屋外ボックスカメラの比較
この記事は屋外用のボックス型カメラで最も優れたカメラはどれかを考える。前回は屋内向けのドームカメラによる比較を行ったが、今回は屋外向けとする。
なお、何度も記事に書いているがネットワークカメラのカタログ値は参考にしかならも、実際には実機で比較検証を行う必要がある。しかし、今回はあえてカタログスペックでの比較を行う。また、評価基準については筆者の偏見も含むことをご理解いただきたい。
では、さっそく比較していこう。
前提条件
●前提条件
*解像度はフルハイビジョン対応のモデルとする。
*標準価格または市場価格が30万円以下とする。
*水平画角が90度以上とする。
*防水防塵仕様となっている。
*動作温度がマイナス20度以下である。
*最低照度性能は、基本的にシャッタースピード:1/30 50IREを基準とする。
また、モノクロは赤外線投射をしていない状態とする。
*赤外線投射機能を保有している。
<下記比較資料の重要な注意点について>
*各メーカーおよび販売店のWEB上の仕様書を参考に作成したが、誤りがある可能性がある。
*正式な仕様内容は、必ず各メーカーおよび販売店への確認をお願いしたい。
●パナソニック WV-S1531LNJについて
*全体的にバランスが良い印象である。また、受注生産で耐塩対策モデルもある。
*別モデルのWV-S1531LTNJと設置場所に応じて機種選定するとよい。
*特にデメリットは分からなかった。
●ソニー SNC-VB642Dについて
*カタログスペック上は赤外線投射距離が長い印象を受けた。カラーのLED投射が必要な場合は本モデルが望ましい。
*気になる点としては、親水コーティングなどの雨の付着の対策があるのかどうか分からなかった。
●キヤノン VB-H751LE-Hについて
*水平画角だけでなく、垂直画角が広い印象を受けた。また、暗い場所にもかなり強い可能性が高いのではないかと想定される。※キヤノン社は低照度性能の仕様書の記載については50IREを基準としている。 ※親水コーティングが不要な場合は、親水コーティングがない通常モデルもある。
*気になる点としては、比較表には記載しなかったが、他メーカーが60fpsに対応しているのに対して、H751LE-Hは最大30fpsとなっている点である。ただし、他メーカーの場合も、ワイドダイナミックレンジ機能を有効にした場合は30fpsまでしか出せないケースが多いので、それほど問題となることではない。
●AXIS P1435-LE 3~10.5mmレンズについて
*上記の比較表だけ見ると、水平画角が狭い印象を受けた。また、カタログスペックとしては特に突出した特徴もない。ただし、実は日本メーカーがボックス型カメラの中でほぼフラッグシップに近いモデルで比較しているのに対して、今回比較対象としたAXISのカメラはミドルレンジモデルのPシリーズであることを補足しておきたい。
*また、ZipstreamテクノロジーやPアイリス、WDR(フォレンジックキャプチャー)など、単純なカタログ値だけでは評価しにくい性能と技術があることも強く伝えておきたい。
●ハイクビジョン DS-2CD2625FWD-IZSについて
*カタログスペックで見ると、非常に高い性能を持っている。ただし、カタログスペックの計測基準などがほとんど記載されていないため、実機での比較や確認が必要となるであろう。私が確認した資料では、低照度性能についてもフレームレートやIREの記載がなかったため、どの設定値でテストした結果なのかが分からなかった。
*WEB上で通販価格を確認したが、やはりコストパフォーマンスは高い印象を受けた。H.265+に対応していることも評価ポイントとなる。
まとめ
今回、カタログスペックだけで比較したところ、仕様書としてのバランスはWV-S1531LNJが最も整っているように見えた。
しかしながら、何度も繰り返すが、ネットワークカメラのカタログ値はあくまでも参考レベルである。実際には実機による撮影テストやシステム全体として評価しなければならない。
今回の結果もあくまでも1つの参考としながらも、顧客ニーズや設置場所に応じて最も望ましいモデルの検討と導入に努めて欲しい。