ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

AXIS Fence Guard(フェンスガード)

カメラ本体では差別化できない?

 ネットワークカメラはこの数年間で市場が急激に拡大した。その背景としては、カメラ本体の性能が向上し、高画質・高フレームでの録画が可能になったほか、テロ対策や防犯意識の向上など、様々な要因がある。

 しかし、一方でカメラ本体の性能についてはコモディティ化の傾向を否定できない。すなわち、ある面では、「カメラの映像がキレイ」「暗闇で撮影ができる」「フルハイビジョンに対応している」などの映像品質の部分においては、もはや一般用途においては差別化が難しくなってきているのだ。

 安価なカメラであっても、ある程度よい映像品質が得られるようになった。コンシューマーモデルでさえ、フルハイビジョンのモデルが多い。また、アナログ式のカメラも進化を遂げており、HD-TVI、HD-CVI、HD-SDIなど、安価ながら高品質の録画ができる規格も存在している。

 

カメラにアプリケーションを追加する

 これらの市場の流れを受け、各ネットワークカメラのメーカーは、カメラ本体にも様々な付加価値を与えようとしている。具体的には、従来はカメラ本体のソリューション機能は動体検知くらいであったが、それだけではなく、人数カウントや年齢や性別の推定など様々なアプリケーションをインストールできるようになってきているのである。カメラ本体のファームウェアに、追加でアプリケーションをインストールできる領域を設けておくことで、ユーザーは必要なソリューションを追加することが可能だ。

 従来は、これらのソリューションを導入する場合、専用のサーバーを設置する必要があったが、カメラ本体にアプリケーションをインストールすることで、初期コストを抑えるとともに、ネットワークの通信量も軽減することができるようになる。

 

AXIS社のACAPについて

 アクシスコミュニケーションズ社のカメラもACAPという仕組みがあり、アプリケーションの追加が可能だ。インストール手順を簡単に紹介しよう。

 まず、カメラ本体にブラウザで接続し、「アプリ」の中の「その他のアプリを見る…」を押下する。

 

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 アクシスコミュニケーションズ社のサイトにジャンプするので、好きなアプリケーションを探すことができる。流通小売業向けやセキュリティ対策など、有償・無償のものを含め、様々なソリューションがある。

 

www.axis.com

 

 今回は、60日間の試用版のダウンロードができる「AXIS Fence Guard」にて検証してみることにした。このアプリケーションは、映像上に仮想のフェンスを引くことができ、被写体がこのフェンスを通過した場合、何らかのアラートを起こすことができる侵入検知ソリューションである。

www.axis.com

 

 

 上記URLよりインストール用のファイルである「AXIS Fence Guard.eap」をダウンロードする。 また、合わせて「無料の60日間試用ライセンス」を押下し、試用版のライセンスキー(ACCCXXXXXXXX-AXIS Fence Guard.key)を入手する。

 

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 「+追加」ボタンを押下し、先ほど入手した「AXIS_FenceGuard_2_1_7_<機種名>.eapをインストールする。

 

 

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 FenceGuardがインストールされた。

 

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 続いて、先ほどダウンロードしておいた試用版のライセンスキーファイル(ACCCXXXXXXXX-AXIS Fence Guard.key)を参照し、インストールする。これでインストールは完了となる。

 

 

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 実際にアプリケーションを起動し、仮想的なフェンス(ライン)を引いていく。今回は仮に、アルファベットの周辺に2本のラインを引いた。

 ※なお、設定時に被写体が移動する方向を決めることができる。今回の場合、外から内へ被写体が侵入した場合にアラートが起きるように設定した。

 

 

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  実際に、ラインを超えて物体が侵入すると、上記のイメージのようにアラートを起こすことができた。

 あとは、このアラートが発生した際に、閲覧用のPCで音声でお知らせしたり、メールを送信したり、スピーカーで威嚇するなど、様々なイベントの連携を行うことでこの機能を活用することができる。

 

 このようにカメラ本体に様々なアプリケーションを追加できる領域があることで、ネットワークカメラはさらに活用用途が広がることが期待される。今後、どのようなアプリケーションがリリースされるのか、筆者は非常に楽しみである。