ネットワークカメラには権限という概念がある
ネットワークカメラとアナログカメラシステムの違いは様々なものがあるが、一つの違いとして『ネットワークカメラは権限という概念』を保有していることがある。
つまり、管理者権限のAさんは『設定変更』『首振り操作』『音声受信』『映像の閲覧』のすべての操作が可能であるのに対して、
一般権限のBさんは『映像の閲覧』しかできないという設定が可能であるのだ。
挙動はカメラの機種や組み合わせによって異なる
それでは、いま、管理者のAさんが『設定変更』『首振り操作』『音声受信』『映像の閲覧』の権限を保有しており、
Bさんが『首振り操作』『映像の閲覧』の権限だけを保有していたと仮定する。
Aさんが首振り操作をしている時に、Bさんが同じく首振り操作を行おうとした場合、カメラは、どちらの命令を優先するだろうか?
結論から申し上げると、ネットワークカメラには共通のルールは存在しない。ネットワークカメラのメーカーや機種毎に挙動は異なるのだ。
また、この権限という概念はカメラだけではなく、レコーダーや録画ソフトウェアにも存在するため、どのような挙動をするのかはカメラとレコーダーの組み合わせによっても異なるのだ。
主な挙動のパターンは以下の通りだ。
より強力な権限を優先するパターン
パターン1はAさんが首振り操作をしている間は、Bさんは首振り操作ができず、排他制御を受けるような挙動である。
もし、逆にBさんが首振り操作をしている最中に、より権限の強いAさんが首振り操作をしようとすると、Bさんの操作権はAさんに譲渡され、Aさんの操作権限が優先されるパターンである。BさんはAさんの首振り操作が終わるまで待たなければならない。
後取り優先パターン
パターン2は権限の強さに関係なく、後から操作したヒトを優先する挙動である。管理者のAさんが首振り操作をしている間に、Bさんが首振り操作しようとすると、後から操作しようとしたBさんが優先される。
Aさんは一時的に操作権限をBさんに奪われてしまうが、またAさんがカメラを操作しようとするとAさんに操作権限が戻る。
常に後から操作しようとしたヒトを優先するパターンである。操作権限の奪い合いというか、そもそも権限に優先順位を付けておらず、排他制御を行わない。
待ちの時間を作るパターン
パターン3は、操作が終わるまで【待ちの時間】を作る挙動である。
Aさんが操作をしている最中に、Bさんが操作しようとすると、Aさんに対して『例えば60秒』というタイムリミットが与えられ、その時間が経過すると、Bさんに操作権限が譲渡されるパターンである。
操作権限の奪い合いには違いないが、すぐに奪い合うのではなく、タイムリミットを与えて順番に権限を付与するのである。
自動車の信号のようなイメージだ。赤信号では操作できないが、少し待つと青信号に変わり、操作できるようになる。
同一権限の場合の挙動
ネットワークカメラのややこしい点が、同一の権限を保有するユーザーを複数作成することができるという点である。
例えば、管理者権限のAさんと同様に、管理者権限のCさんを作ることもできるのだ。
Aさんが操作をしている最中に、Cさんが操作しようとすることもある。この際の挙動についても、ネットワークカメラにおける決まったルールは存在せず、メーカーや機種によって挙動は異なる。
実は、どのような挙動をするのか、きちんとマニュアルに書いていてくれればいいのだが、残念ながら記載がないケースも多い。
『検証しなければわからない』ということも、往々にして存在するのだ。
まとめ
*ネットワークカメラには権限という概念が存在している。
*各権限に対してカメラがどのような挙動になるのかは、各メーカーや機種ごとに異なる。
*同一権限で接続すると、どちらが操作権限を保有するのか分かりにくくなる。PTZ操作(首振り)を行う権限を保有する担当者は1名に限定した方が運用上は分かりやすい。