ネットワークカメラ推進会

Network camera promotion and communication

固定IPを利用せず、遠隔地から閲覧する

Axis Secure Remote Accessについて

 

 この記事では、Axis Secure Remote Accessについて、説明を行う。Axis Secure Remote Accessとは、ざっくりと説明すると、固定IPまたはダイナミックDNSによるネットワークの設定を行わなくても、遠隔地からカメラの映像が閲覧できる機能である。

 

 *この記事では、スマートフォン向けのアプリケーションを中心に説明したい。

 

意外と面倒なルーターの設定

 

 Axis Secure Remote Accessを使わない場合、一般的には、以下のように固定IPアドレスまたはダイナミックDNSを利用したネットワークの設定が必要となる。

 

 ネットワークカメラはネットワークに参加ができるため、何もしなくても、拠点先や外出先からカメラの映像を閲覧できると考えているユーザーも多いかもしれないが、実はそうではない。

 コンシューマー向けの製品では、固定IPアドレスやダイナミックDNSを利用しなくても映像を閲覧できる製品も多いが、法人向け製品ではほとんどの場合、きちんと<VPN>や<リモートアクセス>の設定を行わないと遠隔地から映像を閲覧することはできないのだ。

 

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 例えば、上記のように「ルーターのWAN側にグローバルの固定IPアドレスの契約を行い、WAN側の特定のポート番号にアクセスがあった場合に、カメラ側までルーティング(アドレス変換)する」という設定である。

 

 ネットワークにある程度、理解のあるユーザーであれば上記の説明で意味が通じると思うが、なかなか一般のユーザーに上記を説明し、ご理解いただくのは難しいところがある。

 

 『インターネットがあるだけじゃダメなの?』『ダイナミックDNSって何?』と、ネットワークの基礎的な部分で質問を受けることになるだろう。

 

 実際にネットワークカメラベンダーの中には、お客様が固定IPアドレス(またはダイナミックDNS)を契約していないために、カメラの設置当日にトラブルになった方もいるのではないだろうか。

 

 または、きちんとお客様が固定IPアドレス(またはダイナミックDNS)を契約していた場合も、他のベンダーが設置したファイアウォールに通信を遮断され、カメラの映像が閲覧できないケースもしばしばあるのではないかと思う。

 

 一般的に、LAN側からWAN側への通信については緩いセキュリティの設定になっていることが多いが、WAN側からLAN側に対しては強いセキュリティの対策になっているケースが多いためだ。ネットワークカメラの通信も当然、ブロックされる。

 

 

Axis Secure Remote Accessは固定IPが不要

 

 繰り返しになるが、Axis Secure Remote Accessの最大の特徴の1つが、固定IPまたはダイナミックDNSの設定が不要という点である。仲介サーバーを経由して、録画サーバーと閲覧用の端末を接続させるため、通信はLAN側からWAN側への流れとなり、ファイアウォールでブロックされる可能性も低くなる。

 

 あくまでもイメージであるが、以下のような状態である。外出先のスマートフォンと録画サーバー側それぞれから、中継サーバーに接続すればよい。

 原則としては難しいルーターの設定が不要となるため、導入のハードルが軽減される。

 

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 実際の設定方法

  それでは概略となるが、実際の設定方法を説明しよう。

 

 

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 アクシスカメラステーションのAxis Secure Remote Accessの設定メニューを開き、事前に作成していた【My Axisのアカウント情報】を入力する。

 ※メールアドレスとパスワードを入力し、『申し込む』を押下する。

 ※MyAxisのアカウントは、アクシスコミュニケーションズのサイトにて事前に作成が必要となる。

 

 Axis Secure Remote Accessが初期値では「無効」になっているため、『有効にする』を押下するだけである。これでサーバー側の設定変更は基本的に完了となる。

 

スマートフォン側の設定

 

 スマートフォン側の設定も比較的、簡単だ。AppStoreまたはGooglePlayより、『AXIS』で検索し、AXIS Camera Stationのアプリケーションをインストールする。

 

 アプリケーションを開き、MyAxisのメールアドレスとパスワードを入力する。先ほど設定したAXIS Camera Stationのサーバー名をタップし、サーバーのユーザー名とパスワードを入力する。

 

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 ライブ映像はもちろん、録画映像の再生も可能だ。

 

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<PCからの閲覧>

 また、スマートフォンだけでなく、PCから映像を閲覧する場合も、【Axis Secure Remote Access】のボタンを押下し、以下のようにMyAxisのパスワードを入力すると、(筆者は検証しなかったが)閲覧可能なように見えた。

 

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注意点として

 

 なお、録画サーバーをシャットダウンした状態で、映像を閲覧できるかどうかテストしたが、さすがにサーバーに接続することができず、閲覧ができなかった。

 

 

まとめ

 

 ネットワークカメラを遠隔地から閲覧する場合、通常は固定IPまたはダイナミックDNSの設定が必要なため煩雑であるが、Axis Secure Remote Accessを利用すると、比較的簡単に遠隔地から映像の閲覧が可能である。