシステムは、何度も述べるように『様々な製品の組み合わせ』によってシステムを構築している。カメラ本体だけではなく、PoEスイッチやレコーダー、モニタ、UPS等々、顧客のニーズに応じて製品を選定する必要がある。

 

 例えば、『モニタを2画面表示したい』というニーズがあった場合は、HDMI分配器や延長装置が必要となる。また、設置場所に応じてサーバーラックを設置したり、モニタを壁面設置しなければならないこともある。防犯ライトや防犯センサーなど、他のシステムと連携をさせることも多い。

 とにかく、システム構成が『複雑になりがち』なのだ。必然的に顧客の要望に応えようとすればするほど、様々なメーカーの製品を取り扱わなければならない。

 

 しかし、様々なメーカーの製品を取り合い、製品群を増やすほど、今度は在庫調整やアフターフォローの煩雑さという課題が発生する。

 

 

トレードオフの関係

 

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自社製品だけで構成を組んだ場合 

 

 例えば、あるシステムを構築する際に『自社製品だけで構成を組んだ場合』を想定してみよう。この場合、納品時は自社製品の在庫だけをチェックし、コントロールすればよいだけなので、比較的簡単である。また、導入後のアフターフォローの体制についても、自社製品であればサポートや保守体制が充実しているであろう。技術的なノウハウも蓄積されている。

 一方で、『自社製品だけでは対応ができないニーズが発生した場合』や『競合がより安価なシステム構成で提案している場合』その商談はなかなか獲得ができない可能性が高くなるだろう。自社製品だけで顧客のニーズを満たすのは困難だ。

 

自社製品と他社製品を組み合わせた場合

 

 次に、『自社製品と他社の様々な製品を組み合わせて構成を組んだ場合』を想定してみよう。この場合、『自社製品では対応ができないニーズ』があった場合も、他のベンダーと協業してシステム提案を行えばよいので、様々な顧客ニーズに対応することができる。競合がより安価な製品で提案している場合も、他社の安価な製品で対抗することも可能だ。

 しかし、取り扱う製品を増やしすぎてしまうと、納品時やアフターフォロー時は、非常に煩雑なオペレーションが必要となる。納品時は、自社の在庫状況だけではなく、仕入先の在庫まで問い合わせし、チェックしておく必要がある。

 また、障害発生時も自社のサービス体制だけでは完結することができたいため、他社や協力ベンダーのサポートに頼ることになるが、協力ベンダーのサポート体制が脆弱であった場合、障害時に迅速な対応を行うことは困難だ。

 

 顧客も、1つのメーカーの製品でシステムを構築していれば、その1社に問い合わせをすれば解決できるが、複数のメーカーの製品を組み合わせてシステムを導入した場合、問い合わせをするだけでも非常に大変なのだ。

 ネットワークカメラシステムでは、1つのメーカーの製品だけで構成を組むことは非常に稀であり、10以上のメーカーの製品を組み合わせてシステム構築を行うことだって往々に存在する。

 また、近年では顧客ニーズが非常に多様化しており1つのメーカーだけで、システムを完結させることは極めて困難だ。

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自社の方針が必要

 

 ネットワークカメラを取り合うベンダーにおいて最も重要であることは『自社の販売方針』をきちんと固めておくことである。

 

 自社製品や特定の製品だけを取り扱い、商品群を絞ることでサポート体制を充実させる方法を選択するのか、それとも多少、サポート体制が脆弱になったとしても、商品群を充実させて顧客ニーズに対応するのか、どちらを選択するのか明確化しておく必要がある。

 

①商品群を絞る場合

 

 商品群を絞る場合は、マーケティング部門や企画部門の事業デザイン力が極めて重要となる。また、アフターフォローを行うサービス部門との連動も欠かせない。

 いかに市場のニーズに合致した製品を『自社の取り扱い製品として定義するのか』明確化しなければならない。例えば、ネットワークカメラシステムにおいては、小規模な商談から大規模な商談まで存在しているが、どの市場で戦うのかをターゲッティングし、その市場で適切な商材を選択する必要がある。

 

 例えば、何百・何千台ものカメラを設置するようなダイナミックな商談に対しては、VMSなどの大規模システムに耐えられるだけの商品と技術力が必要となる。SEや建設、工事に関するノウハウも欠かせない。中長期的な視点が必要だ。

 

 一方で、数台レベルの中小規模の市場を主として戦う場合は、むしろコストパフォーマンスを重視する戦略が必要となる。1つ案件に対しては、あまり時間をかけて商談を行っていると、人件費や経費が大きくなってしまう。いかに『効率的に商談ができるサポート体制を構築できるのか?』がキーポイントとなる。

 導入したユーザーで障害が発生した場合も、すぐに対応ができるようなサポート体制づくりが必要だ。そのためには、ある程度、製品群を絞ることも覚悟しなければならない。

 

 

②製品群を広げる場合

 

 取り扱いの製品群を広げて、顧客ニーズに対応できる体制を構築する場合は、いかに他ベンダーとの連携をスムーズにできるのかが重要である。また、協力会社に対しても、ある程度の充実したサポート体制を求めなければならない。

 商品群を増やすデメリットを少しでもカバーしつつ、顧客ニーズに応えられるように徐々に商材を拡張していく。

 また、商談時も極めて幅広い知識が必要となる。自社製品はもちろん熟知しておかなければならないが、サードパーティー製品についても、非常に専門的な知識を身につけておく必要がある。

 アフターフォローについては、どうしても煩雑なオペレーションが必要となるため、納品時はできるだけ【完成図書】や【設定情報】、【系統図】、【納品物の仕様書】、【故障時の問い合わせ先】などの記録しておくことが望ましい。

 

まとめとして

 

 ネットワークカメラの市場は近年、急拡大した一方で、顧客ニーズも多様化している側面がある。従来は【録画だけできればいい】というニーズが多かったが、現在ではネットワークカメラが【業務効率の改善】にも用いられるようになった。また、ネットワークカメラに関する製品群も急激に増えている。

 

 ネットワークカメラを販売するベンダーは、顧客ニーズを満たすために、できるだけ製品ラインアップや取り扱い商材を拡張させる一方で、導入後のアフターフォローをいかに充実できる体制を構築できるのかが問われている。