映像の遅延とは!?
近年、監視カメラ市場において、従来から導入されてきたアナログカメラシステムが縮小傾向にあり、高性能なネットワークカメラのシェアが高まっている。しかし、現在においてもアナログ式のカメラにはメリットがあり、ニーズがあることも事実だ。
ネットワークカメラがアナログカメラに劣るデメリットとして「レイテンシー(遅延)」の問題がある。特にネットワークカメラの課題とされるのが、カメラで被写体を撮影した際にどのくらいの時間でモニタ上に表示できるか?という問題だ。
アナログカメラの場合、カメラで被写体を撮影するとほぼ遅延なくモニタ上に被写体が表示される。一方でネットワークカメラの場合、設定内容によってはやや遅れてモニタ表示される場合がある。
これはメーカー問わず、ネットワークカメラシステムの基本的な構造の問題といってよい。私も開発を担当する部門ではないため、カメラ内部の構造をすべて理解しているわけではないが、ネットワークカメラが被写体を撮影し、PCのモニタに表示されるまでの流れは下記の通りである。
※あくまでもイメージとして考えて欲しい。
ネットワークが被写体をレンズで捉えると、まずCMOSセンサー(※CCDタイプもある)が、映像を電気信号化する。その次に、映像エンジンがデジタル化を行い、圧縮されて送信される。この信号そのものはデジタルデータのため肉眼では見ることができない。PCにデータが到着し、圧縮されたデジタル信号を肉眼でも見える映像に戻すことによって閲覧できるのである。この一連の流れを瞬時に行うことが望ましいのだが、ネットワークカメラでは映像表示まで若干のタイムラグが発生する。
近年では、高画質な画像を圧縮したり、高度な逆光対策がされていたりするので、処理にはむしろ時間がかかる傾向がある。
一方で、アナログカメラの場合、カメラで捉えた映像を圧縮せずにほぼそのままモニタに表示できるため、映像の遅延はほとんどないと言える。そのため、例えば、動きが速い被写体(電車など)をモニタリングする際は、アナログカメラの方が効率が良い場合も多いのだ。
本サイトはネットワークカメラ推進会という名称で行っているが、上記のような映像遅延が認められない場合、アナログカメラを推奨する。近年では、AHDというアナログカメラでも、画質が高いものもあるので参考にして欲しい。
エンコーダーとデコーダー
ネットワークカメラやアナログカメラの導入時には、しばしばエンコーダーやデコーダーと呼ばれる装置が用いられる。ざっくり説明すると、エンコーダーはアナログ信号をデジタル信号化するもので、デコーダーはアナログ信号をデジタル信号化するものだ。
例えば、ネットワークカメラを複数台導入する際に、以前導入したアナログカメラも一部、再利用したいようなニーズがある。このようなケースでは、エンコーダーを利用すれば、アナログカメラもPCやNVR(レコーダー)から映像を閲覧することができる。
一方、デコーダーはネットワークカメラの映像をPCレスでモニタ表示したいようなケースで利用される。
その他、例えばネットワークカメラの映像をMPEG4やその他の映像形式に変換する場合もいったんデコーダーを使って、アナログカメラ化された映像を再度、トランスコーダーなどでその他の映像形式に変換されることがある。
まとめ
*近年、シェアを拡大しているネットワークカメラだが、映像の表示が遅れるというデメリットがある。映像の遅延が問題となる場合は、アナログカメラの方が望ましい。
*アナログの映像をデジタル化するエンコーダー や デジタル信号をアナログ化してモニタなどに取り付けるデコーダーという装置が存在する。