ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

PoE HUBはどれを選定すべきか?パート①

ピンからキリまであるPoE HUB

ネットワークカメラシステムを構築するにあたり、重要な機器の1つがPoE HUBである。

以前の記事でも紹介した通り、現在はLANケーブル1本で「データと電源の両方を送信」しており、その際に利用する装置がPoE HUBである。

実はこのPoE HUBであるが、メーカーや機種によって値段が大きく異なるのだ。

例えば一例として「カメラ4台に電源供給をしたい」場合を考えよう。

(※なお、説明のためにあえて同等製品ではないモデルで比較していることを前提として、ご理解いただきたい。)

 

下記のパナソニックのSwitch-M5eGLPWR+(PN28058)<標準価格:89,800円>である。

panasonic.co.jp

 

一方、下記URLのネットギア社のPoE HUB(GS108PE-300AJS)も、同じようにカメラ4台に対して電源供給が可能なのだが<標準価格:18,000円>と非常に安価だ。

www.netgear.jp

 

上記はあくまでも一例だが、あなたがもし選定者であった場合、どちらの機種を選ぶであろうか?金額だけを見ると、GS108PE-300AJSの方が<1/5くらいの価格>なのでお得なように感じるが、金額だけで決めるのは危険だ。

どのような基準で選定すべきか説明しよう!

 

PoE HUBの選定基準

 

①最大電力供給量はいくつか?

 まず、最大電力供給力である。Switch-M5eGLPWR+(PN28058)が最大62W給電に対して、GS108PE-300AJSは最大53Wの給電である。

もし仮にカメラ1台あたりの消費電力量が14Wであった場合、GS108PE-300AJSでは電源供給能力が足りないため選定できないことになる。(14W×4台 = 56Wとなり最大電力供給力を超えてしまう。)

よって、必然的に高価なSwitch-M5eGLPWR+(PN28058)を選定する必要がある。

 

②PoEか? それともPoE+か?

次に確認が必要となる点が、PoE HUBの規格がPoEか、それともPoE+かという点である。Switch-M5eGLPWR+(PN28058)はPoE+対応のため1ポートあたり最大30Wの出力が可能だ。一方、安価なGS108PE-300AJSは15.4Wである。

カメラの機種によっては、PoE+が必須であるため、Switch-M5eGLPWR+(PN28058)を選定する必要がある。

 

③ポート数はいくつか?

 また、LANケーブルを接続できるポートと数も忘れてはならない。ポート数とはLANケーブルの接続口の数である。Switch-M5eGLPWR+(PN28058)は、PoE対応の接続口が4つで、通常のLANポートが2つの合計6ポートである。一方、GS108PE-300AJSは、PoE対応の接続口が4つで、通常のLANポートが4つの合計8ポートである。

 ※PoE HUBといっても、接続口がすべてPoE対応しているわけではないので注意したい。なお、一般的にはPoE対応の接続口<ポート>に、POE対応ではないPCやネットワーク機器を接続した場合も、故障することはない。

ネットワークカメラシステムは、カメラ以外にもレコーダーやPCなどを接続するため、接続口(ポート)が不足しないようにHUBを選定する必要がある。

 

④処理速度は100Mbpsか? 1000Mbpsか?

 HUBの処理速度も重要だ。ネットワークカメラの場合、重たいデータの送信を行うため、

カメラ台数によっては100Mbpsを超えるデータが流れるケースもある。そのため、できるだけギガビット対応(1000Mbps)のHUBが望ましい。

(なお、カメラ4台の場合は、100Mbpsを超えるケースは少ないため、それほど気にする必要はないが、カメラ台数が多い場合は要注意である。)

 

⑤管理機能はあるか?

次に管理機能だ。HUBによっては、ブラウザなどから接続し、稼働状況を確認したり、再起動できるものがある。障害が起きた場合に、リモートで再起動をかけたり、状況確認を行う際に管理機能がある方が望ましい。

なお、両方のPoE HUBもスペックを見る限り、ブラウザから管理することが可能なようだが、筆者の個人的な感覚としては、パナソニック社のホームページの方が、仕様書やマニュアルが見やすく、充実しているように感じている。

 

⑥耐久性や信頼性はどちらが高いか?

最後に、HUB本体の耐久性だ。ネットワークカメラシステムの場合、HUBを高所に取り付けしたり、天井裏に隠したり、屋外のプラスチックボックスに格納するケースもある。できるだけ耐久性や信頼性が高い機種が望ましい。

残念ながら、メーカーのホームページには故障率などは記載がないため、明確なデータによる判断はできないのだが、やはり高価なモデルの方が相対的に安定稼働するケースが多いように感じている。特に、ファンが付属している場合、HUB内部の稼働熱を逃がすことができるため、比較的安定稼働ができると考えられる。今回の2機種の場合、高価なSwitch-M5eGLPWR(PN28058)にはファンが搭載されているが、GS108PE-300AJSにはファンが搭載されていない。

しかし、静かな事務所にHUBを設置する場合、ファンの音がうるさく感じられるケースもあるため、その場合はファンレスのモデルが望ましい。

 

⑦素早くループを発見できるか?

ネットワークのトラブルの1つに、ループという問題がある。ループに関する細かい説明は割愛するが、ループが発生するとネットワーク全体が非常に不安定になり、システム全体に影響が及ぶ。そのため、ループを予防/特定できるインテリジェント機能を保有したスイッチが望ましい。

 

これ以外にもレイテンシー(データを送信する際のなめらかさ)や要求時電力、SFPポートの数、冗長性の有無など、技術的なチェック項目は多数あるが、今回は上記の①から⑦を選定の主なポイントとして説明した。

 

次回は、筆者が個人的に選定している具体的なHUBのモデルをいくつかを紹介しよう。