ネットワークカメラ推進会

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ネットワークカメラ 無線ブリッジを活用する

法人向けモデルは有線LANが多い

個人向けのネットワークカメラでは無線LAN対応モデルが主流になっていると言ってよいが、法人向けのモデルについては、まだまだ有線LANで構築する場合が圧倒的に多い。

正しく統計をとったわけではないが、おそらく95%以上は有線LANによる構築となっている。

 

なぜ有線LANが多いかいうと、やはり安定性と電源供給の問題が大きい。無線LANはどうしても電波干渉などの影響を受けるため、安定的に映像を取得する用途には不向きである。また、今日ではLANケーブル1本で電源もデータも送受信するPoE HUBから給電を行うためである。カメラに対して電源を引き回すよりも、LANケーブルを引き回した方が効率的でコストも安いのだ。

 

無線LANを活用するシーン

しかし、筆者も無線LANを完全に否定するわけではなく、必要に応じて無線LANも必要だと考えている。具体的には「現実的に有線LANの配線が困難である場合」である。例えば、下記のような設置環境だ。

事務所内にレコーダーとモニタを設置し、道路を挟んだ向かい側の倉庫の様子や駐車場をモニタリングしたいというようなニーズの場合である。さすがに、コンクリートで固められた状態だと、配管がない限り新たに配線をすることは非常に困難だ。まだ、架空配線を行う方法もあるが、道路が公道の場合、勝手に架空配線をを行うと違法となる可能性が高い。

(※下記のイラストではざっくりと描いたため、無線機が道路にはみ出しているが、厳密には無線機も道路にはみ出さないように設置することが望ましい。)

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このように配線が難しい場所で、システム設計者がまず考えるべきことは、無線機ではなく「ズームのカメラで撮影できないか?」という点である。上述したように無線LANはどうしても安定性に欠けるところがあり、まずは有線LANでの構築を検討すべきである。例えば、事務所側に光学20倍や30倍のズームカメラを取り付けして、右下の駐車場を撮影する場合、障害物がなければ撮影ができる可能性がある。

しかし、現実の世界では自動販売機や駐車場を囲う柵、木々などがあり、事務所からズームカメラを利用しても駐車場を撮影することができない場合がある。また、倉庫の内部を撮影したいというニーズがあった場合、さすがにズームカメラでも撮影できない。

このように<配線が困難>かつ<ズームカメラでも撮影できない>場合に限り無線LANを導入する。無線LANを導入するポイントについて説明する。

 

無線ブリッジ導入のポイント

 

ポイント①:指向性のある屋外用無線機を利用する

ポイントの1つ目は、指向性のある屋外用の無線機を利用するということである。例えば、下記のような製品だ。無線LANと聞くと、無指向性の幅広く電波を出すモデルをイメージされる方も多いかもしれないが、ネットワークカメラではむしろ指向性があり、直線的に電波を発信するモデルが好まれる。事務所側と倉庫側のそれぞれに下記のアンテナを取り付けし、通信するのだ。下記URLのモデルであれば、数百メートル以上離れた拠点間でもネットワーク構築が可能となる。

https://hytec.co.jp/products/wireless/dlb_propeller_2.html

 

ポイント②:拠点間の見通しを考える

無線LANとはいっても、建屋をすり抜けて通信することはできない。上記の図でいうと、事務所と倉庫の間が十分に見通しがよいことが条件となる。例えば、道路を大型トラックやバスが通過する場合、建物の低い場所に無線アンテナを取り付けていると、トラックやバスで見通しが悪くなり、無線通信が途切れる場合があるため、比較的、高い場所にアンテナを設置する必要がある。

木々が高い場所でも注意が必要だ。まれに発生するケースとして、冬場は問題がなく通信できるのに夏場になると葉っぱのせいで見通しが悪化し、うまく通信ができなくなることもある。

 

ポイント③:被雷のリスクを考慮する

屋外に無線アンテナを設置する場合、被雷のリスクも考慮しなければならない。(本来は、屋外にネットワークカメラを設置する場合も被雷のリスクを考慮する必要がある。)被雷を受けた場合、ケーブルを伝わってあらゆる機器がダメージを受ける可能性があるため、対策が必要だ。

無線アンテナにどのように電源供給を行うのかによっても被雷の方法は異なるが、最近ではPoEで無線機にも電源供給を行うモデルが増えているため、下記のLAN用の雷防護器を紹介しておく。

https://www.icom.co.jp/products/network/products/option/npl2002/

 

ポイント④:セキュリティ対策を実施する

無線LANのもう1つの課題が、セキュリティ上の問題である。無線LAN通信を行う場合は、適切に無線LANを暗号化し、パスワードで保護する必要がある。これができていない場合、悪意のある第三者に不正なアクセスをされてしまうリスクが高まる。設定時は注意が必要だ。

 

ポイント⑤:電波干渉を考慮する

無線LANの最も悩ましい課題が電波干渉だ。無線機を利用する際は「電波干渉との闘い」といっても過言ではない。現在、モバイル端末の普及などの影響もあり、Wifiの電波が無数に飛んでいる。下記は、無線機のどのチャンネルが空いているかを調べる「Wifi Analyzer」というアプリケーションである。

無線通信には「チャンネル」という概念があり、1~13 chまで選択できる(一部製品では1~14 chまで)。下記のような「Wifi Analyzer」を利用して、できるだけ他のチャンネルと干渉しないチャンネルを選んで設定することが望ましい。フリーのアプリもあるのでダウンロードいただきたい。

ただし、下記のようにほとんどチャンネルに空きがないようなケースもある。不幸中の幸いで下記の画像の場所では、強度の強い電波は見られない。あとは実際に無線機のデモ機をメーカーに借りるなどして、問題なく通信ができるかどうか導入前にテストしておくことが望ましい。

ポイント⑤:コンプライアンスを守る

  最後に重要な点は、コンプライアンスやメーカーで定めている自主規制のルールに従うという点である。無線通信には主に<2.4GHz帯>と<5GHz帯>がある。上記の写真のように電波が混雑しているのは<2.4GHz帯>で、<5GHz帯>は比較的、混雑していない。

では「5GHzで構築すればいいじゃないか?」と思われる方もいるかもしれないが、屋外で5GHzの電波を発信した場合、違法となる可能性がある。また、2.4GHz帯に比べると障害物にも弱い。

また、別途、FWA(Fixed Wireless Access)システムという方法もあるが、この仕組みを利用する場合、登録局への届け出や免許が必要となる。

上記のような理由により、筆者は一般的なシステムでは2.4GHz帯で構成を組んでいる。ただし、2.4GHz帯の場合でもアンテナによっては設置する場所の距離に制限を設けている製品もあるので注意したい。

 

参考品

 *最後に<アイコム社>と<バッファロー社>の製品で参考となる無線機のリンクを貼っておく。

http://www.icom.co.jp/products/network/products/lan_out_bridge/sb-520/

http://buffalo.jp/product/wireless-lan/pro-ap/wapm-1266wdpr/

 

まとめ

今後、無線通信の進化により、有線LANが無線化していくことは間違いない。IoTにより、ありとあらゆる機器がネットワークで結ばれることになるであろう。

しかし、無線通信には様々なリスクがあることを認識したうえで活用する必要がある。