ネットワークカメラ推進会

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スケールで勝る中国に日本は勝てるのか!?

劇的な市場の変化

 

 ネットワークカメラ市場は、この数年間で劇的に変化している。まず、市場全体が拡大傾向にあるということである。従来の防犯対策だけではなく、様々なソリューションとの連携が進んでいる。

 

 また、ネットワークカメラの市場に参加しているメーカーやベンダーも大きく変化した。拡大する市場に対して、数多くのメーカーやベンダーが参入したのだ。

 

 象徴的な出来事として、キヤノンは2014年に、VMSベンダーのMilestoneをM&Aした。さらに、翌年には、当時、世界シェアNO1のアクシスコミュニケーションズもM&Aしているのである。

 また、2011年にはシャープが市場参入した。最近では、2018年に富士フイルムが監視カメラ市場への参入を発表している。

 さらに、ODM/OEM製品まで含めると、もはやネットワークカメラ関連製品のメーカーやベンダーは、あまりにも多すぎる状態となっている。筆者でさえもすべてのベンダーは分からない状態だ。

 

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中国メーカーの脅威的な躍進

 

 このように目まぐるしく変化している市場において、驚異的な躍進を見せているのが中国メーカーのハイクビジョンやダーファである。

 2019年現在において、この2メーカーが世界シェアの1位と2位を争う状態となっている。そもそも、実は世界のネットワークカメラ市場の半分以上は中国国内であると言っても過言ではない。

 

 中国においては政府の主導により、2010年代から中国国内に多くのネットワークカメラシステムおよびその解析システムを設置していると言われている。以下はWikipediaの抜粋である。

 

2017年時点で中国は1億7000万台の世界最大の監視カメラネットワークを構築しているとされ[32]、監視カメラ業界ではさらに3年での4億台の設置を目指す政府の後押しで急成長したハイクビジョンダーファ英語版など中国企業がシェア世界一となっており[33][34]ファーウェイの子会社HiSiliconのような中国企業のチップも世界の半数を超える監視カメラに内蔵されている[35]。中国ではディープラーニングが国民に対する当局の監視強化を目的に急速に普及しており[36][37][38]、中国は世界のディープラーニング用サーバーの4分の3を占めているとされる[39]。米国政府によれば2013年からディープラーニングに関する論文数では中国が米国を超えて世界一となっている[40]

 

 とにかく、恐ろしい量のネットワークカメラシステムが中国国内で展開されているのだ。さらに、海外に対しても販売を行っており、当然、日本においても徐々に存在感を増しつつある。

 直接的に、ハイクビジョンやダーファのブランドが付いていない場合でも、OEMやODM製品として販売されているケースもあるようだ。

 

 

1人対11人のサッカーで勝てるか?

 

 これはあくまでも筆者の個人的な考えであるが、経済力は、ヒトの数(正確には労働力人口)と比例している。ざっくりいうと、人口が多い国が経済力も大きくなるのだ。

 

 ご存知の通り、日本の人口は約1億人であるが、昨今では少子高齢化の影響を受けて人口減少が続いている。一方で、中国では、約13.9億人である。規模の経済で戦おうとした場合、もはや日本と中国ではスタートラインが全く違うのだ。

 

 もっと乱暴に考えると、日本と中国がサッカーで戦おうとした場合、日本人は1人で、11人の中国チームと戦わなければならないのだ。どんなに高いテクニックを保有したプレイヤーであったとしても、11人のチームに1人で挑んで勝てるはずがない。

 

 まして、中国では、全国民に対してモニタリングができるシステムを構築しようとしている。11人が素人の選手ではなく、非常に多くのトレーニングを積んだプロフェッショナルなのだ。

 

 同じフィールドで戦うということがもはや無謀とも言える。どんなに勇敢な戦士であっても、物量で勝る相手には勝てない。

 

 

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スマートフォンの市場と似ている

 

 この傾向は、ネットワークカメラだけではなく、スマートフォンの市場でも見られる。2019年、世界のスマートフォンの市場を席巻しているのは、ファーウェイやOPPOなどの中国メーカーである。

 

 OPPOが日本市場に参入したのは、2018年であるが、わずか1年で日本においても、その存在感を高めつつある。日本国内のメーカーと比較しても、そのコストパフォーマンスは異常としか言いようがない。

 CPUやメモリのスペックも非常に高く、防塵防水、おサイフケータイ対応で3万円台なのである。日本メーカーでこのスペックで、この価格を実現することは、まず難しいだろう…。

 

(※上記、URLはAmazonアソシエイトを利用しています。)

 

 

では、どのように戦うのか!?

 

 このようにスケールメリットで勝る中国企業に日本メーカーはどのように戦っていくべきなのであろうか?あくまでも、筆者の個人的な意見となるが、筆者は4つの方法があると考えている。いずれにせよ、重要なことは同じフィールドでは戦わないことである。

 

①高機能・高品質な製品/ソリューションを展開する

 

 対策の1つ目が日本特有の高機能・高品質な製品またはソリューションで戦うことである。これはあくまでも筆者の個人的な意見であるが、日本製のネットワークカメラは、やはり品質が高く、信頼性が高い印象である。ざっくりというと、なかなか壊れにくい。よく出来ている。

 

 また、日本はパナソニックやソニー、キヤノンなどの光学技術で高い技術力を保有するメーカーもある。さらにNECは高い認識率の顔認証エンジンを保有している。これらの強みを生かして、低スペックのモデルではなく、あくまでも上位モデルの市場で戦うのである。

 

 良くも悪くも日本では、高い品質を追うあまりに『製品がガラパゴス化』しがちである。しかし、結果的に時間の経過とともに、その品質が世界的に再評価を受けることもある。段ボールやFelicaなど、日本特有の製品が徐々に世界で再評価されつつある。

 

 ただし、当然、ハイクビジョンやダーファなども、高いスペックのカメラをリリースしており、差別化が難しくなる可能性もある。また、一般的に『ネットワークカメラでは一眼レフカメラのように、そこまで高い映像品質は求められないシーンも多い』ため、オーバースペックと評価されるリスクもある。

 

 また、ネットワークカメラは、自動車やスマートフォンのように『個人の嗜好』はあまり考慮されない。

 法人として導入されるため、ブランド力よりも、まずコスト面で評価されてしまう傾向は否定できない。せっかく品質の高い製品をリリースしたとしても、競争により薄利に陥ってしまう可能性がある。

 

②国内のニッチ市場で優位性を確保する

 

 対策の2つ目が狭いニッチな市場での優位性を確保する方法である。これはどちらかというと、大企業というよりは、ベンチャー企業の戦い方である。

 

 日本国内では、海外と比較しても『非常にきめ細かいサービス品質』が求められる。世界で戦えるような製品ではなくでも、日本国内向けの製品やサービスできちんと利益が獲得できる戦略を立てられるのであれば、わざわざ海外製品と真っ向から競争する必要はない。

 

 特に、海外メーカーの製品は情報セキュリティ上の脆弱性を疑われるケースもしばしば発生しているため、国内での『サービス品質』や『信頼性』を獲得できれば、適正な利益を獲得することはできるだろう。

 

③部品メーカーに徹する

 

 対策の3つ目が特定の部品の開発に徹することである。これは、スマートフォンにおけるSONYのCMOSセンサーが一例である。

 ネットワークカメラ全体としての競争力はなかったとしても、ある特定の部品やソリューションに特化して、他のメーカーへ供給することができれば、利益を生み出すことができるだろう。

 

④ファブレスメーカーとして、開発に徹する

 

 対策の4つ目が自社工場を保有せず、製品やアプリケーションの開発に徹するものである。繰り返しになるが、規模の経済で中国メーカーに対応することは極めて難しい。生産力で勝ることは現実的ではないと考えられる。

 

 ファブレスメーカーとして開発だけに特化したり、特定のソリューションだけに注力したりすれば、メーカーとしての固定費を抑えることができる可能性がある。

 

 また、販売会社においても『商談の川上から川下まですべてをケアする戦略』を行う方法もあれば、ディストリビューターとして卸売に徹したり、 施工やアフターサービスの受託業務だけに徹するなど、最も得意な領域に特化して戦う方法もある。

 

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まとめ

 

 *ネットワークカメラ市場は、中国メーカーの影響もあり、市場が劇的に変化しつつある。

 

 *日本のベンダーが競争に勝ち残るためには、最も得意な領域に特化して戦うべきであると筆者は考えている。何らかの取捨選択も必要だ。