録画媒体のOSは主に2種類
あくまでもこの記事はざっくりとイメージを理解頂きたいために、簡素化して説明する。例外もあることを前提にして欲しい。
録画媒体(レコーダーや録画サーバー)のOSは、WindowsをベースとしたシステムとLinuxなどをカスタマイズした独自OSのシステムの2種類に分かれる。
つまり、WindowsのサーバーOSやWindows10にインストールするソフトウェアタイプのものと、独自のユーザーインターフェースを保有したレコーダー専用機である。
例えば、筆者が度々紹介しているアクシスカメラステーションやVIVOTEKのVAST2はWindowsをベースとしたシステムである。一方で、ROD社のViostorシリーズやシステムケイ社のNVR-200シリーズは専用機と言える。
それぞれにメリットとデメリットがあるので説明していきたい。
Windowsをベースとするシステムのメリット・デメリット
Windowsをベースとするシステムのメリットは、汎用性の高さである。Windowsの設定や操作に詳しいユーザーであれば、OSの設定を柔軟に変更することが可能だ。録画ソフトをインストールする筐体(サーバーやPC)も比較的、自由に選択することが出来る。
あくまでもユーザーの責任において実施する必要があるが、例えば、録画ソフトウェアとは別に死活監視用のソフトウェアをインストールしたり、UPSやバックアップのソフトウェアを追加することも可能だ。何かと柔軟であることがメリットである。
不具合の原因となる可能性があるため、決しておススメはしないが、極端なことを言ってしまえば、日常、業務で利用しているワードやエクセルがインストールされたPCにも録画ソフトをインストールできないことはないのだ。
一方で、デメリットも存在する。柔軟であるが故に、ユーザー自身で管理しなければならない点が多いことである。例えば、Windowsの脆弱性やバグの問題だ。どうしてもWindowsOSはサイバー攻撃(不正なプログラムへの感染など)を受けるリスクが高くなる。マルウェア対策のソフトウェアをインストールしたり、必要に応じてOSの更新を行わなければならない。
ネットワークカメラとマルウェア対策ソフトは度々、相性が悪いケースもあるので、インストール時には注意が必要だ。
また、一例として挙げるが『定期的な再起動の設定』なども、手間がかかる。タスクスケジューラで再起動の設定を入れた後、Windowsの自動ログインの設定をしなければならない。自動ログインの設定後は、スタートアップに録画ソフトウェアを追加する必要もあるだろう。
自由であるが故に、Windowsに対する基本的な知識が必要となるのだ。
専用OSをベースとするシステムのメリット・デメリット
一方、Windowsがベースではないレコーダー専用機もメリットとデメリットが存在する。筆者の認識では、Linuxをベースとして、カスタマイズした独自OSのモデルが多いように感じている。
レコーダー専用機のメリットは、ユーザーの手間が少ないことである。例えば、先ほど紹介した【レコーダーの定期的な再起動】の設定である。以下は、システムケイ社のNVR-200シリーズの再起動の設定方法であるが、時刻を指定することで簡単に設定を完了することが可能だ。
システムの脆弱性やバグの修正についても、各メーカーが判断し、ファームウェアをリリースするので、ユーザー自身でOSのメンテナンスを考える必要はない。
一方で、デメリットも存在する。それは自由度が低いことである。ユーザーが好きな汎用ソフトウェアをインストールすることは、原則としてできない。
例えば、UPSやバックアップソフトウェアもレコーダーメーカーで指定されたものがあり、汎用のプログラムを利用することはできない。レコーダーの仕様を超えて何らかの設定を行うことはできないのだ。
どちらが良い・悪いということはない
Windowsベースの録画ソフトウェアも、レコーダー専用機もどちらが良いというわけではない。
どちらにもメリットとデメリットが存在しているのだ。
あくまでも筆者の個人的な考え方であるが、ユーザー自身である程度、ハードウェアやソフトウエアの管理をしていきたい方は、Windowsベースのシステムの方が扱いやすいだろう。
一方で、自身では管理することができず、メーカーやベンダーに運用を任せたい場合などは、レコーダー専用機の方が扱いやすいだろう。
どちらかを選択した場合も、決してメンテナンスしなくてもよいというわけではなく、最低限の設定方法や操作方法はユーザーも理解しておく必要がある。
しかし、導入時には、検討しているレコーダーがWindowsをベースとするモデルなのか、それとも独自OSのモデルなのか知っておく必要があるだろう。