ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

ネットワークカメラ 無線モデルはなぜ普及しないのか?

意外と少ない無線対応のモデル

 

 実は、法人向けのネットワークカメラでは、無線対応のモデルは圧倒的に少ない。例えば、アクシスコミュニケーションズ製のネットワークカメラは約200機種程度のラインアップがあるにもかかわらず、無線対応のモデルは、AXIS M1045ーLWとAXIS M1065-LWくらいである。非常に限られた機種だけが無線に対応しているのだ。

 

 もちろん、コンシューマー向けのネットワークカメラであれば、無線対応のモデルも多いが、法人向けのネットワークカメラになると、その機種はかなり絞られてしまう。なぜ無線対応のモデルは少ないのだろうか?

 

 

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なぜ無線対応のネットワークカメラは少ないのか?

 

切断のリスクが高い

 

 無線対応のモデルが少ない理由として、まず挙げられるのが『接続が不安定である』という点である。いわゆるWIFIネットワークを利用した場合、アクセスポイントとの距離が遠くなればなるほど、電波が弱くなる。ネットワークカメラでは、重たい動画データを流すこともあり、弱い電波では接続が切れてしまうリスクが高いのだ。

 

 また、カメラとアクセスポイントの距離が近い場合も接続が切れるリスクがある。それが”電波干渉”だ。無線ネットワークには、チャンネルという考え方があり、2.4GHzの場合、1CH~14CH(規格によっては13CH)を選択して利用することとなる。周波数帯が近いチャンネルを複数のアクセスポイントが重なって利用した場合、電波干渉が発生し、適切に通信できないリスクが高くなるのだ。

 

PoEで電源供給を行うため

 

 無線対応のモデルが少ない理由の2つ目が、ネットワークカメラはPoE HUBから電源供給されるためである。法人向けのネットワークカメラは、ほとんどの場合、PoEに対応している。PoEとはLANケーブル1本で、データのやり取りと電源供給の両方ができる仕組みである。

 

 もし、PoEを利用せずにネットワークカメラを利用する場合、カメラに対して『電源の配線』と『LANケーブルの配線』と2本の配線を行わなければならない。一方で、PoEに対応したカメラの場合、LANケーブルの配線1本だけで済むのだ。

 

 無線対応のネットワークカメラを利用した場合、LANケーブルの配線は不要となるが、結局のところ、電源の配線が必要となってしまう。電源の配線は場合によっては、電気工事士の免許が必要な場合もあり、LANケーブルの配線でPoEを利用して電源供給をしたほうが圧倒的に工事の手間やハードルが低いのだ。

 

 現在のネットワークカメラシステムにおいては、PoEが一般的な電源供給の仕組みとなっているため、電源を必要とする無線対応のモデルは少ないと言える。機種によっては、PoEでしか電源供給をできないモデルも多い。

 

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今後の展開として

 

 このように現在では無線対応のネットワークカメラは少ないのが実情だ。コンシューマー向けのネットワークカメラであれば、多少の切断が起きても問題はないかもしれない。しかし、法人向けのネットワークカメラでは、原則として断線は許されない。無線対応のカメラは非効率でリスクが高いのである。

 

 ただし、今後は、無線対応のモデルが増える可能性も十分にある。それが、5Gの普及である。5Gが普及すると、大容量のデータが遅延することなく、送受信できることが期待されている。5Gが本格的に普及するようになると、クラウド型のネットワークカメラシステムが増えて、必然的に無線対応のネットワークカメラも増える可能性は高い。

 

 まだまだ、ネットワークカメラの本格的な無線対応は先の話と考えらるが、5Gの普及により、ネットワークカメラのシステムも大きく変わることが期待される。