施工時に発生する問題
ネットワークカメラの入れ替え工事の際、度々、問題となることがある。それが、ネットワークカメラの形状が各メーカーや機種により、あまりにもバラバラであることである。
例えば、現在設置済のカメラの直径が仮に約20センチであったとしよう。今回、入れ替えるカメラの大きさが仮に15センチであった場合、当然ながら、天井面にビスの跡が残ってしまう。
施工業者はブランクプレートと呼ばれるプラスチック製の目隠しやシールを貼って目立たなくすることもあるが、どうしても施工状況によっては以前のカメラの跡が目立ってしまうことがあるのだ。
特に深刻なのが、天井埋め込みを行っている場合である。従来のカメラは、比較的、かなり大きい直径の穴をあけてカメラを埋め込む必要があった。近年のカメラでは小型化されていることもあり、埋め込みしようとした際にその穴の大きさの差をどのように処理するのかが度々問題となるのだ。
共通化されているところ、されていないところ
1/4インチネジの穴
ネットワークカメラの形状であるが、まったくバラバラというわけではなく、唯一、共通する特徴が、カメラ用の三脚と同じ1/4インチサイズのネジ穴があるモデルが多いということである。
上記の写真をご覧いただきたい。赤い丸の中のカメラの中心部分に穴が1つ開いていることが分かるが、これが1/4インチのネジ穴である。ネットワークカメラでは、しばしば天井から吊り下げて設置するためのフィクサー(天井用取付金具)が用いられるが、この金具を利用する際に使うのが、1/4インチのネジ穴だ。
かなり古いネットワークカメラではない限り、1/4インチで共通化されているため、取り付け金具は汎用品を利用することができる。
カメラの直径・ネジの位置
一方で、業界でほとんど統一性がないのが、カメラの直径とネジの位置である。上記の写真では、青い線の長さと緑のネジの位置であるが、このサイズや場所は機種毎にバラバラなケースが多い。このため、カメラ交換時に「前のカメラの取り付け跡が残ってしまう」という問題が発生してしまうのだ。
例えば、車のようにメーカーや車種によってボディの形状が異なるのは仕方がないことなのかもしれないが、ネットワークカメラの場合、あまりにも形状がバラバラであると、設置後の景観を乱してしまうことがある。
屋外用カメラにファンを内蔵しているメーカー、内臓していないメーカーなど、開発におけるコンセプトは様々であるため、なかなか形状を統一することは困難であることは理解しているが、ネットワークカメラメーカーは出来る限り、「カメラの取付部分」だけは共通化した規格で開発いただきたいと願っている。
例えば、テレビやモニタを思い出して欲しい。テレビやモニタの背面には、VESA規格と呼ばれるビス用の穴が開いている。100mm×100mm 200mm×200mmなど共通化された間隔で穴が開けられているのだ。そのため、壁面用の取付金具などは汎用品を流用することができるのだ。従来は、各メーカーがバラバラに取り付け金具を開発していたが、VESA規格により、ユーザーはメリットを得ることができた。
ネットワークカメラについては、現在、激しい開発競争の中において、映像形式や規格の統一化(ONVIF等)の動きはみられるものの、筐体に対する共通化の動きは非常に弱いと感じている。
今後の課題として形状の統一化(または取り付け部分の共通化)を進めて欲しいと筆者は考えている。