ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

TN型/VA型/IPS型を理解する

モニタの良し悪しで評価が変わる

 

 ネットワークカメラシステムにおいて、軽視してはならないのが『モニタの選定』である。どんなにネットワークカメラでキレイな映像を撮影したとしても、モニタが極端に暗かったり、視野角が狭かったりすると、エンドユーザーからの評価も変わってしまうからだ。

 

 ユーザーの真正面に20インチくらいのモニタを設置する場合は、それほど違和感を感じることはないかもしれないが、壁面の高い場所や遠い場所に大型モニタを設置する場合は、注意が必要だ。

 

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TN型/VA型/IPS型を理解する

 

 現在、液晶ディスプレイには大きく分けて、3種類の方式がある。それが、TN型/VA型/IPS型である。

 

TN型

 

 結論から言うと、ネットワークカメラシステムのモニタとしてTN型は推奨しない。TN型は安価である傾向があり、また、応答速度が早いため、廉価版のゲーミングモニタ等で採用されている。

 

 しかしながら、TN型は一般的に視野角が狭いと言われている。壁の高い場所などにモニタを壁面設置した場合、視野角が狭いと、全体的に暗く感じてしまう。

 もちろん、VESA金具(モニタ取り付け金具)で角度調整ができるものも存在しているが、基本的にはTN型のモニタは導入しない方が良いだろう。

 

VA型

 

 一般的には、先ほどのTN型よりも視野角や色の再現性が高いと言われている。コントラストも高く、応答速度も早くなってきている。コストは、おおよそTN型とIPS型の中間である。

 

IPS型

 

 コストはやや上がってしまうが、視野角が広いことが特徴である。壁の高い場所などにモニタを壁面設置した場合でも、比較的、キレイに映像を閲覧することができる。

 ただし、弱点としては応答速度はやや遅いと言われている。

 

 ネットワークカメラシステムでモニタを選定する場合は、IPS型が多いのではないかと思われる。応答速度が遅いとはいえ、ネットワークカメラシステムは、それほど応答速度が重要ではない。

 

 一般的には5フレーム程度で録画することが多く、コマ数を上げたとしても10~15フレーム程度である。応答速度が遅いとはいえ、ネットワークカメラシステムにおいて体感上の差は、ほとんどないと言ってもよい。

 

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とにかく実機を見た方が良い

 

 TN型/VA型/IPS型の主な違いは上記の通りであるが、基本的には、実機で映像を確認することを推奨したい。

 なかなかすべての現物を見る機会は少ないかもしれないが、ネットワークカメラと同様にモニタにおいても、やはり実機を見なければ、発色性や視野角は確認できないのだ。

 

 カタログや仕様書だけでは実際のモニタの能力は確認することができない。仮に、視野角が178度と記載された2台のモニタを比較してみても、実際の映像は大きな差があることも少なくない。

 

 一度、実機を確認できたモニタであれば、選定ミスをすることもないだろう。

 

耐久性に注意する

 

 ネットワークカメラシステムの場合、24時間、モニタを表示させるケースも多いだろう。安価なモニタでも5年保証モデルなどもあり、そんなに故障が多く発生するものではない。

 しかしながら、大型のモニタを壁面に設置する場合などは、できるだけ高耐久性で信頼性の高いモニタを採用することを推奨する。

 

 

 コンシューマー向けに販売されているモニタと、法人または産業向けに販売されているモニタでは大きくコストが異なることがある。

 

 簡単にモニタを入れ替えることができる環境であれば、コンシューマー向けの廉価なモニタでもいいかもしれないが、一度、設置するとなかなか交換が困難な場所(高所など)については、より信頼性の高いモニタを採用すべきである。

 

モニタの代わりにテレビを使う

 

 PC用のモニタの代わりとしてテレビを利用するユーザーも多いだろう。大型のモニタでも比較的安価であり、標準でリモコンが付属することもメリットの1つではある。

 

 しかし、デメリットとしては、レコーダーやPCとの相性の問題である。これは筆者の個人的な経験もあるかもしれないが、レコーダーとテレビをHDMIケーブルで直結して表示させようとした場合、うまく表示ができないトラブルがあった。また、どのように設定しても画面の一部が切れて表示されてしまう…などの現象も起きる場合もある。

 

 また、リモコンを利用できるということはメリットではあるが、一方で、リモコンできちんと電源を落とさなければならないというデメリットもある。

 一般的なPC用モニタの場合、PC側の電源を切ると、モニタもスタンバイ状態に入るが、テレビの場合は、原則としてリモコンで電源を落とさなければならない。

 さらに、テレビを設置してしまうとNHKとの契約の問題も発生する可能性がある。

 

 ネットワークカメラシステムのモニタとして、テレビを用いることもあるとは思うが、上記のようなリスクがあることは知っておかなければならない。

 

 

まとめ

 

 ・ネットワークカメラシステムの表示用モニタを選定する場合、TN型/VA型/IPS型の違いを理解しておく必要がある。

 

 ・カタログスペックだけで判断するのではなく、できるだけ実機を見ておくことが望ましい。

 

 ・モニタを高い場所に壁面設置する場合、耐久性なども考慮する必要がある。

 

 

 ※なお、近年では有機ELやOLEDなども普及しつつあるが、まだ、2019年現在では一般的なネットワークカメラシステム用のモニタとして採用されているケースは少ないと思われる。よって、本記事には記載しなかった。

 今後の市場の方向性を見て、記事を更新していきたい。