ネットワークカメラ推進会

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市場価格の破壊とリスク

低下するネットワークカメラの市場価格

 

 近年、ネットワークカメラ本体の単価は下落が進んでいると言われている。どの程度、価格が下落しているのかについては、各調査会社により異なるが、数パーセントは金額が下落しているようである。

 

 ネットワークカメラ市場はこの数年で大きく成長した。市場成長率は110%~120%とも言われている。一方で、中国メーカーを含めて、数多くのベンダーが参入したことから、カメラ本体の単価は下がりつつあるのだ。

 

 これは、ユーザーにとってメリットがあるものと思われるかもしれないが、必ずしもそうとは言えない。今回は、ユーザーとベンダーの両方視点で、市場価格の低下について考える。

 

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ユーザーにとっての価格下落

 

 基本的に、エンドユーザーによって、製品の金額が下がることはメリットである。これは筆者も否定しない。より良い製品を安価に導入することができるのだ。

 

 しかし、これは「ユーザーがシステム選定を適切にできる」ことが前提となる。

 

 例えば、話を単純化するために<テレビ>を例に考える。かつて、20年くらいは前だと思うが、テレビは「1インチ1万円」が相場となっていた。32インチであれば、ざっくり30万円、40インチであれば40万円だった。50インチのテレビなんて100万円を超えることさえあったのではないかと思う。

 ところが、その後、テレビの価格は急激に下落し、30インチ~40インチのテレビであれば、数万円で買えてしまう。ユーザーにとっては、メリットであろう。

 

 しかし、テレビについては、一般のユーザーでも「実機とカタログ」を見ると、どの程度の性能を保有するものであるのか判断できるから良いのである。量販店に足を運んで、実機を見れば、どの程度のキレイさであるのか確認することができる。

 

 一方で、ネットワークカメラシステムの場合、そのような単純なものではない。実機を見る機会などほとんど少ないし、システムそのものが複雑である。カメラ単体で映像がキレイであっても、レコーダーやPoEスイッチなどの性能が低くては意味がない。

 数多くあるメーカーの製品をカタログや見積明細だけで良いかどうか判断するのは極めて困難だ。

 

価格競争により品質が低下する

 

 過度の価格競争にとって、最もリスクとなるのが【品質の低下】である。価格競争が激しくなればなるほど、各社ともに「より安価に提供ができる製品」をリリースしようと努力する。

 そのため、時として製品および部品や素材において、品質が低いものが混ざってしまうリスクがある。

 近年では、中国を中心としてアジア各国から製品が輸入されたり、OEM・ODM供給されているが、その品質もピンからキリまである。

 

 ユーザーは、数多くある製品の中から【品質と価格のバランスがもっとも適正な製品】を探さなくてはならないのだ。この作業はなかなか困難である。

 コンシューマー向け製品であれば、ネット上に製品レビューが複数掲載されているが、法人向け製品については評価されているサイトは極めて少ないのが現状である。ユーザー自身が<製品を選定する能力>を身につけなければならない。

 

 

ベンダーにとっての価格下落

 

 ネットワークカメラシステムを販売するベンダーにとっても、価格の下落は極めて重要な問題である。ここで、話を単純化するために、1年間で5%の価格下落が発生したと仮定する。

 

 仮に、70万円で仕入れたものを100万円で販売した場合、利益は30万円である。これが、5%価格を下げると、販売価格は95万円となり、利益は25万円である。

 

 もし、年間100セット販売していたとすると、3000万円の利益が2500万円に減るのだ。3000万円の利益を確保したい場合、120セットを販売しなければならない。

 

 さらに3年目は148セットを販売しなければならない。4年目に至っては、191セットも販売しなければならないのだ。ざっくりとした計算では、人員を増やさずに、初年度の約2倍の販売数を維持しなければならない。

 従業員は、物凄く忙しい状況になるのだ。

 

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 あくまでも5%の価格下落というのは、市場全体で発生していることであり、単純に1案件あたりの販売価格を5%ずつ下落する計算は乱暴であり、また適切ではないが、

いかに価格下落ということが厳しい状況であるのかが、イメージいただけるのではないだろうか。

 

 ※なお、この記事では価格下落の重要性を訴えるために、年5%ずつ下落という超乱暴な計算行ったが、筆者の認識では、ネットワークカメラ市場において、ここまでの価格下落は発生していないものと考えている。おそらく「複数年で数%」程度ではないかと、直感的には想定している。

 ※誤解しないように、十分に注意して欲しい。

 

 

まとめとして

 

 ここ数年のネットワークカメラベンダーの動向を見ていると、単純な【カメラとレコーダー】というシンプルな構成ではなく、より付加価値を高めたシステムの市場浸透を図っているように見れらる。

 

 撮影した映像を解析することにより、マーケティングや業務改善に活用するような使い方だ。より高度で複雑なシステムが市場にリリースされていくだろう。

 

 ネットワークカメラの価格下落はユーザーメリットを生み出すだけではない。ユーザー自身にも、数多くのシステムの中から最適な製品を見つけるスキルを身に着ける必要があるのだ。